コンフィグレーションガイド Vol.3

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27.1.2 ピアの種別と接続形態

BGP4+はAS間のルーティングプロトコルなので,扱う経路情報は宛先ネットワークへのASパス情報(パケットが宛先のネットワークに到達するまでに通過するASの列)で構成されます。BGP4+が動作するルータをBGP4+スピーカと呼びます。このBGP4+スピーカはそのほかのBGP4+スピーカと経路情報を交換するためにピアを形成します。

本装置で使用されるピアの種類には外部ピアと内部ピアがあります。なお,コンフェデレーション構成時は,これら二つのピアに加え,メンバーAS間ピアが追加されます。メンバーAS間ピアについては,「27.4.10 コンフェデレーション」を参照してください。

ネットワーク構成に合わせてピアを使用してください。外部ピアと内部ピアを次の図に示します。

図27-1 内部ピアと外部ピア

[図データ]

<この項の構成>
(1) 外部ピア
(2) 内部ピア
(3) 装置アドレスを使用したピアリング

(1) 外部ピア

外部ピアは異なるASに属するBGP4+スピーカ間に形成するピアです。ピアリングに使用するIPアドレスは直接接続されたインタフェースのリンクローカルまたはグローバルインタフェースアドレスを使用します。

なお,コンフィグレーションコマンドのneighbor ebgp-multihopを使用することによって,直接接続されたインタフェースのインタフェースアドレス以外のアドレス(例えば装置アドレス)で接続できます。

図27-1 内部ピアと外部ピア」のルータ1−ルータ6間,ルータ2−ルータ7間,ルータ3−ルータ8間に形成されるピアが外部ピアです。

(2) 内部ピア

内部の同じASに属するBGP4+スピーカ間に形成するピアです。BGP4+はピア間のコネクションを確立するためにTCP(ポート179)を使用します。そのため,すべてのBGP4+スピーカが物理的にフルメッシュで接続される必要はありませんが,内部ピアはAS内の各BGP4+スピーカ間で論理的にフルメッシュに形成されなければなりません。これは,内部ピアで受信した経路情報はそのほかの内部ピアに通知しないためです。なお,ルート・リフレクションやコンフェデレーションの機能を使用すると,この条件は緩和されます。

図27-1 内部ピアと外部ピア」のルータ1−ルータ2間,ルータ1−ルータ3間,ルータ2−ルータ3間に形成されるピアが内部ピアです。

(3) 装置アドレスを使用したピアリング

本装置では装置に対してIPv6アドレスを割り当てることができます。これを装置アドレスと呼びます。この装置アドレスを外部ピアや内部ピアのIPv6アドレスとして使用することによって,特定の物理インタフェースの状態に依存したピアリング(TCPコネクション)への影響を排除できます。

例えば,「図27-1 内部ピアと外部ピア」でルータ1−ルータ2間の内部ピアにインタフェースのIPv6アドレスを使用すると,ルータ1−ルータ2間に障害が発生しインタフェースが使用できない場合にルータ1−ルータ2間の内部ピアは確立できません。しかし,内部ピアのIPv6アドレスとして装置アドレスを使用すると,ルータ1−ルータ2間のインタフェースが使用できない場合でもルータ4,ルータ5経由で内部ピアを確立できます。

[装置アドレス使用上の注意事項]
装置アドレスを使用する場合,そのアドレスへの経路情報をスタティックまたはIGP(RIPng,OSPFv3)でお互いに学習していなければなりません。なお,本装置は装置アドレスを直結経路情報として扱います。

[内部ピアで非BGP4+スピーカを経由する場合の注意事項]
内部ピアで非BGP4+スピーカを経由して経路情報を通知する(例えば,ルータ2からルータ3に通知する)場合,非BGP4+スピーカでIGP経由でその経路情報を学習していなければなりません。これは該当する経路情報の通知によって通知先BGP4+スピーカから入ってくる該当宛先へのIPv6パケットが,該当する経路を学習していない非BGP4+スピーカのルータで廃棄されるのを防ぐためです。例えば,「図27-1 内部ピアと外部ピア」ではルータ3からルータ5に入ってくるIPv6パケットがルータ5で廃棄されるのを防ぐためです。

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