コンフィグレーションガイド Vol.1

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20.1.4 スパニングツリートポロジーの構成要素

スパニングツリーのトポロジーを設計するためには,ブリッジやポートの役割およびそれらの役割を決定するために用いる識別子などのパラメータがあります。これらの構成要素とトポロジー設計における利用方法を以下に示します。

<この項の構成>
(1) ブリッジの役割
(2) ポートの役割
(3) ブリッジ識別子
(4) パスコスト
(5) ポート識別子

(1) ブリッジの役割

ブリッジの役割を次の表に示します。スパニングツリーのトポロジー設計はルートブリッジを決定することから始まります。

表20-5 ブリッジの役割

ブリッジの役割 概要
ルートブリッジ トポロジーを構築する上で論理的な中心となるスイッチです。トポロジー内に一つだけ存在します。
指定ブリッジ ルートブリッジ以外のスイッチです。ルートブリッジの方向からのフレームを転送する役割を担います。

(2) ポートの役割

ポートの役割を次の表に示します。指定ブリッジは3種類のポートの役割を持ちます。ルートブリッジは,以下の役割のうち,すべてのポートが指定ポートとなります。

表20-6 ポートの役割

ポートの役割 概要
ルートポート 指定ブリッジからルートブリッジへ向かう通信経路のポートです。通信可能なポートとなります。
指定ポート ルートポート以外の通信可能なポートです。ルートブリッジからの通信経路でトポロジーの下流へ接続するポートです。
非指定ポート ルートポート,指定ポート以外のポートで,通信不可の状態のポートです。障害が発生した際に通信可能になり代替経路として使用します。

(3) ブリッジ識別子

トポロジー内の装置を識別するパラメータをブリッジ識別子と呼びます。ブリッジ識別子が最も小さい装置が優先度が高く,ルートブリッジとして選択されます。

ブリッジ識別子はブリッジ優先度(16bit)とブリッジMACアドレス(48bit)で構成されます。ブリッジ優先度の下位12bitは拡張システムIDです。拡張システムIDには,シングルスパニングツリー,マルチプルスパニングツリーの場合は0が設定され,PVST+の場合はVLAN IDが設定されます。ブリッジ識別子を次の図に示します。

図20-2 ブリッジ識別子

[図データ]

(4) パスコスト

スイッチ上の各ポートの通信速度に対応するコスト値をパスコストと呼びます。指定ブリッジからルートブリッジへ到達するために経由するすべてのポートのコストを累積した値をルートパスコストと呼びます。ルートブリッジへ到達するための経路が2種類以上ある場合,ルートパスコストが最も小さい経路を使用します。

速度が速いポートほどパスコストを低くすることをお勧めしています。パスコストはデフォルト値がポートの速度に応じた値となっていて,コンフィグレーションで変更することもできます。

(5) ポート識別子

スイッチ内の各ポートを識別するパラメータをポート識別子と呼びます。ポート識別子は2台のスイッチ間で2本以上の冗長接続をし,かつ各ポートでパスコストを変更できない場合に通信経路の選択に使用します。ただし,2台のスイッチ間の冗長接続はリンクアグリゲーションを使用することをお勧めします。リンクアグリゲーションをサポートしていない装置と冗長接続するためにはスパニングツリーを使用してください。

ポート識別子はポート優先度(4bit)とポート番号(12bit)によって構成されます。ポート識別子を次の図に示します。

図20-3 ポート識別子

[図データ]

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