コンフィグレーションガイド Vol.2


9.1.7 フィルタ使用時の注意事項

〈この項の構成〉

(1) ESP拡張ヘッダのあるIPv6パケットに対するフィルタ

拡張ヘッダであるESPヘッダのあるIPv6パケットをフロー検出する場合は,フロー検出条件に次の条件を指定してください。

上位プロトコルおよびTCP/UDP/ICMPヘッダをフロー検出条件に指定しても,フロー検出しません。

(2) オプションヘッダのあるIPv4パケットに対するフィルタ

Advance条件でレイヤ2中継かつオプションヘッダのあるIPv4パケットをフロー検出する場合は,フロー検出条件に次の条件を指定してください。

TCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダをフロー検出条件に指定しても,フロー検出しません。

(3) 拡張ヘッダのあるIPv6パケットに対するフィルタ

Advance条件でレイヤ2中継かつ拡張ヘッダのあるIPv6パケットをフロー検出する場合は,フロー検出条件に次の条件を指定してください。

上位プロトコルおよびTCP/UDP/ICMPヘッダをフロー検出条件に指定した場合の,フロー検出可否を次に示します。

表9‒7 受信側インタフェースでのフロー検出可否

パケット

フロー検出条件

レイヤ3ヘッダ

パケット受信時のレイヤ2ヘッダサイズ

上位プロトコル

TCP/UDP/ICMPヘッダ

TCP制御フラグ

拡張

ヘッダ

段数

拡張

ヘッダ

種別

拡張

ヘッダサイズ

2段以上

×

×

×

1段

28byte以上

×

×

AH

16byte

30byte以上

×

20byte

26byte以上

×

24byte

22byte以上

×

30byte以上

×

×

上記以外

16byte

30byte以上

×

24byte

22byte以上

×

30byte以上

×

×

(凡例) ○:検出できる ×:検出できない −:条件によらない

表9‒8 送信側インタフェースでのフロー検出可否

パケット

フロー検出条件

レイヤ3ヘッダ

パケット受信時のレイヤ2ヘッダサイズ

上位プロトコル

TCP/UDP/ICMPヘッダ

TCP制御フラグ

拡張

ヘッダ

段数

拡張

ヘッダ

種別

拡張

ヘッダサイズ

2段以上

×

×

×

1段

28byte以上

×

×

AH

12byte

30byte以上

×

16byte

26byte以上

×

20byte

22byte以上

×

30byte以上

×

×

24byte

18byte以上

×

26byte以上

×

×

上記以外

16byte

26byte以上

×

24byte以上

18byte以上

×

26byte以上

×

×

(凡例) ○:検出できる ×:検出できない −:条件によらない

(4) 拡張ヘッダが2段以上あるIPv6パケットに対するフィルタ

レイヤ2中継かつ拡張ヘッダが2段以上あるIPv6パケットをフロー検出する場合は,フラグメント条件(FOおよびMF)以外の条件を指定してください。

(5) フラグメントパケットに対するフィルタ

フラグメントパケットの2番目以降のパケットはTCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダがパケット内にありません。フラグメントパケットを受信した際のフィルタを次の表に示します。

表9‒9 フラグメントパケットとフィルタの関係

フロー検出条件

フロー検出条件とパケットの一致/不一致

動作

先頭パケット

2番目以降のパケット

IPヘッダだけ

IPヘッダ一致

中継

中継

中継

廃棄

廃棄

廃棄

IPヘッダ不一致

中継

次のエントリを検索

次のエントリを検索

廃棄

次のエントリを検索

次のエントリを検索

IPヘッダ+TCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダ

IPヘッダ一致,

TCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダ一致

中継

中継

廃棄

廃棄

IPヘッダ一致,

TCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダ不一致

中継

次のエントリを検索

次のエントリを検索

廃棄

次のエントリを検索

次のエントリを検索

IPヘッダ不一致,

TCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダ不一致

中継

次のエントリを検索

次のエントリを検索

廃棄

次のエントリを検索

次のエントリを検索

(凡例)

−:TCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダがパケットにないため,常にTCP/UDP/ICMP/IGMPヘッダ不一致として扱うので該当しない

(6) フィルタで検出しないフレーム

本装置では,受信側に設定したフィルタで次に示すフレームをフロー検出しません。

また,送信側に設定したフィルタで次に示すフレームをフロー検出しません。

(7) 自発パケットに対するフィルタ

特定自発パケットを送信側でフロー検出する場合は,検出できるアクセスリスト種別や中継種別で設定してください。

対象となる特定自発IPv4パケットを次に示します。

対象となる特定自発IPv6パケットを次に示します。

これらの特定自発パケットに対するフロー検出可否を次の表に示します。

表9‒10 特定自発パケットのフロー検出可否

フロー検出モード

アクセスリスト種別

検出条件の中継種別

検出可否

エントリ数重視モード

MACアクセスリスト

×

IPv4アクセスリスト

IPv6アクセスリスト

検出条件数重視モード

MACアクセスリスト

IPv4アクセスリスト

×

IPv6アクセスリスト

×

Advanceアクセスリスト

指定なし

レイヤ2中継

レイヤ3中継

×

(凡例) ○:検出できる ×:検出できない −:指定できない

(8) IPマルチキャストパケットおよびIPブロードキャストパケットに対するフィルタ

IPマルチキャストパケットおよびIPブロードキャストパケットには,レイヤ2中継とレイヤ3中継が共に実施されます。IPマルチキャストパケットおよびIPブロードキャストパケットをフロー検出する場合は,該当するインタフェースに対して次のどちらかの方法を適用してください。

(9) フィルタエントリ削除時の動作

次に示すコンフィグレーションの変更でフィルタエントリを削除した場合,一時的に暗黙の廃棄エントリによってフレームが廃棄されます。

(10) フィルタエントリ変更時の動作

本装置では,インタフェースに適用済みのフィルタエントリを変更すると,変更が反映されるまでの間,検出の対象となるフレームをほかのフィルタエントリまたは暗黙の廃棄エントリで検出します。

また,変更後のフィルタエントリが複数のエントリを使用するフロー検出条件の場合,すべてのフィルタエントリを装置に反映してから統計情報の採取を開始します。

(11) 自宛パケットを廃棄するフィルタの設定

次に示す条件を満たす場合は,ポリシーベースルーティングを動作に指定しているフィルタエントリのシーケンス番号よりも小さい番号に,自宛パケットを廃棄するフィルタエントリを設定してください。