18.1.10 帯域制御
階層化シェーパはシェーパユーザおよびポートの2階層で帯域を制御する機能ですが,各階層ではユーザ帯域制御およびポート帯域制御によって帯域を制御しています。
- 〈この項の構成〉
(1) ユーザ帯域制御
ユーザ帯域制御は,シェーパユーザ内のすべてのユーザ送信キューの送信帯域をシェーピングする機能です。ユーザ帯域制御の動作は,シェーパユーザの種類やNIFのシェーパモードによって異なります。
シェーパユーザごとのユーザ帯域制御の内容を次の表に示します。
シェーパユーザ種別 |
内容 |
---|---|
LLRLQユーザ |
最大帯域を制限できます。 |
通常ユーザ |
最低帯域を保証しつつ,最大帯域を制限できます。 LLPQの場合,LLPQの最大帯域も制限できます。 |
デフォルトユーザ |
最大帯域を制限できます。 |
シェーパモードごとのユーザ帯域制御の設定条件を次の表に示します。
シェーパモード |
シェーパユーザ種別 |
帯域制御パラメータの設定条件 |
---|---|---|
RGQ |
LLRLQユーザ |
最大帯域≦回線帯域※1 |
通常ユーザ |
最大帯域≦回線帯域※1 最低帯域≦最大帯域※2 |
|
デフォルトユーザ |
最大帯域≦回線帯域※1 |
|
LLPQ1,LLPQ4 |
LLRLQユーザ |
最大帯域≦回線帯域※1 |
通常ユーザ |
最大帯域≦回線帯域※1 LLPQ最大帯域≦最低帯域≦最大帯域※2※3 |
|
デフォルトユーザ |
最大帯域≦回線帯域※1 |
- 注※1
-
回線速度とポート帯域のうち,小さい方を回線帯域とします。
例えば,ポート帯域を1Gbit/sで設定している場合,回線速度が10Gbit/sであれば回線帯域は1Gbit/sとなりますが,回線速度が100Mbit/sであれば回線帯域は100Mbit/sとなります。
- 注※2
-
最低帯域と最大帯域に異なる値を設定する場合は,次に示す条件をすべて満たすように設定してください。条件を満たさない場合,設定した最低帯域および最大帯域で送信しないことがあります。
・最低帯域は,最大帯域の1/2以下であること
・最低帯域と最大帯域の差を256kbit/s以上にすること
例えば,最大帯域が10Mbit/sの場合は,最低帯域を5Mbit/s以下にする必要があります。また,最大帯域が384kbit/sの場合は,最低帯域を128kbit/s以下にする必要があります。
- 注※3
-
LLPQ最大帯域と最低帯域に異なる値を設定する場合は,次に示す条件をすべて満たすように設定してください。条件を満たさない場合,設定したLLPQ最大帯域で送信しないことがあります。
・LLPQ最大帯域は,最低帯域の1/2以下であること
・LLPQ最大帯域と最低帯域の差を256kbit/s以上にすること
例えば,最低帯域が6Mbit/sの場合は,LLPQ最大帯域を3Mbit/s以下にする必要があります。また,最低帯域が384kbit/sの場合は,LLPQ最大帯域を128kbit/s以下にする必要があります。
帯域制御パラメータ(最大帯域,最低帯域,およびLLPQ最大帯域)の設定範囲を次の表に示します。
帯域制御パラメータ |
設定単位 |
設定範囲 |
刻み値 |
---|---|---|---|
最大帯域 最低帯域 LLPQ最大帯域 |
G単位 |
1G〜10Gbit/s |
1Gbit/s |
M単位 |
1M〜10000Mbit/s |
1Mbit/s |
|
k単位 |
8k〜10000000kbit/s※ |
1kbit/s |
注※ 帯域値が8kbit/s〜1.6Mbit/sの場合,8kbit/sの倍数での設定を推奨します。
ユーザ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,フレーム間ギャップからFCSまでです。ユーザ帯域制御の対象範囲を次の図に示します。
|
(2) ポート帯域制御
ポート帯域制御は,ユーザ帯域制御を実施したあとに該当ポート内のすべてのシェーパユーザの合計帯域を,指定した送信帯域にシェーピングする機能です。この制御を使用して,広域イーサネットサービスなどへ接続できます。
例えば,ポート帯域が10Gbit/sでISPとの契約帯域が4Gbit/sの場合,ポート帯域制御を使用して合計帯域を4Gbit/s以下に抑えてフレームを送信できます。
ポート帯域制御の設定範囲を次の表に示します。
設定単位 |
設定範囲 |
刻み値 |
---|---|---|
G単位 |
1G〜10Gbit/s |
1Gbit/s |
M単位 |
1M〜10000Mbit/s |
1Mbit/s |
k単位 |
8k〜10000000kbit/s※ |
1kbit/s |
注※ 帯域値が8kbit/s〜1.6Mbit/sの場合,8kbit/sの倍数での設定を推奨します。
なお,ポート帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。
(3) 帯域制御のオプション動作
階層化シェーパの帯域制御では,コンフィグレーションコマンドshaper port rate-optionによって,帯域を制御するオプション動作を設定できます。帯域制御のオプション動作で設定できるパラメータと,その動作内容を次の表に示します。
パラメータ |
動作 |
用途 |
---|---|---|
exclude-4-byte |
フレーム長から4バイトを差し引いた値を基に帯域を制御します。※ |
エッジスイッチで,VLAN Tagが2段以上付いたフレームの1段目のVLAN Tag(4バイト)を差し引いて帯域を制御します。 |
注※ 運用コマンドで表示する統計情報(バイト数統計)は,実際のフレーム長で表示します。