コンフィグレーションガイド Vol.2


6.12.3 ループガード

〈この項の構成〉

(1) 概要

片線切れなどの単一方向のリンク障害が発生し,BPDUの受信が途絶えた場合,ループが発生することがあります。ループガード機能は,このような場合にループの発生を防止する機能です。

単一方向のリンク障害時に閉ループが発生する例を示します。

  1. 本装置Cのポート1にリンク障害が発生すると,BPDUの受信が途絶えます。

    図6‒16 単一方向のリンク障害時の閉ループ発生例1

    [図データ]

  2. 本装置Cでは,ルートポートがポート2に切り替わります。このとき,ポート1は指定ポートとなって通信可能状態を維持するため,閉ループが発生します。

    図6‒17 単一方向のリンク障害時の閉ループ発生例2

    [図データ]

ループガード機能とはBPDUの受信が途絶えたポートの状態を,再度BPDUを受信するまで転送不可状態に遷移させる機能です。BPDU受信を開始した場合は,通常のスパニングツリー対象のポートとしての動作を開始します。

ループガード機能は,端末を接続するポートを指定する機能であるPortFastを設定したポート,またはルートガード機能を設定したポートには設定できません。

(2) ループガードに関する注意事項

ループガードはマルチプルスパニングツリーでは使用できません。

ループガード機能を設定したあと,次に示すイベントが発生すると,ループガードが動作してポートをブロックします。その後,BPDUを受信するまで,ループガードは解除されません。

なお,ループガード機能は,指定ポートだけでなく対向装置にも設定してください。指定ポートだけに設定すると,上記のイベントが発生しても,指定ポートはBPDUを受信しないことがあります。このような場合,ループガードの解除に時間が掛かります。ループガードを解除するには,対向装置のポートでBPDU受信タイムアウトを検出したあとのBPDUの送信を待つ必要があるためです。

また,両ポートにループガードを設定した場合でも,指定ポートでBPDUを一度も受信しないで,ループガードの解除に時間が掛かることがあります。具体的には,対向ポートが指定ポートとなるようにブリッジやポートの優先度,パスコストを変更した場合です。対向ポートでBPDUタイムアウトを検出し,ループガードが動作します。このポートが指定ポートになった場合,BPDUを受信しないことがあり,ループガードの解除に時間が掛かることがあります。

運用中にループガード機能を設定した場合,その時点では,ループガードは動作しません。運用中に設定したループガードは,BPDUの受信タイムアウトが発生した時に動作します。

本装置と対向装置のポート間にBPDUを中継しない装置が存在し,かつポートの両端にループガード機能を設定した状態でポートがリンクアップした場合,両端のポートはループガードが動作したままになります。復旧するには,ポート間に存在する装置のBPDU中継機能を有効にし,再度ポートをリンクアップさせる必要があります。