コンフィグレーションガイド Vol.1


22.6.2 制御VLANのforwarding-delay-timeの使用方法

トランジットノードの装置起動やプログラム再起動(運用コマンドrestart axrp)など,Ring Protocolが初期状態から動作する場合,データ転送用VLANは論理ブロックされています。トランジットノードは,マスタノードが送信するフラッシュ制御フレームを受信することでこの論理ブロックを解除します。しかし,プログラム再起動時などは,マスタノードの障害監視時間(health-check holdtime)が長いと,リングネットワークの状態変化を認識できないおそれがあります。この場合,フラッシュ制御フレーム受信待ち保護時間(forwarding-shift-time)がタイムアウトするまで論理ブロックは解除されないため,トランジットノードのデータVLANは通信できない状態になります。制御VLANのフォワーディング遷移時間(forwarding-delay-time)を設定すると次に示す手順で動作するため,このようなケースを回避できます。

  1. トランジットノードは,装置起動やプログラム再起動直後に,制御VLANをいったん論理ブロックします。

  2. トランジットノードの制御VLANが論理ブロックされたので,マスタノードで障害を検出します(ただし,装置起動時はこれ以前に障害を検出しています)。このため,通信は迂回経路に切り替わります。

  3. トランジットノードは,制御VLANのフォワーディング遷移時間(forwarding-delay-time)のタイムアウトによって制御VLANのブロッキングを解除します。

  4. マスタノードはヘルスチェックフレームを受信することで復旧を検出し,フラッシュ制御フレームを送信します。

  5. トランジットノードは,このフラッシュ制御フレームを受信することでデータ転送用VLANの論理ブロックを解除します。これによってデータ転送用VLANでの通信が再開され,リングネットワーク全体でも通常の通信経路に復旧します。

〈この項の構成〉

(1) 制御VLANのフォワーディング遷移時間(forwarding-delay-time)と障害監視時間(health-check holdtime)の関係について

制御VLANのフォワーディング遷移時間(forwarding-delay-time)は,障害監視時間(health-check holdtime)より大きな値を設定してください。制御VLANのフォワーディング遷移時間(forwarding-delay-time)は,障害監視時間(health-check holdtime)の2倍程度を目安として設定することを推奨します。障害監視時間(health-check holdtime)より小さな値を設定した場合,マスタノードで障害を検出できません。したがって,迂回経路への切り替えが行われないため,通信断の時間が長くなるおそれがあります。