コンフィグレーションガイド Vol.3


12.1.8 グループ切替機能

〈この項の構成〉

(1) 概要

本装置では独自の付加機能として,仮想ルータをグループ化できます。そのグループ単位で,マスタとバックアップの切り替えができます。グループは,プライマリ仮想ルータとフォロー仮想ルータから構成されます。グループ化すると,最大4095の仮想ルータを使用できます。仮想ルータのグループ化を次に示します。

図12‒6 仮想ルータのグループ化

[図データ]

  1. マスタ装置とバックアップ装置のそれぞれの監視機能によって,障害を検出

  2. マスタ装置では,障害を検出したグループの全仮想ルータがバックアップへ遷移

  3. バックアップ装置では,障害を検出したグループの全仮想ルータがマスタへ遷移

仮想ルータの役割

仮想ルータが設定されたインタフェース

仮想ルータID

仮想ルータ名称

フォローするプライマリ仮想ルータ名称

プライマリ仮想ルータ

gigabitethernet 2/3

70

VRRPNAME

フォロー仮想ルータ1

gigabitethernet 2/4

70

VRRPNAME

フォロー仮想ルータ2

gigabitethernet 2/5

70

VRRPNAME

(凡例)−:該当なし

(2) プライマリ仮想ルータ

ADVERTISEMENTパケットの送受信やトラッキング連携が動作し,マスタとバックアップを切り替える仮想ルータを,プライマリ仮想ルータと呼びます。プライマリ仮想ルータの状態が,グループに属するすべての仮想ルータの状態を決定します。

(3) フォロー仮想ルータ

プライマリ仮想ルータの状態に従って自身の状態を決定する仮想ルータを,フォロー仮想ルータと呼びます。フォロー仮想ルータは,ADVERTISEMENTパケットの送受信やトラッキング連携による状態遷移はしないで,プライマリ仮想ルータの状態に従います。プライマリ仮想ルータが動作していない場合は,イニシャル状態となります。また,自分自身を含むフォロー仮想ルータの状態に従うことはできません。フォロー仮想ルータはプライマリ仮想ルータの状態に従うため,アドレス所有者にはなれません。

フォロー仮想ルータのプライマリ仮想ルータと異なる機能について次の表に示します。

表12‒4 フォロー仮想ルータの機能

プライマリ仮想ルータと異なる機能

動作

マスタとバックアップの切り替え

ADVERTISEMENTパケットの送受信,トラッキング連携による状態遷移はしないで,プライマリ仮想ルータの状態に従います。

コンフィグレーション設定

マスタの選出方法のために利用する,次のコンフィグレーションコマンドは無効です。

  • vrrp authentication

  • vrrp preempt

  • vrrp preempt delay

  • vrrp timers non-preempt-swap

  • vrrp priority

運用ログ

状態遷移に伴う運用ログは出力しません。

グループを構成するプライマリ仮想ルータが設定されていない場合,フォロー仮想ルータが無効である旨のログを出力して注意を促します。また,プライマリ仮想ルータが設定された場合に回復メッセージを出力します。

MIB情報の取得

未サポートです。プライマリ仮想ルータだけ取得できます。

SNMP通知の送信

未サポートです。プライマリ仮想ルータだけ送信します。

(4) MAC Learningフレーム

マスタ状態の仮想ルータは,下流のLANスイッチに仮想MACアドレスを学習させる必要があります。

(5) 注意事項

  1. 仮想ルータを構成する装置間では,仮想ルータのコンフィグレーションは同一にしてください。例えば,ある仮想ルータが,一方の装置でプライマリ仮想ルータ,他方の装置でフォロー仮想ルータとした場合,正しく動作しません。

  2. MAC Learningフレームは,1フォロー仮想ルータ当たり2分周期で送信されます。下流のLANスイッチでは,MACアドレステーブルのエージング時間を2分以下に設定した場合,エージングとMACアドレス学習を繰り返します。エージング時間は4分以上に設定することを推奨します。