運用コマンドレファレンス Vol.3


traceroute ipv6

宛先ホストまでUDP6メッセージが通ったルート(通ったゲートウェイのルートとゲートウェイ間の応答時間)を表示します。本コマンドはIPv6専用です。

[入力形式]

traceroute ipv6 <host> [numeric] [direct] [verbose] [gateway <gateway address>...] [hoplimit <hops>] [port <port>] [probes <count>] [[specific-route] source <source address>] [waittime <time>] [packetsize <size>] [vrf <vrf id>] [dscp <dscp>]

[入力モード]

一般ユーザモードおよび装置管理者モード

[パラメータ]

<host>

テスト対象(IP送信先)の宛先ホスト名,ホストIPv6アドレス,またはインタフェース名付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)を指定します。

vrf <vrf id>を指定する場合,<host>にはIPv6アドレス,またはインタフェース名付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)のどちらかだけを指定できます。vrf <vrf id>を指定する場合,<host>には宛先ホスト名を指定できません。

numeric

ゲートウェイのアドレスをホスト名とIPv6アドレスではなく,IPv6アドレスだけで表示します。

本パラメータ省略時の動作

ホストのIPv6アドレスを名前に変換して表示します。

direct

プローブパケットを接続されているネットワーク上のホストに直接送出します。通常のルーティングテーブルを使用しません。本オプションは,経路を持たないインタフェースを使ってホストにtraceroute ipv6を実行する場合に使用できます。

本パラメータ省略時の動作

通常のルーティングテーブルを使用して送信します。

verbose

冗長出力を有効にします。

本パラメータ省略時の動作

TIME_EXCEEDEDおよびUNREACHABLEだけを出力します。

gateway <gateway address>

ソースルートのゲートウェイを指定します。

本パラメータ省略時の動作

ソースルートゲートウェイを設定しません。

hoplimit <hops>

送出されるプローブパケットの最大ホップ数をセットします。指定できる値は1〜255です。

本パラメータ省略時の動作

最大30ホップになります。

port <port>

使用するUDP6パケットのポート番号を指定します。プローブパケットのポート番号は<port>+1から始まり,プローブパケットごとに1ずつ増加します。

本パラメータ省略時の動作

ポート番号は33434になります(プローブパケットのポート番号は33435から始まります)。

probes <count>

ホップごとの探索の回数を<count>に指定します。指定できる値は1〜4294967295です。

本パラメータ省略時の動作

探索の回数は3回になります。

source <source address>

送出されるプローブパケットのソースアドレス(送出するアドレス)として,引数のIPv6アドレス(ホスト名ではなく,数字で指定してください)を使用します。複数のIPv6アドレスを持つホストで,プローブパケットに別のソースアドレスを持たせる場合に使用できます。指定したIPv6アドレスが,本ホストのインタフェースのアドレスのうちの一つでない場合,エラーが返され何も送出されません。

本パラメータ省略時の動作

本装置が選択した送信元IPv6アドレスが使用されます。

specific-route

マルチパス経路の宛先の場合に,一方の経路へだけパケットを送出します。パケットの送出インタフェースはsourceオプションの<source address>で指定したIPv6アドレスが設定されているインタフェースです。

本パラメータ省略時の動作

特定の経路を設定しません。

waittime <time>

プローブパケットの応答待ち時間を秒単位で指定します。指定できる値は2〜2147483です。

本パラメータ省略時の動作

待ち時間は5秒になります。

packetsize <size>

プローブパケットのデータサイズをバイト単位で指定します。指定できる値は12〜65527です。0〜11を指定した場合は12として動作します。

本パラメータ省略時の動作

データサイズは12バイトになります。

vrf <vrf id>

VRFを指定してルートを表示します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。

本パラメータ省略時の動作

グローバルネットワークルートを対象とします。

dscp <dscp>

<dscp>で指定した値をIPv6ヘッダのDifferentiated Services(Traffic Class)フィールドのDSCP値として設定します。指定できる値は0〜63です。

本パラメータ省略時の動作

0が設定されます。

すべてのパラメータ省略時の動作

グローバルネットワークを対象に指定された<host> へのルートを表示します。

[実行例]

図3‒15 traceroute ipv6コマンドの実行結果画面
>traceroute ipv6 2001:db8:120::100 numeric
traceroute to 2001:db8:120::100 (2001:db8:120::100), 30 hops max, 40 byte packets
 1  2001:db8:22::100  0.612 ms *  0.532 ms
 2  2001:db8:120::100 0.905 ms  0.816 ms  0.807 ms

[通信への影響]

なし

[応答メッセージ]

表3‒13 traceroute ipv6コマンドの応答メッセージ一覧

メッセージ

内容

A host name and VRF cannot be specified at the same time.

VRFと同時にホスト名称を指定できません。

bind: Can't assign requested address

指定したIPアドレスは本装置に設定されていません(sourceオプション時)。

connect: No route to host

指定宛先への経路がありませんでした。

packet too short (<receive> bytes) from <host>

指定したホストからのパケット長が短過ぎます。

<receive> 受信したデータ長

<host> ホスト名またはIPアドレス

sendto: <error message>

ソケットへのデータ送信に失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

The command is not authorized by the RADIUS/TACACS+ server or the configuration.

このコマンドはRADIUSサーバ,TACACS+サーバ,またはコンフィグレーションで承認されていません。

traceroute6: No address associated with hostname

ホスト名が間違っています。正しいホスト名を入力してください。

traceroute6: socket(ICMPv6): <error message>

icmpソケットオープンに失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

traceroute6: Warning: <host> has multiple addresses; using <address>

指定した<host>は複数のアドレスを持っていましたが,<address>を採用しました。

<host> ホスト名

<address> IPアドレス

traceroute6: wrote <host> <send> chars, ret=<sent>

指定したホストへパケットが送信できません。

<host> ホスト名またはIPアドレス

<send> 送信するデータ長

<sent> 送信したデータ長

[注意事項]

  1. 宛先ホストに対するグローバルホスト経路が存在する場合,そのホストに対してdirectパラメータは有効となりません。

  2. 本装置でtraceroute ipv6コマンド実行中に,本装置に対して継続的にICMPv6メッセージが発行された場合,traceroute ipv6コマンドが無応答になったように見えることがあります。その場合は,verboseパラメータを指定して実行することで,本装置に対して継続的に発行されているICMPv6メッセージを確認できます。

  3. DNSサーバのIPアドレスが正しく設定されていない場合,ホスト名の参照時にDNSサーバとの通信ができないことを検知するまでに時間が掛かり,実行結果が表示されるまでの時間が長くなることがあります。DNSサーバを設定していない場合は,この現象は発生しません。

  4. packetsizeパラメータで指定できる最大値は65527バイトですが,gatewayパラメータを同時に指定すると送信パケットにルーティングヘッダが追加されるため,packetsizeパラメータで指定できる最大値が小さくなります。

  5. QoS制御が有効になっている場合は,dscpパラメータを指定してもQoS制御の影響を受けます。