トラブルシューティングガイド
VRRP構成で通信ができない場合は,次の表に示す障害解析方法に従って原因の切り分けを行ってください。
表3-71 VRRPの障害解析方法
項番 確認内容・コマンド 対応 1 同一仮想ルータを構成する相手装置と本装置で仮想ルータの状態を確認し,マスタとなっている装置が1台であり,ほかの装置はバックアップになっていることを確認してください。 同一仮想ルータを構成する装置間で,マスタとなっている装置が1台だけであり,そのほかはバックアップとなっている場合には,次の点を確認してください。
端末の設定に問題がなく,通信経路上の装置での経路情報も問題ない場合は,項番2へ。
- 仮想ルータの配下に,ほかのルータを介さずに端末が接続されている場合,各端末のネットワーク設定でデフォルトゲートウェイとして仮想ルータの仮想IPアドレスが設定されていることを確認してください。
- 本装置を含めた通信経路上の装置での経路情報を確認してください。
仮想ルータの状態が正しくない場合は項番3へ。 2 show vlanコマンドでdetailパラメータを指定し,仮想ルータが設定されているVLAN内の物理ポートの状態がForwardingであることを確認してください。
- 物理ポートの状態がBlockingの場合,STPのトポロジチェンジなどによって,一時的に通信が遮断されている可能性があります。しばらく待ってから,再度物理ポートの状態がForwardingであることを確認してください。しばらく待っても物理ポートの状態がForwardingにならない場合は,コンフィグレーションおよび物理的なネットワーク構成を確認してください。
- 物理ポートの状態がdownの場合,物理的に接続されていません。コネクタの接続やケーブルに問題がないか,確認してください。
物理ポートの状態がForwardingの場合は,ルーティング先ネットワークの負荷が高くないか,確認してください。 3 同一仮想ルータを構成する相手装置と本装置の仮想ルータの状態が,お互いにマスタとなっていないことを確認してください。
- AX6700S,AX6600SまたはAX6300Sの場合
複数の仮想ルータがマスタとなっている場合は項番4へ。
- AX3800SまたはAX3600Sの場合
複数の仮想ルータがマスタとなっている場合は項番6へ。
複数の仮想ルータがマスタとなっていない場合は項番10へ。 4 show vrrpstatusコマンドでdetailパラメータを指定し,仮想ルータが追従するプライマリ仮想ルータが設定されているか確認してください。 追従するプライマリ仮想ルータが設定されている場合は,項番5へ。 追従するプライマリ仮想ルータが設定されていない場合は,項番6へ。 5 show vrrpstatusコマンドでdetailパラメータを指定し,従っているプライマリ仮想ルータのVLAN,VRIDが仮想ルータを構成している装置間で同一か確認してください。 プライマリ仮想ルータのVLAN,VRIDが仮想ルータを構成する装置間で異なる場合,複数の仮想ルータがマスタになります。仮想ルータを構成する装置のコンフィグレーションは必ず合わせてください。 プライマリ仮想ルータのVLAN,VRIDが仮想ルータを構成する装置間で同一の場合は,項番6へ。
ただし,項番6以降は,プライマリ仮想ルータについて確認してください。6 ping ipv6コマンドで,仮想ルータを構成するルータ間の通信を実IPv6アドレスで確認してください。 仮想ルータを構成するルータ間の実IPv6アドレスによる通信ができない場合,物理的なネットワーク構成を確認してください。 ping ipv6コマンドで,仮想ルータを構成するルータ間の実IPv6アドレスによる通信を確認できた場合は項番7へ。 7 show vrrpstatusコマンドでstatisticsパラメータを指定し,ADVERTISEMENTパケットの受信状況を確認してください。
- 「Virtual router <VRID> of <Interface Name> received VRRP packet for which the advertisement interval is different than the one configured for local virtual router.」が種別ログに登録されており,統計情報の"<Number of packets> with bad advertisement interval"が増加する場合は,本装置と相手装置でADVERTISEMENTパケット送信間隔の設定値が同一であること,およびVRRP動作モードの設定が同一であることを確認してください。
- 「Virtual router <VRID> of <Interface Name> received VRRP packet that does not pass the authentication check.」が種別ログに登録されており,統計情報の" <Number of packets> with authentication failed"が増加する場合は,本装置と相手装置で認証パスワードの設定内容が同一であることを確認してください。
- 「Virtual router <VRID> of <Interface Name> received VRRP packet with IP HopLimit not equal to 255.」が種別ログに登録されており,統計情報の" <Number of packets> with bad ipv6 hoplimit"が増加する場合は,本装置と相手装置間にほかのルータがないことを確認してください。
