コンフィグレーションガイド Vol.1


20.1.4 IPインタフェース動作仕様

〈この項の構成〉

(1) IPインタフェースのサポート仕様

IPインタフェースでは,インタフェースの種類ごとに,設定できるコンフィグレーションコマンドやコンフィグレーションで適用される値が異なります。コンフィグレーションとインタフェース種別の対応を次の表に示します。

表20‒2 コンフィグレーションとインタフェース種別の対応

コマンド名

インタフェースの種類(設定単位)

説明

イーサネットインタフェース

ポートチャネルインタフェース

サブインタフェース

VLANインタフェース

description

各インタフェースに設定できます。

mtu(ポート)

ポートの最大フレーム長が,ポートチャネルインタフェース,サブインタフェース,およびVLANインタフェースに適用されます。

ip mtu

ip mtuコマンドを設定した場合,ポート単位で設定したポートの最大フレーム長と本コマンドのlengthパラメータ値を比較して,小さい方の値が該当するインタフェースのIP MTU長として適用されます。

dot1q-ethertype

ポートに設定したTPID値が,サブインタフェースおよびVLANインタフェースに適用されます。

shutdown

各インタフェースに設定できます。

snmp trap link-status

サブインタフェースおよびVLANインタフェースのデフォルトは,SNMP通知を送信しません。

(凡例)○:設定できる −:設定できない

(設定単位)

イーサネットインタフェース:ポート単位

ポートチャネルインタフェース:チャネルグループ単位

サブインタフェース:サブインタフェース単位

VLANインタフェース:VLAN単位

(2) IPインタフェースで使用するMACアドレス

IPインタフェースで使用するMACアドレスは,インタフェースの種類によって異なります。IPインタフェースの種類ごとのMACアドレスを次の表に示します。

表20‒3 IPインタフェースの種類ごとのMACアドレス

IPインタフェースの種類

使用するMACアドレス

イーサネットインタフェース

装置MACアドレス

イーサネットサブインタフェース

装置MACアドレス

ポートチャネルインタフェース

装置MACアドレス

ポートチャネルサブインタフェース

装置MACアドレス

VLANインタフェース

装置MACアドレスまたはVLANごとMACアドレス

マネージメントポート

マネージメントポートのMACアドレス

シリアル接続ポート(AUX)

ループバックインタフェース

Nullインタフェース

(凡例)−:MACアドレスを使用しない

装置MACアドレスは,装置を識別するために本装置が一つ持っているMACアドレスです。運用コマンドshow systemで装置MACアドレスを確認できます。

VLANインタフェースで使用するVLANごとMACアドレスは,コンフィグレーションコマンドvlan-mac-prefixおよびvlan-macで設定します。vlan-mac-prefixコマンドでは,生成するMACアドレスの上位32bitまでのプレフィックスを指定します。さらに,vlan-macコマンドで,VLANインタフェースでVLANごとMACアドレスを使用することを設定します。このとき,下位16bitにVLAN IDごとの一意の値を使用してMACアドレスを生成しますが,コンフィグレーションコマンドvlan-mac-suffix vlan-idを設定すると,下位16bitにVLAN IDの値を使用してMACアドレスを生成します。

(3) IPインタフェースで使用するMTU

IPインタフェースでは,次の情報のうち,最小の値がインタフェースのIP MTU値になります。

インタフェースのIP MTU値決定マトリクスを次の表に示します。

表20‒4 インタフェースのIP MTU値決定マトリクス

全ポート共通の

最大フレーム長

ポートの

最大フレーム長

IP MTU情報

IP MTU値

設定あり

設定あり

設定あり

次の情報を比較して,小さい方の値

  • ポートの最大フレーム長で指定したポート内の最小値−18

  • IP MTU情報の設定値

設定あり

設定なし

設定あり

次の情報を比較して,小さい方の値

  • 全ポート共通の最大フレーム長の設定値−18

  • IP MTU情報の設定値

設定あり

設定あり

設定なし

次の情報を比較して,小さい方の値

  • ポートの最大フレーム長で指定したポート内の最小値−18

  • 9216

設定あり

設定なし

設定なし

次の情報を比較して,小さい方の値

  • 全ポート共通の最大フレーム長の設定値−18

  • 9216

設定なし

設定あり

設定あり

次の情報を比較して,小さい方の値

  • ポートの最大フレーム長で指定したポート内の最小値−18

  • IP MTU情報の設定値

設定なし

設定なし

設定あり

次の情報を比較して,小さい方の値

  • IP MTU情報の設定値

  • 1500

設定なし

設定あり

設定なし

次の情報を比較して,小さい方の値

  • ポートの最大フレーム長で指定したポート内の最小値−18

  • 9216

設定なし

設定なし

設定なし

1500

注1

回線種別が10BASE-T(全二重および半二重)または100BASE-TX(半二重)の場合は,設定内容に関係なく,IP MTUの最大値は1500です。

注2

最大フレーム長は,FCSを除いたEthernet V2形式フレームの最大長です。

(a) インタフェースとポートが1対1に対応する場合のIP MTU値

イーサネットインタフェースやイーサネットサブインタフェースにIPアドレスを設定したインタフェースのIP MTU値は次のように決定します。

図20‒2 インタフェースとポートが1対1に対応する場合のIP MTU値の例

[図データ]

■ IP MTU情報を設定しない場合の各インタフェースのIP MTU値

IP MTUの決定値

サブインタフェースA:2000

サブインタフェースB:2000

インタフェース2:2000

インタフェース3:3000

■ IP MTU情報を設定した場合の各インタフェースのIP MTU値

設定するIP MTU長

サブインタフェースA:1000

サブインタフェースB:3000

インタフェース2:2500

インタフェース3:2500

IP MTUの決定値

サブインタフェースA:1000

サブインタフェースB:2000

インタフェース2:2000

インタフェース3:2500

(b) インタフェースとポートが1対nに対応する場合のIP MTU値

ポートチャネルインタフェースやVLANインタフェースのように,複数のポートが対応するインタフェースのIP MTU値は次のように決定します。

図20‒3 ポートチャネルインタフェースのIP MTU値の例

[図データ]

■ IP MTU情報を設定しない場合の各インタフェースのIP MTU値

IP MTUの決定値

ポートチャネル10:2000

ポートチャネル20:2500

■ IP MTU情報を設定した場合の各インタフェースのIP MTU値

設定するIP MTU長

ポートチャネル10:1000

ポートチャネル20:3000

IP MTUの決定値

ポートチャネル10:1000

ポートチャネル20:2500

図20‒4 VLANインタフェースのIP MTU値の例

[図データ]

■ IP MTU情報を設定しない場合の各インタフェースのIP MTU値

IP MTUの決定値

VLAN 100:1600

VLAN 200:1900