ping ipv6
ping ipv6コマンドは,目的のIPv6アドレスを持つ装置に対して通信可能であるかどうかを判定するために使用します。本コマンドはIPv6専用です。
[入力形式]
ping ipv6 <host> [numeric] [summary] [verbose] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [interface <interface type> <interface number>] [{[specific-route] source <source address> | [source <source address>] nexthop <nexthop address>}] [packetsize <size>] [hoplimit <hops>] [<gateway address>...] [vrf <vrf id>] [dscp <dscp>] ping ipv6 <host> {compact | simple} [numeric] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [interface <interface type> <interface number>] [{[specific-route] source <source address> | [source <source address>] nexthop <nexthop address>}] [packetsize <size>] [hoplimit <hops>] [<gateway address>...] [vrf <vrf id>] [dscp <dscp>]
[入力モード]
一般ユーザモードおよび装置管理者モード
[パラメータ]
- <host>
-
宛先ホスト名,IPv6アドレス,またはインタフェース名付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)を指定します。
vrf <vrf id>を指定する場合,<host>にはIPv6アドレス,またはインタフェース名付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)のどちらかだけを指定できます。vrf <vrf id>を指定する場合,<host>には宛先ホスト名を指定できません。
- compact
-
実行結果を,次の記号で簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,ping ipv6送信回数の初期設定値が5回となります。
!:応答あり(ICMPv6 Echo Reply)
.:応答なし
U:経路なし(ICMPv6 Destination Unreachable: No route to destination)
A:アクセス拒否
(ICMPv6 Destination Unreachable:
Communication with destination administratively prohibited)
N:アドレススコープ範囲超え
(ICMPv6 Destination Unreachable: Beyond scope of source address )
H:アドレス到達不能
(ICMPv6 Destination Unreachable: Address unreachable)
S: ポート到達不能(ICMPv6 Destination Unreachable: Port unreachable)
@: 上記以外の到達不能(ICMPv6 Destination Unreachable: 未定義コード)
B: パケット過大(ICMPv6 Packet too big)
T: 時間超過(ICMPv6 Time exceeded)
P: パラメータ問題(ICMPv6 Parameter problem)
?:ICMPv6パケットタイプ判定不可能
なお,次のパケットの送信までに応答がなかった場合は,応答なし(タイムアウト)と判定します。ただし,最後のパケットの場合はintervalで指定された送信間隔+10秒を応答の待ち時間とします。また,simpleパラメータ,summaryパラメータおよびverboseパラメータと同時には指定できません。
- simple
-
実行結果を,次の記号で簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,送信回数の初期設定値が5回となります。
!:応答あり(ICMP Echo Reply)
.:応答なし
なお,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あと,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。そのため,応答がない間はリアルタイムには表示されません。
また,compactパラメータ,summaryパラメータおよびverboseパラメータと同時には指定できません。
- numeric
-
ホストのIPv6アドレスを名前に変換しないで,そのまま表示します。ホスト基準名がホストに登録されている場合,終了時にその基準名を表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
-
ホストのIPv6アドレスを名前に変換して表示します。
- summary
-
出力を抑制します。開始時と終了時の要約行だけ表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
-
1応答で1行の通常表示となります。
- verbose
-
冗長出力を有効にします。ECHO_RESPONSE以外の受信ICMPv6パケットや,本コマンド以外の受信ICMPv6パケットも表示されます。
- 本パラメータ省略時の動作
-
ECHO_RESPONSEおよびそのほかのエラーだけを表示します。
- count <count>
-
<count>で指定した回数だけパケットを送信して終了します。中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。指定できる値は1〜2147483647です。ただし,simpleパラメータ指定時の送信回数は最大65536回となります。
- 本パラメータ省略時の動作
-
無限に送信します。ただし,compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時の送信回数は5回となります。
- interval <wait>
-
<wait>で指定した秒数だけパケットの送信間隔を空けます。指定できる値は0.01〜0.09,0.1〜0.9,および1〜2147483647です。0.01秒から0.09秒までは0.01秒単位,0.1秒から0.9秒までは0.1秒単位,1秒から2147483647秒までは1秒単位で指定できます。
- 本パラメータ省略時の動作
-
送信間隔は1秒となります。
- pad-byte <pattern>
-
