コンフィグレーションガイド Vol.3


28.1.2 マルチキャストチャネルリストでのフィルタリング

マルチキャストチャネルフィルタ機能,マルチキャストチャネル数制限機能,および帯域管理機能では,マルチキャストチャネルリストを使用してマルチキャストチャネルの中継に関するマルチキャストグループへの参加をフィルタリングします。マルチキャストチャネルリストには,これらの機能の対象となるマルチキャストチャネルを設定します。マルチキャストチャネルリストについては,「(1) マルチキャストチャネルリストの設定方法」を参照してください。

なお,使用するプロトコルによってフィルタリングの対象が異なります。

PIM-SMの場合

フィルタリングの対象は,グループアドレスだけです。

PIM-SSMの場合

フィルタリングの対象は,グループアドレスと送信元アドレスの組み合わせです。MLDv1 ReportメッセージおよびMLDv2 Report(EXCLUDEモード)メッセージは送信元アドレスが不定なため,対象外になります。ただし,MLD PIM-SSM連携機能を使用するとフィルタリングの対象になります。このときのフィルタリングの対象は,グループアドレスと送信元アドレスの組み合わせです。

〈この項の構成〉

(1) マルチキャストチャネルリストの設定方法

マルチキャストチャネルリストは,コンフィグレーションコマンドipv6 access-listを使用してアクセスリストで設定します。アクセスリストに設定する条件を次の表に示します。

表28‒2 アクセスリストに設定する条件

パラメータ

内容

アクセス可否条件

permitまたはdenyを設定します。

permitの場合フィルタ条件が有効に,denyの場合フィルタ条件が無効になります。

シーケンス番号

シーケンス番号を設定します。シーケンス番号がフィルタリングの順番※1になります。

フィルタ条件

  • IPv6パケットの上位プロトコル条件には,ipv6を設定します。

  • 送信元IPv6アドレスには,送信元アドレス※2またはanyを設定します。

  • 宛先IPv6アドレスには,グループアドレス※2またはanyを設定します。

注※1

シーケンス番号順にフィルタリングします。そのため,アクセスリスト内に同一の(S,G)を設定している場合,シーケンス番号の小さいフィルタ条件に従ってフィルタリングします。

注※2

プレフィックスを指定できます。

(2) MLD Reportメッセージ受信時のフィルタリング

受信したMLD Reportメッセージおよび使用するプロトコル(PIM-SMまたはPIM-SSM)によって,適用するフィルタ条件が異なります。MLDv1 ReportメッセージおよびMLDv2 Report(EXCLUDEモード)メッセージで適用するフィルタ条件と,その判定方法を次の表に示します。

表28‒3 MLDv1 ReportメッセージおよびMLDv2 Report(EXCLUDEモード)メッセージで適用するフィルタ条件と判定方法

プロトコル

MLD PIM-SSM連携機能の設定

適用するフィルタ条件

判定方法

送信元アドレス

宛先アドレス

PIM-SM

なし

送信元アドレス

グループアドレス

一致しない※1

any

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD Reportメッセージのグループアドレスと一致

送信元アドレス

any

一致しない※1

any

any

アクセス可否条件がpermitで一致

あり

一致しない※2

PIM-SSM

なし

一致しない※3

あり

送信元アドレス

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD PIM-SSM連携機能の送信元アドレスおよびMLD Reportメッセージのグループアドレスと一致

any

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD Reportメッセージのグループアドレスと一致

送信元アドレス

any

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD PIM-SSM連携機能の送信元アドレスと一致

any

any

アクセス可否条件がpermitで一致

(凡例) −:該当しない

注※1

MLDv1 ReportメッセージおよびMLDv2 Report(EXCLUDEモード)メッセージでは送信元アドレスが不明なため,一致しません。

注※2

PIM-SMアドレスにはMLD PIM-SSM連携機能が設定できないため,一致しません。

注※3

MLD PIM-SSM連携機能の設定がないため,一致しません。

MLDv2 Report(INCLUDEモード)メッセージで適用するフィルタ条件と,その判定方法を次の表に示します。

表28‒4 MLDv2 Report(INCLUDEモード)メッセージで適用するフィルタ条件と判定方法

プロトコル

適用するフィルタ条件

判定方法

送信元アドレス

宛先アドレス

PIM-SM

送信元アドレス

グループアドレス

一致しない

any

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD Reportメッセージのグループアドレスと一致

送信元アドレス

any

一致しない

any

any

アクセス可否条件がpermitで一致

PIM-SSM

送信元アドレス

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD Reportメッセージの送信元アドレスおよびグループアドレスと一致

any

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD Reportメッセージのグループアドレスと一致

送信元アドレス

any

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD Reportメッセージの送信元アドレスと一致

any

any

アクセス可否条件がpermitで一致

CHANGE_TO_INCLUDE_MODEで送信元アドレス指定なし,およびBLOCK_OLD_SOURCESは対象外です。

注※

PIM-SMではフィルタ条件の送信元アドレスがanyだけ対象のため,一致しません。

判定の結果,フィルタ条件に一致したと見なす場合,各機能で制限している値の使用数をカウントします。マルチキャストチャネルフィルタ機能の場合は参加を許可します。

(3) MLD PIM-SSM連携機能での送信元アドレス追加時のフィルタリング

MLD PIM-SSM連携機能で送信元アドレスを追加した場合も,フィルタリングの対象になります。MLD PIM-SSM連携機能で適用するフィルタ条件と,その判定方法を次の表に示します。

表28‒5 MLD PIM-SSM連携機能で適用するフィルタ条件と判定方法

プロトコル

適用するフィルタ条件

判定方法

送信元アドレス

宛先アドレス

PIM-SM

一致しない

PIM-SSM

送信元アドレス

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD PIM-SSM連携機能で追加した送信元アドレスおよび連携しているグループアドレスと一致

any

グループアドレス

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • 連携しているグループアドレスと一致

送信元アドレス

any

次のどちらも満たすと一致

  • アクセス可否条件がpermit

  • MLD PIM-SSM連携機能で追加した送信元アドレスと一致

any

any

アクセス可否条件がpermitで一致

(凡例) −:該当しない

注※

PIM-SMアドレスにはMLD PIM-SSM連携機能が設定できないため,一致しません。

判定の結果,フィルタ条件に一致したと見なす場合,各機能で制限している値の使用数をカウントします。マルチキャストチャネルフィルタ機能の場合は参加を許可します。

(4) マルチキャストチャネルリスト不一致時の動作

マルチキャストチャネルフィルタ機能の場合

参加対象のマルチキャストチャネルが,設定したすべてのマルチキャストチャネルリストに一致しない場合,マルチキャストグループへの参加を拒否します。

マルチキャストチャネルフィルタ機能以外の場合

参加対象のマルチキャストチャネルが,設定したすべてのマルチキャストチャネルリストに一致しない場合,該当する機能の対象外になります。