コンフィグレーションガイド Vol.3


12.1.6 トラッキング連携による優先度変更

VRRPでは,仮想ルータを設定したインタフェースに障害が発生した場合,マスタを切り替えます。しかし,パケットルーティング先のIPインタフェース,ポートチャネルインタフェース,イーサネットインタフェースなど,仮想ルータが設定されていないほかのインタフェースで障害が発生した場合は,通信できない状態であってもマスタを切り替えません。

本装置のVRRPでは,トラッキング連携をサポートしています。トラッキング機能で通信に必要な対象を監視する静的監視トラックを構成して,そのトラック状態に応じて仮想ルータの優先度を動的に変更できます。これによって,上記のようにルーティング先に障害が発生した場合にも,マスタを切り替えられます。

仮想ルータの優先度を変更する方式には,優先度切替方式と優先度減算方式があります。

優先度切替方式

トラッキング連携で仮想ルータの優先度を切り替える方式です。仮想ルータにトラックおよび切り替える優先度を指定しておくと,トラック状態がDownになったときに,仮想ルータの優先度を,指定した優先度に切り替えます。優先度切替方式では,一つの仮想ルータに1個のトラックを指定できます。

優先度減算方式

トラッキング連携で仮想ルータの優先度を減算する方式です。仮想ルータにトラックおよび優先度の減算値を指定しておくと,トラック状態がDownになったときに,仮想ルータの優先度を,指定した減算値だけ減少させます。優先度減算方式では,一つの仮想ルータに16個までトラックを指定できます。

さらに,変更後の優先度が0以下となった場合,仮想ルータを設定したIPインタフェースをダウン状態にします。なお,仮想ルータ名を設定している場合や,グループ切替機能を使用している場合は,優先度が0になってもIPインタフェースはダウン状態になりません。

トラッキング機能については「コンフィグレーションガイド Vol.2」 「22 トラッキング機能」を参照してください。