- 「Virtual router <VRID> of <Interface Name> received VRRP packet for which the address list does not match the locally configured list for the virtual router.」が種別ログに登録されており,統計情報の" <Number of packets> with bad ipv6 address"が増加する場合は,仮想IPアドレス,およびVRRP動作モードの設定が同一であることを確認してください。
- 「Virtual router <VRID> of <Interface Name> received VRRP packet that does not pass the authentication check.」が種別ログに登録されており,統計情報の" <Number of packets> with bad authentication type" が増加する場合は,本装置と相手装置で認証パスワードの設定有無を確認してください。
- 「Virtual router <VRID> of <Interface Name> received VRRP packet that length less than the length of the VRRP header.」が種別ログに登録されており,統計情報の" <Number of packets> with packet length error"が増加する場合は,本装置と相手装置でVRRP動作モードの設定が同一であることを確認してください。
- 「VRRP packet received with unsupported version number.」が種別ログに登録されており,統計情報の" <Number of packets> with invalid type"が増加する場合は,本装置と相手装置でVRRP動作モードの設定が同一であることを確認してください。
ADVERTISEMENTパケットが正常に受信されている場合は,相手装置を確認してください。
ADVERTISEMENTパケットが受信されていない場合には項番8へ。8 show interfacesコマンドで,同一仮想ルータを構成する相手装置が接続されている物理ポートの統計情報を確認してください。
また,show cpuコマンドでCPU使用率を確認してください。同一仮想ルータを構成する相手装置が接続されている物理ポートのInput rateおよびOutput rateが高く,回線の負荷が高い場合,およびshow cpuコマンドで確認したCPU使用率が高い場合は,以下の対策を行ってください。
- 回線がループしている場合,STPなどの利用や物理的なネットワーク構成を見直してループを解消してください。
- コンフィグレーションコマンドvrrp timers advertiseでADVERTISEMENTパケットの送出間隔を長めに設定してください。
- コンフィグレーションコマンドvrrp preempt delayで自動切り戻し抑止時間を設定してください。
物理ポートの負荷が低い場合は項番9へ。 9 フィルタの設定でADVERTISEMENTパケットを廃棄する設定がないことを確認してください。 該当するフィルタの設定がある場合,ADVERTISEMENTパケットを廃棄しないようにフィルタの設定を変更してください。 フィルタの設定がない場合,同一の仮想ルータを構成する相手装置の動作を確認してください。 10 障害監視インタフェース設定がある場合,障害監視インタフェースの状態を確認してください。 障害監視インタフェースを設定したインタフェースに別の仮想ルータの設定があり,その仮想ルータの障害監視インタフェースが該当仮想ルータのインタフェースになっていないことを確認してください。なっている場合は,どちらかの障害インタフェースの設定を削除してください。 上記の障害監視インタフェースの設定がない場合は項番11へ。 11 show vrrpstatusコマンドでdetailパラメータを指定し,仮想ルータの状態を確認してください。 仮想ルータの状態がInitialの場合は,次の点を確認してください。
- 現在の優先度が0でない場合,Admin State欄に表示されている非動作要因を排除してください。(非動作要因については,マニュアル「運用コマンドレファレンス」を参照してください。)
- AX3800SまたはAX3600Sの場合,show loggingコマンドでログを確認し,「The VRRP virtual MAC address entry can't be registered at hardware tables.」がある場合,H/WのMACアドレステーブル設定に失敗しています。いったん該当仮想ルータのコンフィグレーションを削除し,異なる仮想ルータ番号でコンフィグレーションを設定し直すか,仮想ルータを設定するVLANのVLAN IDを変更することで,仮想ルータが動作する可能性があります。
仮想ルータの状態がInitialでない場合,同一の仮想ルータを構成する相手装置の動作を確認してください。
All Rights Reserved, Copyright(C), 2005, 2014, ALAXALA Networks, Corp.