コンフィグレーションガイド Vol.3

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29.5.1 IPv6マルチキャスト中継

本装置でIPv6マルチキャストパケットを中継する場合には次の点に注意してください。

<この項の構成>
(1) IPv6 PIM-SMおよびIPv6 PIM-SSM共通
(2) IPv6 PIM-SM

(1) IPv6 PIM-SMおよびIPv6 PIM-SSM共通

(a) ルーティングプログラムの再起動に伴う中継断

本装置は,restart ipv6-multicastコマンド実行によるIPv6マルチキャストルーティングプログラムの再起動を行う場合は,IPv6マルチキャスト経路情報を再学習するまでIPv6マルチキャスト通信が停止するので注意してください。

(b) ポイント−ポイント型の回線

ユニキャストのスタティック経路を設定したポイント−ポイント型の回線を使用して,IPv6マルチキャスト通信を行う場合は,接続先アドレスを明示的に指定(ゲートウェイ指定)してください。

(c) タイミングによるパケット追い越し

本装置で送信者からのマルチキャストデータと受信者側からのPIM-Joinメッセージを同時に受信した場合,タイミングによっては一部のパケットで追い越しが発生し,パケットの順序が入れ替わる場合があります。

(2) IPv6 PIM-SM

IPv6でPIM-SMを使用する場合は次の点に注意してください。

(a) ソフトウェア中継処理時のパケットロス

本装置は,最初のIPv6マルチキャストパケット受信でIPv6マルチキャスト通信を行うためのIPv6マルチキャスト中継エントリをハードウェアへ設定します。エントリを作成するまでの間ソフトウェアでIPv6マルチキャストパケットを中継するため,一時的にパケットをロスする場合があります。

(b) ハードウェア中継切り替え時のパケット追い越し

本装置ではハードウェアへのIPv6マルチキャスト中継エントリの設定が完了すると,それまでのソフトウェアによるIPv6マルチキャストパケットの中継処理がハードウェア中継へと切り替わります。この時に一部のパケットで追い越しが発生し,パケットの順序が入れ替わる場合があります。

(c) パス切り替え時の二重中継またはパケットロス

本装置は,ランデブーポイント経由でのIPv6マルチキャストパケット中継時およびランデブーポイント経由から最短パス経由への切り替え時,一時的に二重中継またはパケットロスが発生する場合があります。

ランデブーポイント経由のIPv6マルチキャストパケットの中継動作およびランデブーポイント経由から最短パス経由切り替え動作は「29.4.2 IPv6 PIM-SM」を参照してください。

(d) 装置アドレスの設定必須

本装置をfirst-hop-routerとして使用する場合,ランデブーポイントへの通信には装置管理情報のローカルアドレスで設定されたIPv6アドレスが用いられます。そのためIPv6 PIM-SMでは,IPv4 PIM-SMとは異なりランデブーポイントやBSRでない場合にも装置アドレスの設定が必須です。

(e) 装置アドレス到達可能性

本装置をランデブーポイントおよびブートストラップルータとして使用する場合,装置管理情報のローカルアドレスで設定されたIPv6アドレスがランデブーポイントとブートストラップルータのアドレスとなります。この装置管理情報のローカルアドレスはIPv6マルチキャスト通信する全装置でユニキャストでのルート認識および通信ができる必要があります。

(f) 静的ランデブーポイント

静的ランデブーポイントは,BSRを使用しないでランデブーポイントを指定する機能です。静的ランデブーポイントはコンフィグレーションで設定します。

静的ランデブーポイントはBSRからBootstrapメッセージによって広告されたランデブーポイント候補との共存もできます。共存時,静的ランデブーポイントはBSRからBootstrapメッセージによって広告されたランデブーポイント候補よりも優先されます。

なお,ランデブーポイント候補のルータは,ランデブーポイントルータアドレスが自アドレスであることを認識することでランデブーポイントとして動作します。したがって,BSRを使用しないで静的ランデブーポイントを使ってネットワークを設計する場合は,ランデブーポイント候補のルータでも静的ランデブーポイントの設定が必要です。

また,静的ランデブーポイントを使用する場合,同一ネットワーク上の全ルータに対して同じ設定をする必要があります。

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