構成定義ガイド
- <この項の構成>
- (1) 設定内容の概要
- (2) 構成図と設定条件
- (3) 構成定義情報例
(1) 設定内容の概要
ここでは,ATM LANを構内バックボーンネットワークに適用した場合の例を示します。デパートメント毎に本装置またはルータを置き,それらすべてをVCで直接接続します。したがって,ネットワークの形態はフルメッシュネットワークとなります。
回線の設定は使用するATMスイッチに合わせる必要があります。ここでは弊社製ATMスイッチAN1000を使用した場合の例を示します。
フォワーディング上はATM LANを1IPサブネットとして扱います。ここでは,接続する相手ルータが他機種である場合にも可能な一般的な設定を紹介します。
(2) 構成図と設定条件
- [構成図]
図5-35 構成図
- [設定条件]
- <ネットワークの環境>
- デパートメント1,2,3を接続する構内バックボーンネットワークを構築します。回線の設定は弊社製ATMスイッチに接続するために,次のポイントに注意します。
- lineコマンドのパラメータ-clockをindependentに設定する。
- lineコマンドのパラメータ-frame_formatをsdh_unassignedに設定する。
- デパートメント1のネットワーク内に基幹業務に使用するメインフレームがあり,他のデパートメントからアクセスします。また,デパートメント3のネットワークにはメールサーバがあり,やはり他のデパートメントからアクセスします。バックボーンネットワークでは,この基幹業務のトラフィックを優先し,メールサーバのトラフィックは非優先とし,トラフィックの集中するATMスイッチではセルのCLPビットの値に応じた廃棄レベルを設定するものとします。これに対し,本装置では送信時,出力優先制御を行うとともに,優先するフローはセルのCLPビット=0で,非優先のフローはCLPビット=1で送信します。このために次のポイントに注意します。
- メインフレームとのトラフィックについてのQoS制御は,出力優先度,キューイング優先度ともに高く設定し,ATMでのトラフィック制御はサービスカテゴリCBRとし,CLP=0とする。
- メールサーバとのトラフィックについてのQoS制御は,出力優先度,キューイング優先度ともに低く設定し,ATMでのトラフィック制御はサービスカテゴリUBRとし,CLP=1とする。
- フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。接続する相手ルータが他機種である場合にも可能な設定とするために,次のポイントに注意します。
- ipコマンドのパラメータ-connect_typeがbroadであること。(デフォルト)
- <本装置Aの環境>
- 本装置Aはデパートメント1のネットワークとバックボーンATM LANを接続するルータで,NIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
- atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
- メインフレームからのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度7,キューイング優先度4
- 本装置BへのVC名:NorthEastV,VPI/VCI=0/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=120Mbit/s
- メールサーバへのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度4,キューイング優先度1
- ルータCへのVC名:NorthSouthV,VPI/VCI=0/33
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=UBR
- <本装置Bの環境>
- 本装置Bはデパートメント2のネットワークとバックボーンATM LANを接続するルータで,NIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
- atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
- メインフレームへのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度7,キューイング優先度4
- 本装置AへのVC名:EastNorthV,VPI/VCI:0/32
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=120Mbit/s
- メールサーバへのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度4,キューイング優先度1
- ルータCへのVC名:EastSouthV,VPI/VCI=0/33
- 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=UBR
(3) 構成定義情報例
- [コマンドによる設定]
- <本装置A>
1 (config)# traffic CBR120M cbr pcr 120000 2 (config)# traffic UBR ubr 3 (config)# line NorthBuilding oc3atm 0/0 [line NorthBuilding] 4 (config)# clock independent [line NorthBuilding] 5 (config)# frame_format sdh_unassigned [line NorthBuilding] 6 (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 [line NorthBuilding] 7 (config)# vp 0 pcr 149760 [vp 0] 8 (config)# vc NorthEastV 32 traffic CBR120M [vc NorthEastV] 9 (config)# discard_class 0+1 [vc NorthEastV] 10 (config)# exit [vp 0] 11 (config)# vc NorthSouthV 33 traffic UBR [vc NorthSouthV] 12 (config)# discard_class 0+1 [vc NorthSouthV] 13 (config)# exit [vp 0] 14 (config)# exit [line NorthBuilding] 15 (config)# exit 16 (config)# group BackboneNet NorthEastV NorthSouthV [group BackboneNet] 17 (config)# ip 192.168.10.1/24 [group BackboneNet] 18 (config)# exit 19 (config)# flow yes 20 (config)# flow qos BackboneNet out [flow qos BackboneNet out] 21 (config)# list 1 ip 192.168.200.10 192.168.50.1-192.168.50.255 action priority 7 discard 1 [flow qos BackboneNet out] 22 (config)# list 2 ip any 192.168.100.10 action priority 4 discard 1 [flow qos BackboneNet out] 23 (config)# exit表5-77 本装置Aの構成定義情報解説
