コンフィグレーションガイド Vol.2


5.3.5 認証済み端末のポート間移動

レイヤ2認証で認証された端末をほかのポートに移動した場合,ポートの状態や認証状態がどのように変わるか説明します。

認証済み端末のポート間移動には次の図に示す四つのケースがあります。

図5‒6 認証済み端末のポート間移動例

[図データ]

なお,MAC VLANを使用した場合,次のようにケース1とケース2を判定します。

ケース1:

移動先の認証対象ポートで,次のどちらかの条件を満たしている場合に同一のVLANへの移動と見なします。

  • コンフィグレーションコマンドswitchport mac vlanで同じVLAN IDが設定されている

  • レイヤ2認証によって動的に同じVLAN IDがすでに登録されている

また,動的にMAC VLANのVLAN IDが登録されていない場合は,Web認証またはMAC認証で認証済みの端末が移動するときに端末が所属しているVLAN IDが作成されるため,同一のVLANへの移動と見なします。

ケース2:

移動先の認証対象ポートで,次の条件を満たしている場合に異なるVLANへの移動と見なします。

  • コンフィグレーションコマンドswitchport mac vlanで異なるVLAN IDが設定されている

また,動的にMAC VLANのVLAN IDが登録されていない場合にIEEE802.1Xの端末が移動するときは,異なるVLANへの移動と見なします。

これら四つのケースについて,レイヤ2認証ごとに説明します。

〈この項の構成〉

(1) IEEE802.1Xでのポート間移動時の動作

IEEE802.1Xで認証された端末がポートを移動した場合のポートや認証の状態について,認証モードごとに次の表に示します。

表5‒13 IEEE802.1Xでのポート間移動時の動作(ポート単位認証)

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

移動後,再認証操作

ポート情報が更新

移動前の認証解除

移動後に認証されるまで通信不可

2

認証対象ポート

別VLAN

移動後,再認証操作

未更新

認証状態が残る

移動後に認証されるまで通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

表5‒14 IEEE802.1Xでのポート間移動時の動作(VLAN単位認証(静的))

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続する

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

移動後,再認証操作

未更新

認証状態が残る

移動後に認証されるまで通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

(凡例)

−:VLAN単位認証(静的)はVLAN単位での設定のため,同一VLANに認証対象外ポートはありません

表5‒15 IEEE802.1Xでのポート間移動時の動作(VLAN単位認証(動的))

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続する

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

移動後,再認証操作

削除

移動前の認証解除

移動後に認証されるまで通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

(凡例)

−:VLAN単位認証(動的)はVLAN単位での設定のため,同一VLANに認証対象外ポートはありません

(2) Web認証でのポート間移動時の動作

Web認証で認証された端末がポートを移動した場合のポートや認証の状態について,認証モードごとに次の表に示します。

表5‒16 Web認証でのポート間移動時の動作(固定VLANモード)

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続される

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

移動後に認証されるまで通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

表5‒17 Web認証でのポート間移動時の動作(ダイナミックVLANモード)

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続される

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

表5‒18 Web認証でのポート間移動時の動作(レガシーモード)

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続される

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

(凡例)

−:Web認証(レガシーモード)はVLAN単位での設定のため,同一VLANに認証対象外ポートはありません

(3) MAC認証でのポート間移動時の動作

MAC認証で認証された端末がポートを移動した場合のポートや認証の状態について,認証モードごとに次の表に示します。

表5‒19 MAC認証でのポート間移動時の動作(固定VLANモード)

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続される

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

移動後,再認証

削除

移動前の認証解除

移動後に認証されるまで通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

注※

認証済み端末からポート移動後にブロードキャストARPパケットが送信された場合の動作です。ブロードキャストARPパケット以外のパケットでは,認証解除されないで認証状態が残ります。

表5‒20 MAC認証でのポート間移動時の動作(ダイナミックVLANモード)

ケース

移動先ポート

VLAN

ユーザ認証状態

移動前ポートのMACアドレステーブル

移動前ポートの認証状態

移動後の通信可否

1

認証対象ポート

同一VLAN

認証が継続される

ポート情報が更新

継続

通信可

2

認証対象ポート

別VLAN

認証解除

削除

移動前の認証解除

移動後に認証されるまで通信不可

3

認証対象外ポート

同一VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信不可

4

認証対象外ポート

別VLAN

認証状態が残る

未更新

認証状態が残る

通信可

注※

認証済み端末からポート移動後にブロードキャストARPパケットが送信された場合の動作です。ブロードキャストARPパケット以外のパケットでは,認証解除されないで認証状態が残ります。