コンフィグレーションガイド Vol.2


7.1.1 概要

Ring Protocolとは,スイッチをリング状に接続したネットワークでの障害の検出と,それに伴う経路切り替えを高速に行うレイヤ2ネットワークの冗長化プロトコルです。

レイヤ2ネットワークの冗長化プロトコルとして,スパニングツリーが利用されますが,障害発生に伴う切り替えの収束時間が遅いなどの欠点があります。Ring Protocolを使用すると,障害発生に伴う経路切り替えを高速にできるようになります。また,リングトポロジを利用することで,メッシュトポロジよりも伝送路やインタフェースの必要量が少なくて済むという利点もあります。

Ring Protocolの適用例を次の図に示します。

図7‒1 Ring Protocolの適用例(その1)

[図データ]

図7‒2 Ring Protocolの適用例(その2)

[図データ]

Ring Protocolによるリングネットワークの概要を次の図に示します。

図7‒3 Ring Protocolの概要

[図データ]

リングを構成するノードのうち一つをマスタノードとして,ほかのリング構成ノードをトランジットノードとします。各ノード間を接続する二つのポートをリングポートと呼び,マスタノードのリングポートにはプライマリポートとセカンダリポートがあります。マスタノードはセカンダリポートをブロッキング状態にすることでリング構成を分断します。これによって,データフレームのループを防止しています。マスタノードはリング内の状態監視を目的とした制御フレーム(ヘルスチェックフレーム)を定期的に送信します。マスタノードは,巡回したヘルスチェックフレームの受信,未受信によって,リング内で障害が発生していないかどうかを判断します。障害または障害復旧を検出したマスタノードは,セカンダリポートのブロッキング状態を設定または解除することで経路を切り替え,通信を復旧させます。