解説番号 解説 1 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート120Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR120Mで定義します。 2 サービスカテゴリUBRのトラフィッククラスをトラフィック名UBRで定義します。 3〜5 NIF番号0,Line番号0に回線名NorthBuildingのATM回線を定義します。 6 回線名NorthBuildingの回線のプロトコルをATMに指定します。 7 VPI値=0およびピークセルレート149760Mbit/sを定義します。 8〜10 本装置A−本装置B間のVCを定義します。VCI=32,VC名はNorthEastVです。 11〜15 本装置A−ルータC間のVCを定義します。VCI=33,VC名はNorthSouthVです。 16 VCをグループ化し,インタフェース名BackboneNetを定義します。 17,18 BackboneNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。 19 フロー制御を使用可能にします。 20,21 メインフレームとクライアントとのトラフィックの出力優先度7,キューイング優先度4(最高位)にします。 22,23 メールサーバからのトラフィックの出力優先度4,キューイング優先度1(最低位)にします。
- <本装置B>
1 (config)# traffic CBR120M cbr pcr 120000 2 (config)# traffic UBR ubr 3 (config)# line EastBuilding oc3atm 0/0 [line EastBuilding] 4 (config)# clock independent [line EastBuilding] 5 (config)# frame_format sdh_unassigned [line EastBuilding] 6 (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 [line EastBuilding] 7 (config)# vp 0 pcr 149760 [vp 0] 8 (config)# vc EastNorthV 32 traffic CBR120M [vc EastNorthV] 9 (config)# discard_class 0+1 [vc EastNorthV] 10 (config)# exit [vp 0] 11 (config)# vc EastSouthV 34 traffic UBR [vc EastSouthV] 12 (config)# discard_class 0+1 [vc EastSouthV] 13 (config)# exit [vp 0] 14 (config)# exit [line EastBuilding] 15 (config)# exit 16 (config)# group BackboneNet EastNorthV EastSouthV [group BackboneNet] 17 (config)# ip 192.168.10.2/24 [group BackboneNet] 18 (config)# exit 19 (config)# flow yes 20 (config)# flow qos BackboneNet out [flow qos BackboneNet out] 21 (config)# list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.200.10 action priority 7 discard 4 [flow qos BackboneNet out] 22 (config)# list 2 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.10 action priority 4 discard 1 [flow qos BackboneNet out] 23 (config)# exit表5-78 本装置Bの構成定義情報解説
解説番号 解説 1,2 <本装置A>の解説番号1,2に同じ 3〜5 NIF番号0,Line番号0に回線名EastBuildingのATM回線を定義します。 6 回線名EastBuildingの回線のプロトコルをATMに指定します。 7 VPI値=0およびピークセルレート149760Mbit/sを定義します。 8〜10 本装置B−本装置A間のVCを定義します。VCI=32,VC名はEastNorthVです。 11〜15 本装置B−ルータC間のVCを定義します。VCI=34,VC名はEastSouthVです。 16〜23 <本装置A>の解説番号16〜23に同じ
- [構成定義情報の表示]
- <本装置A>
traffic CBR120M cbr pcr 120000 traffic UBR ubr ! line NorthBuilding oc3atm 0/0 clock independent frame_format sdh_unassigned atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 vp 0 pcr 149760 vc NorthEastV 32 traffic CBR120M discard_class 0+1 vc NorthSouthV 33 traffic UBR discard_class 0+1 ! group BackboneNet NorthEastV NorthSouthV ip 192.168.10.1/24 ! flow yes flow qos BackboneNet out list 1 ip 192.168.200.10 192.168.50.1-192.168.50.255 action priority 7 discard 1 list 2 ip any 192.168.100.10 action priority 4 discard 1
- <本装置B>
traffic CBR120M cbr pcr 120000 traffic UBR ubr ! line EastBuilding oc3atm 0/0 clock independent frame_format sdh_unassigned atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1 vp 0 pcr 149760 vc EastNorthV 32 traffic CBR120M discard_class 0+1 vc EastSouthV 34 traffic UBR discard_class 0+1 ! group BackboneNet EastNorthV EastSouthV ip 192.168.10.2/24 ! flow yes flow qos BackboneNet out list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.200.10 action priority 7 discard 4 list 2 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.10 action priority 4 discard 1
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