コンフィグレーションガイド Vol.1
- <この項の構成>
- (1) PVST+との共存
- (2) シングルスパニングツリーとの共存
- (3) PVST+とシングルスパニングツリーの同時動作について
- (4) マルチプルスパニングツリーとの共存
- (5) 共存して動作させないVLANについて
(1) PVST+との共存
PVST+は,Ring ProtocolのVLANマッピングに設定されたVLANが一つだけであれば,そのVLANでRing Protocolと共存できます。コンフィグレーションコマンドaxrp virtual-linkで仮想リンクを設定すると,仮想リンクによるトポロジーを構築しRing Protocolとの共存を開始します。
最初のRing Protocolのコンフィグレーション設定によって,動作中のPVST+はすべて停止します。その後,VLANマッピングが設定されたVLANで順次PVST+が動作します。VLANマッピングに複数のVLANを設定した場合,そのVLANではPVST+は動作しません。なお,PVST+が停止しているVLANはループとなるおそれがあります。ポートを閉塞するなどしてループ構成にならないように注意してください。
また,コンフィグレーションコマンドaxrp virtual-linkで仮想リンクを設定していない場合は,仮想リンクを構築できないので意図したトポロジーが構築されません。その結果,ループが発生するおそれがあります。
PVST+とRing Protocolの共存構成を次の図に示します。ここでは,VLANマッピング128にはVLAN 30が一つだけ設定されているので,PVST+が動作します。VLANマッピング1には複数VLANが設定されているので,PVST+は動作しません。また,装置CおよびDではVLAN 100を仮想リンクVLANに設定しているので,両装置間に仮想リンクを構築します。
図30-4 PVST+とRing Protocolの共存構成
(2) シングルスパニングツリーとの共存
シングルスパニングツリーはRing Protocolで運用するすべてのデータVLANと共存できます。
シングルスパニングツリーは,コンフィグレーションコマンドaxrp virtual-linkで仮想リンクを設定すると,仮想リンクによるトポロジーを構築しRing Protocolとの共存を開始します。コンフィグレーションコマンドaxrp virtual-linkで仮想リンクを設定していない場合は,仮想リンクを構築できないので意図したトポロジーが構築されません。その結果ループが発生するおそれがあります。
シングルスパニングツリーとRing Protocolの共存構成を次の図に示します。ここでは,装置C,D,およびGにシングルスパニングツリーを設定し,装置A,B,C,D,E,およびFにRing ProtocolのVLANグループを二つ設定しています。シングルスパニングツリーのトポロジーは,全VLANグループ(全VLANマッピング)に所属しているVLANにそれぞれ反映されます。また,装置CおよびDではVLAN 100を仮想リンクVLANに設定しているので,両装置間に仮想リンクを構築します。
図30-5 シングルスパニングツリーとRing Protocolの共存構成
(3) PVST+とシングルスパニングツリーの同時動作について
Ring Protocolと共存している場合でも,PVST+とシングルスパニングツリーの同時動作は可能です。この場合,PVST+で動作していないVLANはすべてシングルスパニングツリーとして動作します(通常の同時動作と同じです)。
シングルスパニングツリー,PVST+,およびRing Protocolの共存構成を次の図に示します。ここでは,VLANマッピング128にはVLAN 30が一つだけ設定されているので,PVST+が動作します。VLANマッピング1ではPVST+が動作しないので,シングルスパニングツリーとして動作し,トポロジーを反映します。また,装置CおよびDではVLAN 100を仮想リンクVLANに設定しているので,両装置間に仮想リンクを構築します。
図30-6 シングルスパニングツリー,PVST+,およびRing Protocolの共存構成
(4) マルチプルスパニングツリーとの共存
マルチプルスパニングツリーはRing Protocolで運用するすべてのデータ転送用VLANと共存できます。
マルチプルスパニングツリーは,コンフィグレーションコマンドaxrp virtual-linkで仮想リンクを設定すると,仮想リンクによるトポロジーを構築しRing Protocolとの共存を開始します。コンフィグレーションコマンドaxrp virtual-linkで仮想リンクを設定していない場合は,仮想リンクを構築できないので意図したトポロジーが構築されません。その結果ループが発生するおそれがあります。
MSTインスタンスに所属するVLANと,Ring ProtocolのVLANマッピングで同じVLANを設定すると,MSTインスタンスとRing Protocolで共存動作できるようになります。設定したVLANが一致しない場合,一致していないVLANはブロッキング状態になります。
マルチプルスパニングツリーとRing Protocolの共存構成を次の図に示します。ここでは,装置C,D,およびGにマルチプルスパニングツリーを設定し,装置A,B,C,D,E,およびFにRing ProtocolのVLANグループを二つ設定しています。Ring ProtocolのVLANグループ1はCIST,VLANグループ2はMSTインスタンス3としてマルチプルスパニングツリーのトポロジーに反映されます。また,装置CおよびDではVLAN 100を仮想リンクVLANに設定しているので,両装置間に仮想リンクを構築します。
図30-7 マルチプルスパニングツリーとRing Protocolの共存構成
(5) 共存して動作させないVLANについて
- Ring Protocolだけを適用させるVLAN
PVST+をコンフィグレーション設定などで停止させると,そのVLANはRing Protocolだけが適用されるVLANとなります。
シングルスパニングツリー動作時,またはマルチプルスパニングツリー動作時,Ring Protocolが扱うデータ転送用VLANは必ず共存して動作します。
- PVST+だけを適用させるVLAN
Ring ProtocolでVLANグループに所属しないVLANマッピングを設定すると,PVST+だけが適用されるVLANとなります。
- シングルスパニングツリーだけを適用させるVLAN
Ring ProtocolでVLANグループに所属しないVLANは,シングルスパニングツリーだけが適用されるVLANとなります。
- マルチプルスパニングツリーだけを適用させるVLAN
Ring ProtocolでVLANグループに所属しないVLANは,マルチプルスパニングツリーだけが適用されるVLANとなります。
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