送信するパケットを埋めるpadバイトを指定します。padバイトは16バイトを上限とします。これはネットワーク上でデータ依存の問題を診断するときに有効です。例えば,pad-byte ffはすべて1の送信パケットを生成します。指定できる値と範囲は16進数で1〜32桁です。
- 本パラメータ省略時の動作
-
00〜ffでインクリメントしながらpadを生成します。
- interface <interface type> <interface number>
-
<host>で指定した宛先IPv6アドレスがマルチキャストアドレスまたはリンクローカルアドレスの場合は,送信元インタフェースを指定します。
<host>で指定した宛先IPv6アドレスがユニキャストアドレスの場合は,<interface type> <interface number>で指定されたインタフェースにアクティブ経路を保持している場合だけパケットを送信します。
<interface type> <interface number>には,次に示すインタフェース種別グループに対応するインタフェース名およびインタフェース番号を指定できます。詳細は,「パラメータに指定できる値」の「■インタフェースの指定方法」を参照してください。
-
イーサネットインタフェース
-
イーサネットサブインタフェース
-
ポートチャネルインタフェース
-
ポートチャネルサブインタフェース
-
VLANインタフェース
-
ループバックインタフェース
-
マネージメントポート
- 本パラメータ省略時の動作
-
本装置が選択したインタフェースからパケットを送信します。
-
- {[specific-route] source <source address> | [source <source address>] nexthop <nexthop address>}
-
- [specific-route] source <source address>
-
<source address>で指定したIPv6アドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。<source address>に指定できるIPv6アドレスは本装置に設定されているIPv6アドレスだけです。
specific-routeパラメータを指定した場合は,マルチパス経路の宛先のときに特定の経路へだけパケットを送信します。パケットの送信インタフェースは<source address>で指定したIPv6アドレスが設定されているインタフェースです。
specific-routeパラメータを指定しない場合は,特定の経路を指定しないでパケットを送信します。
- [source <source address>] nexthop <nexthop address>
-
<nexthop address>で指定したIPv6アドレス宛てにパケットを送信します。
<source address>を指定した場合は,<source address>で指定したIPv6アドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。<source address>に指定できるIPv6アドレスは本装置に設定されているIPv6アドレスだけです。
<source address>を指定しない場合は,本装置が選択した送信元IPv6アドレスを使用してパケットを送信します。
- 本パラメータ省略時の動作
-
通常のルーティングテーブルに従ってパケットを送信します。
- packetsize <size>
-
送信するデータのバイト数を指定します。送信パケットのサイズはIPv6ヘッダの40バイトとICMPv6ヘッダの8バイトにこの値を足したものになります。指定できる値は1〜65527です。
- 本パラメータ省略時の動作
-
送信するデータのバイト数は8バイトになります。
- hoplimit <hops>
-
<hops>で指定した値をIPv6ヘッダのhopsフィールドに設定します。設定可能な値は1〜255です。
- 本パラメータ省略時の動作
-
64が設定されます。
- <gateway address>
-
ソースルートのゲートウェイを指定します。最大8か所まで指定できます。
- 本パラメータ省略時の動作
-
ソースルートゲートウェイを設定しません。
- vrf <vrf id>
-
VRFを指定します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。
- 本パラメータ省略時の動作
-
グローバルネットワークを対象とします。
- dscp <dscp>
-
<dscp>で指定した値をIPv6ヘッダのDifferentiated Services(Traffic Class)フィールドのDSCP値として設定します。指定できる値は0〜63です。
- 本パラメータ省略時の動作
-
0が設定されます。
- すべてのパラメータ省略時の動作
-
グローバルネットワークを対象に1応答で1行の通常表示となります。
[実行例]
>ping ipv6 2001:db8:100::120 PING6(56=40+8+8 bytes) 2001:db8:100::1 --> 2001:db8:100::120 16 bytes from 2001:db8:100::120, icmp_seq=0 hlim=64 time=0.301 ms 16 bytes from 2001:db8:100::120, icmp_seq=1 hlim=64 time=0.468 ms 16 bytes from 2001:db8:100::120, icmp_seq=2 hlim=64 time=0.45 ms ^C --- 2001:db8:100::120 ping6 statistics --- 3 packets transmitted, 3 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.301/0.406/0.468 ms > |
>ping ipv6 2001:db8:100::120 count 3 packetsize 120 interval 2 |
>ping ipv6 2001:db8:100::120 compact count 10 PING6(56=40+8+8 bytes) 2001:db8:100::1 --> 2001:db8:100::120 !!!!!!!!!! 10 packets transmitted, 10 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.301/0.406/0.468 ms > |
>ping ipv6 2001:db8:100::120 simple count 100 interval 0.5 PING6(56=40+8+8 bytes) 2001:db8:100::1 --> 2001:db8:100::120 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!.........................!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 100 packets transmitted, 75 packets received, 25.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.301/0.406/0.468 ms > |
