コンフィグレーションガイド Vol.3
グレースフル・リスタートは,スタック構成時にマスタスイッチを切り替えたときや,運用コマンドなどによってユニキャストルーティングプログラムが再起動したときに,隣接装置と連携して本装置を中継する通信を維持するための機能です。グレースフル・リスタートの具体的な実現方法を次に示します。
- 隣接ルータに,グレースフル・リスタートを補助する機能を用意します。グレースフル・リスタートによる接続要求を受け取ったときに,以前の接続を切断して再接続するのではなく,以前の接続を継続しているものと認識する機能を追加します。これによって,ルーティングプログラム交替時にも隣接ルータとの接続が切断しなくなるため,隣接ルータも経路を保持したまま動作します。
- 経路学習および経路広告の処理順序を固定します。グレースフル・リスタートをするときに,まず隣接ルータから経路情報を学習して,経路学習が完了してから経路広告を開始します。これによって,一部経路しか広告しないことで隣接ルータから経路が消えることがなくなります。
なお,グレースフル・リスタートを実施するルータのことをリスタートルータと呼びます。
本装置のグレースフル・リスタート動作手順を次の図に示します。
図8-22 グレースフル・リスタート手順
- マスタスイッチの切り替えまたはルーティングプログラムの再起動を検出すると,各プロトコルがグレースフル・リスタートを開始します。各プロトコルはグレースフル・リスタートによって再接続して,経路を学習します。
- グレースフル・リスタート対象の各プロトコルが経路学習を完了します。ただし,グレースフル・リスタートを開始してから,グレースフル・リスタート時の経路保留時間(コンフィグレーションコマンドrouting options graceful-restart time-limitの指定値)内に経路学習が完了しなかった場合は,経路学習を中断して,経路広告を開始します。
- 経路学習の完了後,グレースフル・リスタート対象の各プロトコルは経路広告を開始します。ただし,エクストラネットを使用している場合は,次の状態になってもすぐに経路広告は開始しません。30秒経過してから,各プロトコルは経路広告を開始します。
- 各プロトコルの経路学習が完了
- グレースフル・リスタートの経路保留時間内の経路学習がタイムアウト
- 各プロトコルは,経路広告を完了すると通常のプロトコル動作に戻ります。全プロトコルが経路を広告し終わった時点で,装置全体のグレースフル・リスタートが完了します。
グレースフル・リスタートの動作方式はプロトコルによって異なるため,動作条件も異なります。使用前に,各プロトコルのグレースフル・リスタート動作条件を確認してください。各プロトコルの個別機能については,次を参照してください。
- OSPF
「12.5 グレースフル・リスタートの解説」
- BGP4
「13.4.11 グレースフル・リスタート」
- OSPFv3
「28.3 グレースフル・リスタートの解説」
- BGP4+
「29.4.11 グレースフル・リスタート」
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