構成定義ガイド
- <この項の構成>
- (1) 設定内容の概要
- (2) 構成図と設定条件
- (3) 構成定義情報例
(1) 設定内容の概要
トラフィック量がネットワークの転送容量を上回ると,ネットワーク内でパケットが滞留する場所(輻輳ポイント)が生じます。この輻輳ポイントにQoS制御を適用し,通信品質を改善します。
企業ネットワークにおける輻輳ポイントでの適応例を次に示します。
「図13-9 構成図」はある企業のネットワークの構成です。支店の従業員数は500人で,PCを1人1台配布されています。各従業員はPCから本社のメールサーバ,WWWサーバおよびホストコンピュータを利用しています。本社と支店の間は専用線(6.3Mbps)で接続していますが,従業員が一斉に本社各種サーバへの接続を開始するような始業時間直後には本社と支店間の専用線が輻輳ポイント(A-1,A-2)になります。輻輳ポイントで各従業員のトラフィック量を平等にすることと,重要なトラフィックを優先するために,本社・支店ルータの専用線出力側で最低帯域を保証するQoS制御の設定をします。詳細な要求事項は次のようになります。
- メールサーバとWWWサーバだけを利用する従業員(1〜300)には最低帯域を8kpbs保証します。
- メールサーバとWWWサーバおよびホストコンピュータを利用する従業員(301〜500)には最低帯域を16kbps保証します。
- 各従業員がホストコンピュータと各種サーバを同時に利用した場合,ホストコンピュータのトラフィックを優先します。
(2) 構成図と設定条件
- [構成図]
図13-9 構成図
- [設定条件]
- 各従業員のPCが各種サーバ,ホストコンピュータへの接続によって発生するトラフィックをPCのIPアドレスで識別し,各ユーザ用のキューに振り分けるように設定
- ホストコンピュータと各種サーバを利用するユーザのトラフィックはホストコンピュータのトラフィックをキューイング優先度4,各種サーバのトラフィックのキューイング優先度を2に設定
- ユーザ1〜300が使用するキュー番号1〜300の最低帯域を8kbpsに設定
- ユーザ301〜500が使用するキュー番号301〜500の最低帯域を12kbpsに設定
(3) 構成定義情報例
- 支店ルータの設定
- [コマンドによる設定]
1 (config)# qos 2 (config)# qos-queue-list QUEUEA [qos-queue-list QUEUEA] 3 (config)# bandwidth_kbps [qos-queue-list QUEUEA] 4 (config)# max_queue_number_1000 [qos-queue-list QUEUEA] 5 (config)# queue 1-300 8 [qos-queue-list QUEUEA] 6 (config)# queue 301-500 16 [qos-queue-list QUEUEA] 7 (config)# exit 8 (config)# qos-interface BRANCH queue_list QUEUEA 9 (config)# flow qos BRANCH out [flow qos BRANCH out] 10 (config)# list 1 ip 172.16.1.1 any action priority 1 discard 4 [flow qos BRANCH out] : 11 (config)# list 300 ip 172.16.2.50 any action priority 300 discard 4 [flow qos BRANCH out] 12 (config)# list 301 ip 172.16.2.51 172.16.100.1 action priority 301 discard 4 [flow qos BRANCH out] 13 (config)# list 302 ip 172.16.2.51 any action priority 301 discard 2 [flow qos BRANCH out] : 14 (config)# list 699 ip 172.16.2.250 172.16.100.1 action priority 500 discard 4 [flow qos BRANCH out] 15 (config)# list 700 ip 172.16.2.250 any action priority 500 discard 2 [flow qos BRANCH out] 16 (config)# exit 17 (config)# flow yes表13-27 支店ルータの構成定義情報解説
解説番号 解説 1 QoSを使用します。 2〜4 QUEUEAのキューモードを最低帯域保証(kbps指定),最大キュー数1000に設定します。 5 キュー1〜300を最低帯域8kbpsに設定します。 6,7 キュー301〜500を最低帯域16kbps設定します。 8 インタフェース名称BRANCHに,QoSキューリスト名称QUEUEAを登録します。 9,10 PC001のQoSエントリの設定です。
インタフェース名BRANCHのoutbound(送信側)に送信元IPアドレス=172.16.1.1を出力優先度1,キューイング優先度4にするよう設定します。11 PC300のQoSエントリの設定です。
インタフェース名BRANCHのoutbound(送信側)に送信元IPアドレス=172.16.2.50を出力優先度300,キューイング優先度4にするよう設定します。12 PC301のQoSエントリにおけるホストコンピュータ接続用の設定です。
インタフェース名BRANCHのoutbound(送信側)に送信元IPアドレス=172.16.2.50,宛先IPアドレス=172.16.100.1を出力優先度301,キューイング優先度4にするよう設定します。13 PC301のQoSエントリにおける各種サーバ接続用の設定です。
インタフェース名BRANCHのoutbound(送信側)に送信元IPアドレス=172.16.2.50を出力優先度301,キューイング優先度2にするよう設定します。14 PC500のQoSエントリにおけるホストコンピュータ接続用の設定です。
インタフェース名BRANCHのoutbound(送信側)に送信元IPアドレス=172.16.2.250,宛先IPアドレス=172.16.100.1を出力優先度500,キューイング優先度4にするよう設定します。15,16 PC500のQoSエントリにおける各種サーバ接続用の設定です。
インタフェース名BRANCHのoutbound(送信側)に送信元IPアドレス=172.16.2.50を出力優先度500,キューイング優先度2にするよう設定します。17 フロー制御機能を使用する設定にします。
- [構成定義情報の表示]
