構成定義ガイド

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5.5.9 ATM LAN接続,フルメッシュネットワーク

<この項の構成>
(1) 設定内容の概要
(2) 構成図と設定条件
(3) 構成定義情報例

(1) 設定内容の概要

ここでは,ATM LANを構内バックボーンネットワークに適用した場合の例を示します。デパートメント毎に本装置またはルータを置き,それらすべてをVCで直接接続します。したがって,ネットワークの形態はフルメッシュネットワークとなります。

回線の設定は使用するATMスイッチに合わせる必要があります。ここでは弊社製ATMスイッチAN1000を使用した場合の例を示します。

フォワーディング上はATM LANを1IPサブネットとして扱います。ここでは,接続する相手ルータが他機種である場合にも可能な一般的な設定を紹介します。

(2) 構成図と設定条件

[構成図]

図5-35 構成図

[図データ]

[設定条件]

<ネットワークの環境>
デパートメント1,2,3を接続する構内バックボーンネットワークを構築します。回線の設定は弊社製ATMスイッチに接続するために,次のポイントに注意します。
  • lineコマンドのパラメータ-clockをindependentに設定する。
  • lineコマンドのパラメータ-frame_formatをsdh_unassignedに設定する。
デパートメント1のネットワーク内に基幹業務に使用するメインフレームがあり,他のデパートメントからアクセスします。また,デパートメント3のネットワークにはメールサーバがあり,やはり他のデパートメントからアクセスします。バックボーンネットワークでは,この基幹業務のトラフィックを優先し,メールサーバのトラフィックは非優先とし,トラフィックの集中するATMスイッチではセルのCLPビットの値に応じた廃棄レベルを設定するものとします。これに対し,本装置では送信時,出力優先制御を行うとともに,優先するフローはセルのCLPビット=0で,非優先のフローはCLPビット=1で送信します。このために次のポイントに注意します。
  • メインフレームとのトラフィックについてのQoS制御は,出力優先度,キューイング優先度ともに高く設定し,ATMでのトラフィック制御はサービスカテゴリCBRとし,CLP=0とする。
  • メールサーバとのトラフィックについてのQoS制御は,出力優先度,キューイング優先度ともに低く設定し,ATMでのトラフィック制御はサービスカテゴリUBRとし,CLP=1とする。
フォワーディング上はATMネットワークを1IPサブネットとして扱います。接続する相手ルータが他機種である場合にも可能な設定とするために,次のポイントに注意します。
  • ipコマンドのパラメータ-connect_typeがbroadであること。(デフォルト)

<本装置Aの環境>
本装置Aはデパートメント1のネットワークとバックボーンATM LANを接続するルータで,NIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
  • メインフレームからのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度7,キューイング優先度4
  • 本装置BへのVC名:NorthEastV,VPI/VCI=0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=120Mbit/s
  • メールサーバへのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度4,キューイング優先度1
  • ルータCへのVC名:NorthSouthV,VPI/VCI=0/33
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=UBR

<本装置Bの環境>
本装置Bはデパートメント2のネットワークとバックボーンATM LANを接続するルータで,NIF番号0,Line番号0にATMのNIFが実装されています。
  • atmコマンドのパラメータ-vp_shaping_numberを1に設定する。
  • メインフレームへのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度7,キューイング優先度4
  • 本装置AへのVC名:EastNorthV,VPI/VCI:0/32
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=CBR,PCR=120Mbit/s
  • メールサーバへのトラフィックに対するQoS制御:出力優先度4,キューイング優先度1
  • ルータCへのVC名:EastSouthV,VPI/VCI=0/33
  • 上記VCで用いるトラフィッククラス:サービスカテゴリ=UBR

(3) 構成定義情報例

[コマンドによる設定]

<本装置A>
 1    (config)# traffic CBR120M cbr pcr 120000
 2    (config)# traffic UBR ubr
 3    (config)# line NorthBuilding oc3atm 0/0
      [line NorthBuilding]
 4    (config)# clock independent
      [line NorthBuilding]
 5    (config)# frame_format sdh_unassigned
      [line NorthBuilding]
 6    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line NorthBuilding]
 7    (config)# vp 0 pcr 149760
      [vp 0]
 8    (config)# vc NorthEastV 32 traffic CBR120M
      [vc NorthEastV]
 9    (config)# discard_class 0+1
      [vc NorthEastV]
10    (config)# exit
      [vp 0]
11    (config)# vc NorthSouthV 33 traffic UBR
      [vc NorthSouthV]
12    (config)# discard_class 0+1
      [vc NorthSouthV]
13    (config)# exit
      [vp 0]
14    (config)# exit
      [line NorthBuilding]
15    (config)# exit
16    (config)# group BackboneNet NorthEastV NorthSouthV
      [group BackboneNet]
17    (config)# ip 192.168.10.1/24
      [group BackboneNet]
18    (config)# exit
19    (config)# flow yes
20    (config)# flow qos BackboneNet out
      [flow qos BackboneNet out]
21    (config)# list 1 ip 192.168.200.10 192.168.50.1-192.168.50.255
                action priority 7 discard 1
      [flow qos BackboneNet out]
22    (config)# list 2 ip any 192.168.100.10 action priority 4 discard 1
      [flow qos BackboneNet out]
23    (config)# exit

