解説書 Vol.2
トランスペアレント・ブリッジはMAC副層によって中継を行う中継装置です。WANおよびATM接続の場合はイーサネットフレームをカプセル化し中継します。トランスペアレント・ブリッジによってエンドシステム(ES)は,ほかのすべてのESが同一イーサネット上に存在するように見えます。また,トランスペアレント・ブリッジはFDDIやイーサネットなどの異種メディア間のフレーム・フォーマット変換(トランスレーション)も行うため,ESは通信相手ESの接続するメディアの違いを意識する必要がありません。この結果,ESから見て通信相手ESはMACアドレスで認識するだけでよいのでネットワークを意識する必要がありません。
本装置のトランスペアレント・ブリッジは次に示す三つの機能を持っています。
- ESのMACアドレスを学習してフィルタリング・データベース(FDB)に登録する機能と,これに基づいたフレームのフィルタリング
- スパニングツリー・アルゴリズムに基づいた論理的木構造(スパニングツリー)の生成
- 異種メディア間のフレーム・フォーマット変換(トランスレーション)
トランスペアレント・ブリッジはフレームを受信すると,送信元MACアドレス(SA)をフィルタリング・データベース(FDB)と呼ばれるテーブルに登録します。FDBの各エントリには,MACアドレスとフレームを受信したポートおよび監視時刻(エイジングタイマ値)が記録されます。フレームを受信するごとに送信元MACアドレスに対応するFDBのエントリが更新されます。
トランスペアレント・ブリッジは,FDBのエントリに従ってフレームのフィルタリングを行います。フレームを受信するとブリッジは宛先MACアドレス(DA)とFDB内のMACアドレスを比較します。一致するエントリがないとフレームを受信したインタフェース以外のすべてのインタフェースにフレーム中継を行います。これをフラッディングといいます。
宛先MACアドレスに一致するエントリがFDBにあると,ブリッジはフレームを受信したインタフェースとFDBのエントリのインタフェースを比較します。インタフェースが同一であれば送信元ESと宛先ESが同一イーサネット上に存在していることになります。この場合フレーム中継は不要であるため,ブリッジはフレームを廃棄(フィルタリング)します。インタフェースが異なっていれば,FDBのエントリに示されたインタフェースへフレームを中継します。それ以外のインタフェースへはフレーム中継は行われません(フィルタリングされます)。
本装置はスパニングツリー・アルゴリズムによって冗長的にブリッジ接続されたイーサネット/WAN上のほかのブリッジと連携して論理的木構造を形成します。このアルゴリズムによって,任意の二つのES間で単一の経路を決定でき,フレームのループ周回を防ぐことができます。スパニングツリー・アルゴリズムはブリッジ間でBPDUと呼ばれる特別なフレームとやり取りすることで行われます。
Copyright (c)2005 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.