8.1.4 ネクストホップの冗長化
ポリシーベースルーティングは,複数のネクストホップを指定することで冗長化できます。
冗長化したネクストホップの中から,ネクストホップの選択動作によって中継先となるネクストホップを決定します。ネクストホップがすべて中継できない,またはネクストホップが指定されていない場合は,デフォルト動作に従います。なお,ネクストホップの選択動作は抑止できます。
- 〈この項の構成〉
(1) ネクストホップの選択動作
冗長化したネクストホップの中から,次の情報を基に中継先となるネクストホップを決定します。
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本装置の送信先インタフェースの状態による中継可否
-
ネクストホップの優先度
中継できるネクストホップが複数ある場合,常に最も優先度の高いネクストホップを中継先として選択します。
■ 送信先インタフェースの状態による中継可否
送信先インタフェースの状態による中継可否を次の表に示します。
送信先インタフェースの状態 |
中継可否 |
---|---|
Up |
中継できる |
Down |
中継できない |
■ ネクストホップの優先度
ネクストホップの優先度は,優先して使用するネクストホップを決定するために使用します。
(2) デフォルト動作
ネクストホップがすべて中継できない,またはネクストホップが指定されていない場合の動作をデフォルト動作といいます。デフォルト動作はコンフィグレーションで指定できます。デフォルト動作指定について次の表に示します。
コンフィグレーションでの指定 |
動作説明 |
---|---|
permit指定 |
対象パケットをルーティングプロトコルに従って中継します |
deny指定 |
対象パケットを廃棄します |
未指定 |
対象パケットをルーティングプロトコルに従って中継します |
(3) ネクストホップの選択抑止
系切替後,ネクストホップの選択動作を一定時間抑止します。これは,系切替後,送信先インタフェースの状態を中継不可と判断することがあるためです。
系切替してからネクストホップの選択を再開するまでの状態を選択抑止中といいます。選択抑止中は,系切替前に選択していたネクストホップで動作します。なお,ネクストホップの選択を抑止する時間は,コンフィグレーションで変更できます。
(a) 選択抑止中の動作
系切替を検知すると,ネクストホップの選択抑止を開始します。選択抑止中の装置の状態変化に対する動作を次の表に示します。
装置の状態変化 |
動作説明 |
---|---|
対象パケットに関するコンフィグレーションの設定および変更 |
次のどれかの動作になります。
|
ネクストホップに関するコンフィグレーションの設定および変更 |
選択抑止前に選択していたネクストホップに従います。次に示すコマンドでコンフィグレーションを設定および変更しても,ネクストホップを選択しません。
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送信先インタフェースの状態変化 |
選択抑止前に選択していたネクストホップに従います。送信先インタフェースの状態が変化しても,ネクストホップを選択しません。 |
対象パケットを受信するPRUの再起動 |
再起動後のPRUで受信する対象パケットは,すべてルーティングプロトコルに従って中継します。 |
選択抑止中の終了 |
選択抑止中の終了時の装置状態に合わせて,ネクストホップを再選択します。 |
(b) 選択抑止中の終了と延長
系切替後の選択抑止中の状態遷移と遷移条件について次の表に示します。
状態遷移 |
遷移条件 |
---|---|
選択抑止中の終了 |
次の場合に選択抑止中を終了します。
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選択抑止中の延長 |
ネクストホップの選択抑止時間をより長く変更すると選択抑止中を延長します。この場合,変更後の時間から現在の経過時間を差し引いた時間が経過すると,選択抑止中を終了します。 また,系切替が再度発生すると選択抑止時間をカウントし直すため,選択抑止中を継続します。 |
(c) 選択抑止時間
ネクストホップの選択抑止に必要な時間は,ネットワーク構成によって異なります。コンフィグレーションでネットワーク構成に合わせて調整してください。