qos qos-queue-list QUEUEA bandwidth_kbps max_queue_number_1000 queue 1-300 8 queue 301-500 16 qos-interface BRANCH queue_list QUEUEA ! flow yes flow qos BRANCH out list 1 ip 172.16.1.1 any action priority 1 discard 4 : list 300 ip 172.16.2.50 any action priority 300 discard 4 list 301 ip 172.16.2.51 172.16.100.1 action priority 301 discard 4 list 302 ip 172.16.2.51 any action priority 301 discard 2 : list 699 ip 172.16.2.250 172.16.100.1 action priority 500 discard 4 list 700 ip 172.16.2.250 any action priority 500 discard 2
- 本社ルータの設定
- [コマンドによる設定]
1 (config)# qos 2 (config)# qos-queue-list QUEUEA [qos-queue-list QUEUEA] 3 (config)# bandwidth_kbps [qos-queue-list QUEUEA] 4 (config)# max_queue_number_1000 [qos-queue-list QUEUEA] 5 (config)# queue 1-300 8 [qos-queue-list QUEUEA] 6 (config)# queue 301-500 16 [qos-queue-list QUEUEA] 7 (config)# exit 8 (config)# qos-interface HEAD queue_list QUEUEA 9 (config)# flow qos HEAD out [flow qos HEAD out] 10 (config)# list 1 ip any 172.16.1.1 action priority 1 discard 4 [flow qos HEAD out] : 11 (config)# list 300 ip any 172.16.2.50 action priority 300 discard 4 [flow qos HEAD out] 12 (config)# list 301 ip 172.16.100.1 172.16.2.51 action priority 301 discard 4 [flow qos HEAD out] 13 (config)# list 302 ip any 172.16.2.51 action priority 301 discard 2 [flow qos HEAD out] : 14 (config)# list 699 ip 172.16.100.1 172.16.2.250 action priority 500 discard 4 [flow qos HEAD out] 15 (config)# list 700 ip any 172.16.2.250 action priority 500 discard 2 [flow qos HEAD out] 16 (config)# exit 17 (config)# flow yes表13-28 本社ルータの構成定義情報解説
解説番号 解説 1〜7 <支店ルータ>の解説番号1〜7に同じ 8 インタフェース名称HEADに,QoSキューリスト名称QUEUEAを登録します。 9,10 PC001のQoSエントリの設定です。
インタフェース名HEADのoutbound(送信側)に宛先IPアドレス=172.16.1.1を出力優先度1,キューイング優先度4にするよう設定します。11 PC300のQoSエントリの設定です。
インタフェース名HEADのoutbound(送信側)に宛先IPアドレス=172.16.2.50を出力優先度300,キューイング優先度4にするよう設定します。12 PC301のQoSエントリにおけるホストコンピュータ接続用の設定です。
インタフェース名HEADのoutbound(送信側)に宛先IPアドレス=172.16.2.50,送信元IPアドレス=172.16.100.1を出力優先度301,キューイング優先度4にするよう設定します。13 PC301のQoSエントリにおける各種サーバ接続用の設定です。
インタフェース名HEADのoutbound(送信側)に宛先IPアドレス=172.16.2.50を出力優先度301,キューイング優先度2にするよう設定します。14 PC500のQoSエントリにおけるホストコンピュータ接続用の設定です。
インタフェース名HEADのoutbound(送信側)に宛先IPアドレス=172.16.2.250,送信元IPアドレス=172.16.100.1を出力優先度500,キューイング優先度4にするよう設定します。15,16 PC500のQoSエントリにおける各種サーバ接続用の設定です。
インタフェース名HEADのoutbound(送信側)に宛先IPアドレス=172.16.2.50を出力優先度500,キューイング優先度2にするよう設定します。17 フロー制御機能を使用する設定にします。
- [構成定義情報の表示]
qos qos-queue-list QUEUEA bandwidth_kbps max_queue_number_1000 queue 1-300 8 queue 301-500 16 qos-interface HEAD queue_list QUEUEA ! flow yes flow qos HEAD out list 1 ip any 172.16.1.1 action priority 1 discard 4 : list 300 ip any 172.16.2.50 action priority 300 discard 4 list 301 ip 172.16.100.1 172.16.2.51 action priority 301 discard 4 list 302 ip any 172.16.2.51 action priority 301 discard 2 : list 699 ip 172.16.100.1 172.16.2.250 action priority 500 discard 4 list 700 ip any 172.16.2.250 action priority 500 discard 2
Copyright (c)2005 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.