コンフィグレーションガイド Vol.2


6.9.1 概要

マルチプルスパニングツリーには,次に示す特長があります。

以降,これらを実現するためのマルチプルスパニングツリーの機能概要を説明します。

〈この項の構成〉

(1) MSTインスタンス

マルチプルスパニングツリーは,複数のVLANをまとめたMSTインスタンス(MSTI:Multiple Spanning Tree Instance)というグループごとにスパニングツリーを構築でき,MSTインスタンスごとにロードバランシングができます。PVST+によるロードバランシングでは,VLAN数分のツリーが必要でしたが,マルチプルスパニングツリーではMSTインスタンスによって,計画したロードバランシングに従ったツリーだけで済みます。その結果,PVST+とは異なりVLAN数の増加に比例したCPU負荷およびネットワーク負荷の増加を抑えられます。本装置では最大16個のMSTインスタンスが設定できます。

MSTインスタンスイメージを次の図に示します。

図6‒11 MSTインスタンスイメージ

[図データ]

この例では,ネットワーク上に二つのインスタンスを設定して,ロードバランシングをしています。インスタンス0には,VLAN 10およびVLAN 20を,インスタンス1にはVLAN 30を所属させています。

(2) MSTリージョン

マルチプルスパニングツリーでは,複数の装置をグルーピングしてMSTリージョンとして扱えます。同一のMSTリージョンに所属させるには,リージョン名,リビジョン番号,MSTインスタンスIDとVLANの対応を同じにする必要があります。これらはコンフィグレーションで設定します。ツリーの構築はMSTリージョン間とMSTリージョン内で別々に行い,MSTリージョン内のトポロジはMSTインスタンス単位に構築できます。

次に,MSTリージョン間やMSTリージョン内で動作するスパニングツリーについて説明します。

マルチプルスパニングツリー概要を次の図に示します。

図6‒12 マルチプルスパニングツリー概要

[図データ]