コンフィグレーションガイド

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7.3.5　PVST+（パスコストによるロードバランス）

＜この項の構成＞
(1)　設定内容の概要
(2)　構成図と設定条件
(3)　コンフィグレーション例

(1)　設定内容の概要

二つのVLAN毎にスパニングツリーを構築するPVST+の設定例を示します。本設定例では，パスコストによるロードバランスを行います。

(2)　構成図と設定条件

［構成図］

図7-16　構成図

[図データ]

［設定条件］
  1. 本装置A，本装置B，本装置CにポートVLANを設定します。
  2. 各装置にPVST+スパニングツリーをVLAN単位に設定します。
  3. 各ツリーはIEEE802.1wで動作するように設定します。
  4. 本装置Aをルートブリッジにするために，本装置Aのブリッジ優先度を高く設定します。
  5. サーバとPCの間のデータ転送を次のようにロードバランスします。
    ・VLAN100：本装置Aと本装置Bの間の回線で直接行う。
    ・VLAN200：本装置C経由で行う（本装置Aと本装置Bの間の回線のパスコストを高くする）
  6. 本装置A，本装置B，本装置Cを接続する回線はすべて同じ速度とします。

(3)　コンフィグレーション例

［コマンドによる設定］

＜本装置A＞
 1    (config)# spanning-tree-system
      [spanning-tree-system]
 2    (config)# link-type point-to-point 0/0,1/0
      [spanning-tree-system]
 3    (config)# exit
 4    (config)# spanning-tree pvst+ 100
      [spanning-tree pvst+ 100]
 5    (config)# protocol rstp
      [spanning-tree pvst+ 100]
 6    (config)# bridge-priority 16384
      [spanning-tree pvst+ 100]
 7    (config)# exit
 8    (config)# spanning-tree pvst+ 200
      [spanning-tree pvst+ 200]
 9    (config)# protocol rstp
      [spanning-tree pvst+ 200]
10    (config)# bridge-priority 16384
      [spanning-tree pvst+ 200]
11    (config)# path-cost 50000 0/0
      [spanning-tree pvst+ 200]
12    (config)# exit

表7-27　本装置Aのコンフィグレーション解説

解説番号 解説
1，2 IEEE802.1wベースで運用するために，スパニングツリーシステム情報として，回線（ポート0/0と1/0）のリンクタイプをPoint-to-pointに設定します。
3 spanning-tree-systemモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
4 VLAN100に関するPVST+スパニングツリーを定義します。
5 当該ツリーはIEEE802.1wプロトコルで動作するように設定します。
6 ブリッジ優先度（値が小さいほど高優先度）を32768（デフォルト値）から16384に変更します。
その結果，VLAN100に関して本装置Aがルートブリッジとなります。
7 spanning-treeモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
8 VLAN200に関するPVST+スパニングツリーを定義します。
9 当該ツリーはIEEE802.1wプロトコルで動作するように設定します。
10 ブリッジ優先度を32768から16384に変更します。
その結果，VLAN200に関して本装置Aがルートブリッジとなります。
11 ポート0/0に関するパスコスト（値が小さいほどフレームを転送するポートとして使用されます）を20,000から50,000に変更します。
12 spanning-treeモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。

＜本装置B＞
 1    (config)# spanning-tree-system
      [spanning-tree-system]
 2    (config)# link-type point-to-point 0/0,1/0
      [spanning-tree-system]
 3    (config)# exit
 4    (config)# spanning-tree pvst+ 100
      [spanning-tree pvst+ 100]
 5    (config)# protocol rstp
      [spanning-tree pvst+ 100]
 6    (config)# exit
 7    (config)# spanning-tree pvst+ 200
      [spanning-tree pvst+ 200]
 8    (config)# protocol rstp
      [spanning-tree pvst+ 200]
 9    (config)# path-cost 50000 0/0
      [spanning-tree pvst+ 200]
10    (config)# exit

表7-28　本装置Bのコンフィグレーション解説

解説番号 解説
1，2 IEEE802.1wベースで運用するために，スパニングツリーシステム情報として，回線（ポート0/0と1/0）のリンクタイプをPoint-to-pointに設定します。
3 spanning-tree-systemモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
4 VLAN100に関するPVST+スパニングツリーを定義します。
5 当該ツリーはIEEE802.1wプロトコルで動作するように設定します。
6 spanning-treeモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
7 VLAN200に関するPVST+スパニングツリーを定義します。
8 当該ツリーはIEEE802.1wプロトコルで動作するように設定します。
9 ポート0/0に関するパスコストを20,000から50,000に変更します。
10 spanning-treeモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。

＜本装置C＞
 1    (config)# spanning-tree-system
      [spanning-tree-system]
 2    (config)# link-type point-to-point 0/0,1
      [spanning-tree-system]
 3    (config)# exit
 4    (config)# spanning-tree pvst+ 100
      [spanning-tree pvst+ 100]
 5    (config)# protocol rstp
      [spanning-tree pvst+ 100]
 6    (config)# exit
 7    (config)# spanning-tree pvst+ 200
      [spanning-tree pvst+ 200]
 8    (config)# protocol rstp
      [spanning-tree pvst+ 200]
 9    (config)# exit

表7-29　本装置Cのコンフィグレーション解説

解説番号 解説
1，2 IEEE802.1wベースで運用するために，スパニングツリーシステム情報として，回線（ポート0/0と0/1）のリンクタイプをPoint-to-pointに設定します。
3 spanning-tree-systemモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
4 VLAN100に関するPVST+スパニングツリーを定義します。
5 当該ツリーはIEEE802.1wプロトコルで動作するように設定します。
6 spanning-treeモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
7 VLAN200に関するPVST+スパニングツリーを定義します。
8 当該ツリーはIEEE802.1wプロトコルで動作するように設定します。
9 spanning-treeモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。

［コンフィグレーションの表示］

＜本装置A＞
spanning-tree-system
  link-type point-to-point 0/0,1/0
!
spanning-tree pvst+ 100
  protocol rstp
  bridge-priority 16384
!
spanning-tree pvst+ 200
  protocol rstp
  bridge-priority 16384
  path-cost 50000 0/0

＜本装置B＞
spanning-tree-system
  link-type point-to-point 0/0,1/0
!
spanning-tree pvst+ 100
  protocol rstp
!
spanning-tree pvst+ 200
  protocol rstp
  path-cost 50000 0/0

＜本装置C＞
spanning-tree-system
  link-type point-to-point 0/0-1
!
spanning-tree pvst+ 100
  protocol rstp
!
spanning-tree pvst+ 200
  protocol rstp

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