コンフィグレーションガイド Vol.3


19.1.8 注意事項

〈この項の構成〉

(1) ルータIDについての注意事項

OSPFv3では,ネットワークのトポロジを構築するときに,ルータの識別にルータIDを使用します。

ネットワークの設計時に異なるルータに同じ値のルータIDを設定した場合,正確な経路選択ができなくなります。そのため,ネットワーク設計時には各ルータに重複しないルータIDを割り当ててください。

なお,1台のルータが複数のOSPFv3ドメインに接続している場合,すべてのドメインで同一のルータIDを使用しても問題ありません。

(2) 経路の再配布フィルタと学習フィルタの注意事項

OSPFv3では,隣接ルータから学習したすべてのLSAをほかの隣接ルータへ広告します。再配布フィルタによって,OSPFv3で学習した経路の同一ドメイン内での広告を抑止できません。また,経路集約機能(ipv6 summary-addressコマンド)を使用してOSPFv3経路を集約する場合,集約元経路の広告を抑止する設定をしても,同一ドメイン内でのLSA広告は抑止されません。

distribute-list inコマンドでは,フィルタ条件に一致するAS外経路の学習を抑止できます。ただし,LSAの学習,広告を制御できません。このため,学習しなかった経路もOSPFv3で広告されます。

(3) マルチバックボーン機能使用時の注意事項

(a) マルチバックボーン使用についての注意

ネットワークを複数のOSPFv3ドメインに分割して運用した場合,ルーティングループの抑止やコストに基づいた経路選択などのOSPFv3の特長が,OSPFv3ドメイン間の経路の選択や配布によって失われます。新規ネットワーク構築時など,ネットワークを複数のOSPFv3ドメインに分割して運用する必要がない場合は,単一のOSPFv3ネットワークとして構築することをお勧めします。

(b) 複数ドメインの設定についての注意

ループバックインタフェースに設定したアドレスを複数のOSPFv3ドメインに広告する必要がある場合は,OSPFv3 AS外経路として広告してください。コンフィグレーションで,一つのインタフェースを同時に複数のOSPFv3ドメインに設定できません。

(4) OSPFv3の制限事項

本装置は,RFC5340(OSPF for IPv6)に準拠しています。しかし,ソフトウェアの機能制限によって,次に示す機能はサポートしていません。