コンフィグレーションガイド Vol.2


5.7.4 シングルスパニングツリーのパラメータ設定

各パラメータは「2×(forward-time−1)≧max-age≧2×(hello-time+1)」という関係を満たすように設定する必要があります。パラメータを変える場合は,トポロジ全体でパラメータを合わせる必要があります。

〈この項の構成〉

(1) BPDUの送信間隔の設定

BPDUの送信間隔は,短くした場合はトポロジ変更を検知しやすくなります。長くした場合はトポロジ変更の検知までに時間が掛かるようになる一方で,BPDUトラフィックや本装置のスパニングツリープログラムの負荷を軽減できます。

[設定のポイント]

設定しない場合,2秒間隔でBPDUを送信します。通常は設定する必要はありません。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree single hello-time 3

    シングルスパニングツリーのBPDU送信間隔を3秒に設定します。

[注意事項]

BPDUの送信間隔を短くすると,トポロジ変更を検知しやすくなる一方でBPDUトラフィックが増加することによってスパニングツリープログラムの負荷が増加します。本パラメータをデフォルト値(2秒)より短くすることでタイムアウトのメッセージ出力やトポロジ変更が頻発する場合は,デフォルト値に戻して使用してください。

(2) 送信する最大BPDU数の設定

スパニングツリーでは,CPU負荷の増大を抑えるために,hello-time(BPDU送信間隔)当たりに送信する最大BPDU数を決められます。トポロジ変更が連続的に発生すると,トポロジ変更を通知,収束するために大量のBPDUが送信され,BPDUトラフィックの増加,CPU負荷の増大につながります。送信するBPDUの最大数を制限することでこれらを抑えます。

[設定のポイント]

設定しない場合,hello-time(BPDU送信間隔)当たりの最大BPDU数は3で動作します。本パラメータのコンフィグレーションはRapid STPだけ有効であり,STPは3(固定)で動作します。通常は設定する必要はありません。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree single transmission-limit 5

    シングルスパニングツリーのhello-time当たりの最大送信BPDU数を5に設定します。

(3) BPDUの最大有効時間

ルートブリッジから送信するBPDUの最大有効時間を設定します。BPDUのカウンタは装置を経由するたびに増加して,最大有効時間を超えたBPDUは無効なBPDUとなって無視されます。

[設定のポイント]

最大有効時間を大きく設定することで,多くの装置にBPDUが届くようになります。設定しない場合,最大有効時間は20で動作します。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree single max-age 25

    シングルスパニングツリーのBPDUの最大有効時間を25に設定します。

(4) 状態遷移時間の設定

STPモードまたはRapid STPモードでタイマによる動作となる場合,ポートの状態が一定時間ごとに遷移します。STPモードの場合はBlockingからListening,Learning,Forwardingと遷移し,Rapid STPモードの場合はDiscardingからLearning,Forwardingと遷移します。この状態遷移に必要な時間を設定できます。小さい値を設定すると,より早くForwarding状態に遷移できます。

[設定のポイント]

設定しない場合,状態遷移時間は15秒で動作します。本パラメータを短い時間に変更する場合,BPDUの最大有効時間(max-age),送信間隔(hello-time)との関係が「2×(forward-time−1)≧max-age≧2×(hello-time+1)」を満たすように設定してください。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree single forward-time 10

    シングルスパニングツリーの状態遷移時間を10に設定します。