コンフィグレーションガイド Vol.2
階層化シェーパはシェーパユーザおよびポートの2階層で帯域を制御する機能ですが,各階層ではユーザ帯域制御およびポート帯域制御によって帯域を制御しています。
- <この項の構成>
- (1) ユーザ帯域制御
- (2) ポート帯域制御
- (3) 帯域制御のオプション動作
(1) ユーザ帯域制御
ユーザ帯域制御は,シェーパユーザ内のすべてのユーザ送信キューの送信帯域をシェーピングする機能です。ユーザ帯域制御の動作は,シェーパユーザの種類やNIFのシェーパモードによって異なります。
シェーパユーザごとのユーザ帯域制御の内容を次の表に示します。
表19-16 シェーパユーザごとのユーザ帯域制御
シェーパユーザ種別 内容 LLRLQユーザ 最大帯域を制限できます。 通常ユーザ 最低帯域を保証しつつ,最大帯域を制限できます。
LLPQの場合,LLPQの最大帯域も制限できます。デフォルトユーザ 最大帯域を制限できます。 シェーパモードごとのユーザ帯域制御の設定条件を次の表に示します。
表19-17 シェーパモードごとのユーザ帯域制御の設定条件
シェーパモード シェーパユーザ種別 帯域制御パラメータの設定条件 RGQ LLRLQユーザ 最大帯域≦回線帯域※1 通常ユーザ 最大帯域≦回線帯域※1
最低帯域≦最大帯域※2デフォルトユーザ 最大帯域≦回線帯域※1 LLPQ1,LLPQ4 LLRLQユーザ 最大帯域≦回線帯域※1 通常ユーザ 最大帯域≦回線帯域※1
LLPQ最大帯域≦最低帯域≦最大帯域※2※3デフォルトユーザ 最大帯域≦回線帯域※1
- 注※1
- 回線速度とポート帯域のうち,小さい方を回線帯域とします。
- 例えば,ポート帯域を1Gbit/sで設定している場合,回線速度が10Gbit/sであれば回線帯域は1Gbit/sとなりますが,回線速度が100Mbit/sであれば回線帯域は100Mbit/sとなります。
- 注※2
- 最低帯域と最大帯域に異なる値を設定する場合は,次に示す条件をすべて満たすように設定してください。条件を満たさない場合,設定した最低帯域および最大帯域で送信しないことがあります。
- ・最低帯域は,最大帯域の1/2以下であること
- ・最低帯域と最大帯域の差を256kbit/s以上にすること
- 例えば,最大帯域が10Mbit/sの場合は,最低帯域を5Mbit/s以下にする必要があります。また,最大帯域が384kbit/sの場合は,最低帯域を128kbit/s以下にする必要があります。
- 注※3
- LLPQ最大帯域と最低帯域に異なる値を設定する場合は,次に示す条件をすべて満たすように設定してください。条件を満たさない場合,設定したLLPQ最大帯域で送信しないことがあります。
- ・LLPQ最大帯域は,最低帯域の1/2以下であること
- ・LLPQ最大帯域と最低帯域の差を256kbit/s以上にすること
- 例えば,最低帯域が6Mbit/sの場合は,LLPQ最大帯域を3Mbit/s以下にする必要があります。また,最低帯域が384kbit/sの場合は,LLPQ最大帯域を128kbit/s以下にする必要があります。
帯域制御パラメータ(最大帯域,最低帯域,およびLLPQ最大帯域)の設定範囲を次の表に示します。
表19-18 帯域制御パラメータの設定範囲
帯域制御パラメータ 設定単位 設定範囲 刻み値 最大帯域
最低帯域
LLPQ最大帯域G単位 1G〜10Gbit/s 1Gbit/s M単位 1M〜10000Mbit/s 1Mbit/s k単位 8k〜10000000kbit/s※ 1kbit/s 注※ 帯域値が8kbit/s〜1.6Mbit/sの場合,8kbit/sの倍数での設定を推奨します。
ユーザ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,フレーム間ギャップからFCSまでです。ユーザ帯域制御の対象範囲を次の図に示します。
図19-6 ユーザ帯域制御の対象範囲
(2) ポート帯域制御
ポート帯域制御は,ユーザ帯域制御を実施したあとに該当ポート内のすべてのシェーパユーザの合計帯域を,指定した送信帯域にシェーピングする機能です。この制御を使用して,広域イーサネットサービスなどへ接続できます。
例えば,ポート帯域が10Gbit/sでISPとの契約帯域が4Gbit/sの場合,ポート帯域制御を使用して合計帯域を4Gbit/s以下に抑えてフレームを送信できます。
ポート帯域制御の設定範囲を次の表に示します。
表19-19 ポート帯域制御の設定範囲
設定単位 設定範囲 刻み値 G単位 1G〜10Gbit/s 1Gbit/s M単位 1M〜10000Mbit/s 1Mbit/s k単位 8k〜10000000kbit/s※ 1kbit/s 注※ 帯域値が8kbit/s〜1.6Mbit/sの場合,8kbit/sの倍数での設定を推奨します。
なお,ポート帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。
(3) 帯域制御のオプション動作
階層化シェーパの帯域制御では,コンフィグレーションコマンドshaper port rate-optionによって,帯域を制御するオプション動作を設定できます。帯域制御のオプション動作で設定できるパラメータと,その動作内容を次の表に示します。
表19-20 帯域制御のオプション動作のパラメータおよび動作
パラメータ 動作 用途 exclude-4-byte フレーム長から4バイトを差し引いた値を基に帯域を制御します。※ エッジスイッチで,VLAN Tagが2段以上付いたフレームの1段目のVLAN Tag(4バイト)を差し引いて帯域を制御します。 注※ 運用コマンドで表示する統計情報(バイト数統計)は,実際のフレーム長で表示します。
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