コンフィグレーションガイド Vol.1


31.4.1 MACアドレス制御方式

〈この項の構成〉

(1) MACアドレスの学習

MLD snoopingが設定されたVLANでMLDメッセージを受信することによってマルチキャストMACアドレスをダイナミックに学習します。学習したマルチキャストMACアドレスはMACアドレステーブルに登録します。

(a) エントリの登録

MLDv1 Reportメッセージおよび,MLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信すると,メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスからマルチキャストMACアドレスを学習し,MLDv1/MLDv2 Reportメッセージを受信したポートにだけマルチキャストグループ宛てのトラフィックを転送するエントリを作成します。IPv6マルチキャストデータの宛先MACアドレスはIPアドレスの下位32ビットをMACアドレスにコピーして生成します。

IPv6マルチキャストアドレスはマルチキャストグループを識別するグループIDフィールドが112ビット長のフォーマットと32ビット長のフォーマットの2種類が規定されています。グループIDフィールドが112ビット長のアドレスフォーマットを使用する場合は,IPv4マルチキャストアドレスと同様にMACアドレスの重複が発生します。IPv6マルチキャストアドレスとMACアドレスの対応を次の図に示します。

図31‒4 IPv6マルチキャストアドレスとMACアドレスの対応

[図データ]

(b) エントリの削除

学習したマルチキャストMACアドレスは次のどちらかの場合に,すべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった時点で削除されます。

  • MLDv1 Doneメッセージを受信した場合

    MLDv1 Doneメッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,クエリア設定時だけです。未設定時は代表クエリアから送信されます)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。

  • MLDv2 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合

    MLDv2 Report(離脱要求)メッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,クエリア設定時だけです。未設定時は代表クエリアから送信されます)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。ただし,マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのMLDv2 Reportメッセージを受信した場合は,自装置へのクエリア設定を行っている場合だけGroup-Specific Queryメッセージの送信および,エントリ削除処理を実行します。

  • MLDv1/MLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信してから一定時間経過した場合

    マルチキャストルータは直接接続するインタフェース上にグループメンバーが存在するかを確認するために,定期的に MLD Queryメッセージを送信します。本装置はルータからのMLD Queryメッセージを受信した場合,VLAN内の全ポートに中継します。MLD Queryメッセージに対する応答がない場合,エントリからこのポートだけを削除します。すべてのポートから応答がない場合は,エントリ自体を削除します。

    本装置では260秒間MLDv1/MLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信しない場合に対応するエントリを削除します。

    本装置ではエントリを削除するタイムアウト時間を260秒(デフォルト値)としています。260秒間MLDv1/MLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信しない場合に対応するエントリを削除します。

    MLDv2で運用しているVLANで他装置が代表クエリアの場合,タイムアウト時間は代表クエリアからのMLDv2 Queryメッセージ(QQICフィールド)から算出します。自装置が代表クエリアの場合またはMLDv1で運用している場合は,デフォルト値となります。この場合,該当するVLANではQuery Intervalを125秒で運用してください。

    タイムアウト時間は,Query Interval(QQICフィールドの値)×2+Query Response Intervalで算出します。

(2) IPv6マルチキャストパケットのレイヤ2中継

IPv6マルチキャストパケットの受信VLAN内のレイヤ2中継はIPv4マルチキャストパケット同様にMACアドレスベースで処理します。MLD snoopingの結果によるレイヤ2中継は,同一MACアドレスにマッピングされるIPv6マルチキャストアドレスのMLD Report(加入要求)メッセージを受信したポートすべてに中継します。