> ping ipv6 2001:db8:100::120 source 2001:db5:100::1 PING6(56=40+8+8 bytes) 2001:db5:100::1 --> 2001:db8:100::120 sendmsg: No route to host ping6: wrote 2001:db8:100::120 16 chars, ret=-1 sendmsg: No route to host ping6: wrote 2001:db8:100::120 16 chars, ret=-1 sendmsg: No route to host ping6: wrote 2001:db8:100::120 16 chars, ret=-1 ^C --- 2001:db8:100::120 ping6 statistics --- 3 packets transmitted, 0 packets received, 100.0% packet loss |
[表示説明]
表示項目 |
表示内容 |
---|---|
sendmsg: <message> |
ICMPv6パケットの送信に失敗 <message>:失敗理由 |
ping6: wrote <host> <size> chars, ret=<ret> |
ICMPv6パケット送信失敗時の詳細情報 <host>:宛先ホスト名またはIPv6アドレス <size>:送信データサイズ <ret>:送信結果 |
[通信への影響]
なし
[応答メッセージ]
メッセージ |
内容 |
---|---|
A host name and VRF cannot be specified at the same time. |
VRFと同時にホスト名称を指定できません。 |
Bad/invalid number of packets |
countで指定した送信回数が多過ぎます。送信回数を少なくしてください。 |
bind: Can't assign requested address |
指定したIPv6アドレスは本装置に設定されていません(sourceオプション時)。 |
failed to get receiving hop limit |
受信パケットからホップリミットが取得できませんでした。 |
failed to get receiving packet information |
受信パケットからパケット情報が取得できませんでした。 |
invalid peername |
受信パケットに不正な相手が設定されていました。 |
invalid source address: <error message> |
不正な送信元アドレスが指定されています。 <error message>:エラーメッセージ |
No address associated with hostname |
ホスト名に対応するアドレスが見つかりませんでした。 |
packet too short (<receive> bytes) from <host> |
指定したホストからのパケット長が短過ぎます。 <receive>:受信したデータ長 <host>:ホスト名またはIPv6アドレス |
ping6: UDP connect:<reason> |
UDP接続処理に失敗しました。 <reason>:エラー詳細 |
recvmsg: <error message> |
ソケットからのデータ受信に失敗しました。 <error message>:エラーメッセージ |
socket: <error message> |
ソケットオープンに失敗しました。 <error message>:エラーメッセージ |
The command is not authorized by the RADIUS/TACACS+ server or the configuration. |
このコマンドはRADIUSサーバ,TACACS+サーバ,またはコンフィグレーションで承認されていません。 |
The specified interface does not exist. |
指定したインタフェースは存在しません。指定パラメータを確認して再実行してください。 |
The specified interface type is incorrect. |
指定した<interface type>が不正です。指定パラメータを確認して再実行してください。 |
unknown host <hostname> |
ホスト名が間違っています。正しいホスト名を入力してください。 |
[注意事項]
-
ping ipv6コマンドを中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。なお,simpleパラメータ指定時に中断した場合は,その時点で未受信のecho replyに対応した「応答なし」の表示"."を中断後に表示するため,「応答なし」の表示の個数が正確ではないことがあります。
-
compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,summaryパラメータおよびverboseパラメータと同時には指定できません。
-
compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,pingの無限回数送信はできません。
-
intervalを小さくした場合は,送受信されないで「応答なし」の表示となることがあります。そのため,使用環境に応じて調整してください。
-
intervalを小さくした場合に,コンソールなどの通信速度の遅い端末から本コマンドを実行した場合,表示が遅いため「応答なし」の表示となることがあります。その場合は,通信速度の速いリモート運用端末から実行するか,simpleまたはsummaryパラメータを指定して実行してください。
-
intervalを小さくした場合に,実際に送信される各パケットの送信間隔については,装置の負荷状態によるため,厳密にはintervalで指定した時間どおりとはなりません。pingテスト全体としての平均時間で見た場合にintervalで指定された送信間隔となるように送信されます。
-
simpleパラメータはcompactパラメータのような送信間隔ごとのタイムアウトはありません。そのため,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あとに,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。応答がない間はリアルタイムには表示されません。
-
DNSサーバのIPアドレスが正しく設定されていない場合,ホスト名の参照時にDNSサーバとの通信ができないことを検知するまでに時間が掛かり,実行結果が表示されるまでの時間が長くなることがあります。DNSサーバを設定していない場合は,この現象は発生しません。
-
QoS制御が有効になっている場合は,dscpパラメータを指定してもQoS制御の影響を受けます。