コンフィグレーションガイド Vol.3


15.1.1 概要

RIP(Routing Information Protocol)は,ネットワークで接続したルータ間で使用するルーティングプロトコルです。各ルータはRIPを使用して自ルータから到達できるネットワークとそのネットワークへのホップ数(メトリック)を通知し合うことによって経路情報を生成します。

本装置はRIPのバージョン1とバージョン2をサポートしています。バージョン0のメッセージを受信した場合は,破棄します。バージョン3以上のメッセージを受信した場合は,バージョン2のメッセージとして扱います。

RIPの機能を次の表に示します。

表15‒1 RIPの機能

機能

RIP

triggered update

スプリットホライズン

ルートポイズニング

ポイズンリバース

×

ホールドダウン

×

RIP広告経路自動集約

ルートタグ

指定ネクストホップの取り込み

平文パスワード認証

暗号認証(Keyed-MD5)

(凡例) ○:取り扱う ×:取り扱わない

〈この項の構成〉

(1) メッセージの種類

RIPで使用するメッセージの種類にはリクエストとレスポンスの2種類があります。ルータがほかのルータに経路情報を要求する場合にはリクエストを使用して,ほかのルータからのリクエストに応答する場合,および定期的またはトポロジ変化時に自分の経路情報をほかのルータに通知する場合にレスポンスを使用します。

(2) 運用時の処理

本装置の立ち上げ時,本装置はリクエストメッセージをすべての隣接ルータに送信して,隣接ルータが持つすべての経路情報を通知するように要求します。運用に入ると,本装置は次の三つの要因でレスポンスを送信します。

各隣接ルータが送信したレスポンスを受信して,経路の変更を検出した場合は自分が持つ経路情報を更新します。レスポンスは隣接ルータとの送信の確認にも使用します。180秒以上レスポンスを応答しないルータに対しては通信不可能と判断して,代替ルートがあるときはルーティングテーブルをその代替ルートに更新します。代替ルートがないときはルートを削除します。

(3) ルーティングループの抑止処理

本装置は中継経路のループを抑止するためにスプリットホライズンを使用します。スプリットホライズンとは,受信した情報を受け取ったインタフェースには送信しない処理のことです。