表5-77 本装置Aの構成定義情報解説

解説番号 解説
1 サービスカテゴリCBR,ピークセルレート120Mbit/sのトラフィッククラスをトラフィック名CBR120Mで定義します。
2 サービスカテゴリUBRのトラフィッククラスをトラフィック名UBRで定義します。
3〜5 NIF番号0,Line番号0に回線名NorthBuildingのATM回線を定義します。
6 回線名NorthBuildingの回線のプロトコルをATMに指定します。
7 VPI値=0およびピークセルレート149760Mbit/sを定義します。
8〜10 本装置A−本装置B間のVCを定義します。VCI=32,VC名はNorthEastVです。
11〜15 本装置A−ルータC間のVCを定義します。VCI=33,VC名はNorthSouthVです。
16 VCをグループ化し,インタフェース名BackboneNetを定義します。
17,18 BackboneNetをインタフェースとしてIPアドレスを定義します。
19 フロー制御を使用可能にします。
20,21 メインフレームとクライアントとのトラフィックの出力優先度7,キューイング優先度4(最高位)にします。
22,23 メールサーバからのトラフィックの出力優先度4,キューイング優先度1(最低位)にします。

<本装置B>
 1    (config)# traffic CBR120M cbr pcr 120000
 2    (config)# traffic UBR ubr
 3    (config)# line EastBuilding oc3atm 0/0
      [line EastBuilding]
 4    (config)# clock independent
      [line EastBuilding]
 5    (config)# frame_format sdh_unassigned
      [line EastBuilding]
 6    (config)# atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
      [line EastBuilding]
 7    (config)# vp 0 pcr 149760
      [vp 0]
 8    (config)# vc EastNorthV 32 traffic CBR120M
      [vc EastNorthV]
 9    (config)# discard_class 0+1
      [vc EastNorthV]
10    (config)# exit
      [vp 0]
11    (config)# vc EastSouthV 34 traffic UBR
      [vc EastSouthV]
12    (config)# discard_class 0+1
      [vc EastSouthV]
13    (config)# exit
      [vp 0]
14    (config)# exit
      [line EastBuilding]
15    (config)# exit
16    (config)# group BackboneNet EastNorthV EastSouthV
      [group BackboneNet]
17    (config)# ip 192.168.10.2/24
      [group BackboneNet]
18    (config)# exit
19    (config)# flow yes
20    (config)# flow qos BackboneNet out
      [flow qos BackboneNet out]
21    (config)# list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.200.10
                action priority 7 discard 4
      [flow qos BackboneNet out]
22    (config)# list 2 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.10
                action priority 4 discard 1
      [flow qos BackboneNet out]
23    (config)# exit

表5-78 本装置Bの構成定義情報解説

解説番号 解説
1,2 <本装置A>の解説番号1,2に同じ
3〜5 NIF番号0,Line番号0に回線名EastBuildingのATM回線を定義します。
6 回線名EastBuildingの回線のプロトコルをATMに指定します。
7 VPI値=0およびピークセルレート149760Mbit/sを定義します。
8〜10 本装置B−本装置A間のVCを定義します。VCI=32,VC名はEastNorthVです。
11〜15 本装置B−ルータC間のVCを定義します。VCI=34,VC名はEastSouthVです。
16〜23 <本装置A>の解説番号16〜23に同じ

[構成定義情報の表示]

<本装置A>
traffic CBR120M cbr pcr 120000
traffic UBR ubr
!
line NorthBuilding oc3atm 0/0
  clock independent
  frame_format sdh_unassigned
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  vp 0 pcr 149760
    vc NorthEastV 32 traffic CBR120M
      discard_class 0+1
    vc NorthSouthV 33 traffic UBR
      discard_class 0+1
!
group BackboneNet NorthEastV NorthSouthV
  ip 192.168.10.1/24
!
flow yes
flow qos BackboneNet out
  list 1 ip 192.168.200.10 192.168.50.1-192.168.50.255 action priority 7 discard 1
  list 2 ip any 192.168.100.10 action priority 4 discard 1

<本装置B>
traffic CBR120M cbr pcr 120000
traffic UBR ubr
!
line EastBuilding oc3atm 0/0
  clock independent
  frame_format sdh_unassigned
  atm vpi_vci_range 1 vp_shaping_number 1
  vp 0 pcr 149760
    vc EastNorthV 32 traffic CBR120M
      discard_class 0+1
    vc EastSouthV 34 traffic UBR
      discard_class 0+1
!
group BackboneNet EastNorthV EastSouthV
  ip 192.168.10.2/24
!
flow yes
flow qos BackboneNet out
  list 1 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.200.10 action priority 7 discard 4
  list 2 ip 192.168.50.1-192.168.50.255 192.168.100.10 action priority 4 discard 1

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