18.2.3 VLAN Tag
- 〈この項の構成〉
(1) 概要
IEEE802.1Q規定によるVLAN Tag(イーサネットフレーム中にTagと呼ばれる識別子を挿入する方法)を使用して,VLAN ID,およびQoSのプライオリティを識別できます。
VLAN Tagは,VLANのトランクポート,およびイーサネットサブインタフェースまたはポートチャネルサブインタフェースにVLAN TagのVLAN IDを割り当てて,VLAN IDごとに異なるインタフェースとして使用します。
(2) プロトコル仕様
VLAN TagはイーサネットフレームにTagと呼ばれる識別子を埋め込むことで,VLAN情報(VLAN ID)を離れたセグメントへ伝えられます。
Taggedフレームのフォーマットを次の図に示します。VLAN Tagを挿入するイーサネットフレームのフォーマットには,Ethernet V2フォーマットとIEEE802.3フォーマットの2種類があります。
|  | 
本装置で扱う2段Taggedフレームは,IEEE802.1adの規定表現に準じて,先頭のTagをS-Tag,S-Tagの次のTagをC-Tagと表します。なお,本装置でVLANと表現した場合は,原則としてS-Tagのことを指します。
VLAN Tagのフィールドの説明を次の表に示します。
| フィールド | 説明 | 本装置での扱い | 
|---|---|---|
| TPID (Tag Protocol ID) | IEEE802.1Q VLAN Tagが続くことを示すEtherType値を示します。 | 装置またはポートごとに任意の値を設定できます。 | 
| User Priority | IEEE802.1Dのプライオリティを示します。 | コンフィグレーションで8段階のプライオリティレベルを選択できます。VLAN ID=0を受信した場合は,User Priorityを識別します。 | 
| CF (Canonical Format) | MACヘッダ内のMACアドレスが標準フォーマットに従っているかどうかを示します。 | IEEE802.1Qで規定の標準(0)かどうかの識別はしません。 
 | 
| VLAN ID | VLAN IDを示します。 | ユーザが使用できるVLAN IDは1〜4095です。VLAN ID=0を受信した場合は,Untaggedフレームと同様の扱いになります。VLAN ID=0は送信しません。 | 
(3) TPID
VLAN TagのTPID(Tag Protocol IDentifier)値は,装置のデフォルトでは0x8100を使用します。コンフィグレーションコマンドdot1q ethertypeで任意のTPID値を装置に,コンフィグレーションコマンドdot1q-ethertypeで任意のTPID値をポート単位に設定できます。装置およびポート単位の両方を設定した場合は,ポート単位のTPID値が優先されます。
コンフィグレーションコマンドの設定(装置とポート単位の組み合わせ)と,該当ポートでの受信許容TPID値および送信TPID値の対応を次の表に示します。
| コマンドの設定 | ポートのフレーム送受信のTPID値 | ||
|---|---|---|---|
| 装置 | ポート単位 | 受信許容TPID値 | 送信TPID値 | 
| 設定なし | 設定なし | 0x8100 | 0x8100 | 
| 任意の値 | 設定なし | 装置の任意の値,0x8100 | 装置の任意の値 | 
| 設定なし | 任意の値 | ポート単位の任意の値,0x8100 | ポート単位の任意の値 | 
| 任意の値 | 任意の値 | ポート単位の任意の値,0x8100 | ポート単位の任意の値 | 
TPID値はフレーム上で,UntaggedフレームのEtherTypeと同じ位置を使用します。そのため,IPv4のEtherTypeである0x0800など,EtherTypeとして使用している値を設定するとネットワークが正しく構築できないおそれがあります。TPID値にはEtherType値として使用していない値を設定してください。