コンフィグレーションガイド Vol.3


17.1.8 注意事項

〈この項の構成〉

(1) ルータID,ネットワークアドレスに関する注意事項

OSPFでは,ネットワークのトポロジを構築するときに,ルータの識別にルータIDを使用します。

ネットワークの設計時に次に示すような不正がある場合,正確なトポロジを構築できません。

これらの不正がある場合,不正確なトポロジに基づいてネットワーク設計するため,正確な経路選択ができなくなります。ルータIDの決定方法として,次の方法をお勧めします。

ルータIDの決定方法

該当ルータでOSPFが動作しているインタフェースに割り当ててあるIPアドレスから一つ選択して,これをルータIDとして使用してください(ルータIDは基本的に任意の32ビットの数値です)。この方法を使用すると,OSPFネットワーク設計時のミスなどによるルータIDの重複を防げます。

なお,1台のルータが複数のOSPFドメインに接続している場合,すべてのドメインで同一のルータIDを使用しても問題ありません。

(2) 経路の再配布フィルタと学習フィルタの注意事項

OSPFでは,隣接ルータから学習したすべてのLSAをほかの隣接ルータへ広告します。再配布フィルタによって,OSPFで学習した経路の同一ドメイン内での広告を抑止できません。また,経路集約機能(ip summary-addressコマンド)を使用してOSPF経路を集約する場合,集約元経路の広告を抑止する設定をしても,同一ドメイン内でのLSA広告は抑止されません。

distribute-list inコマンドでは,フィルタ条件に一致するAS外経路の学習を抑止できます。ただし,LSAの学習,広告を制御できません。そのため,学習しなかった経路もOSPFで広告されます。

(3) マルチバックボーン機能使用時の注意事項

(a) マルチバックボーン使用についての注意

ネットワークを複数のOSPFドメインに分割して運用した場合,ルーティングループの抑止やコストに基づいた経路選択などのOSPFの特長が,OSPFドメイン間の経路の選択や配布によって失われます。新規ネットワーク構築時など,ネットワークを複数のOSPFドメインに分割して運用する必要がない場合は,単一のOSPFネットワークとして構築することをお勧めします。

(b) 複数ドメインの設定についての注意

ループバックインタフェースに設定したアドレスを複数のOSPFドメインに広告する必要がある場合は,OSPF AS外経路として広告してください。コンフィグレーションで,一つのインタフェースを同時に複数のOSPFドメインに設定できません。