21.1.5 BGP4またはBGP4+使用時の注意事項
BGP4またはBGP4+を使用したネットワークを構成する場合は次の事項に注意してください。
(1) BGP4およびBGP4+の制限事項
本装置のBGP4およびBGP4+はRFC4271(BGPバージョン4仕様),RFC1997(コミュニティ仕様),RFC5492(サポート機能の広告仕様),RFC2918(ルート・リフレッシュ仕様),RFC4456(ルート・リフレクション仕様),RFC5065(コンフェデレーション仕様)に準拠しています。さらに,BGP4+はRFC4760(BGP4マルチプロトコル拡張仕様),RFC2545(RFC4760のIPv6適用方法の仕様)に準拠していますが,ソフトウェアの機能制限から一部RFCとの差分があります。RFCとの差分を次の表に示します。なお,本装置はBGPバージョン4だけをサポートしています。
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                         RFC番号  | 
                     
                         RFC  | 
                     
                         本装置  | 
                  |
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                         RFC4271  | 
                     
                         パス属性:NEXT_HOP  | 
                     
                         経路を広告される外部ピアが,広告しているBGPスピーカのインタフェースの一つとサブネットを共有している場合,スピーカはそのようなインタフェースに関連したIPアドレスを,NEXT_HOP属性に使用することができます。これは“ファーストパーティ”NEXT_HOP属性として知られています。  | 
                     
                         “ファーストパーティ”NEXT_HOP属性はサポートしません。  | 
                  
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                         外部ピアへメッセージを送信する場合で,かつ,ピアがスピーカから複数IPホップはなれている場合(別名“マルチホップEBGP”)BGPスピーカは,NEXT_HOP属性を変更しないで伝えるような設定ができます。  | 
                     
                         外部ピアの場合,広告時にNEXT_HOP属性を自ルータのアドレスに変更します。  | 
                  ||
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                         パス属性:MULTI_EXIT_DISC  | 
                     
                         BGPスピーカはMULTI_EXIT_DISC属性を,ローカル・コンフィグレーションに基づいて経路から削除できる機構を実装しなければなりません。もし,BGPスピーカがMULTI_EXIT_DISCを経路から削除するように設定されているならば,この削除は,経路の優先度の決定,および経路選択の実行に先立って実行されなければなりません。  | 
                     
                         MULTI_EXIT_DISC属性を経路から削除できる機構は実装していません。  | 
                  |
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                         コネクション衝突の発見  | 
                     
                         OPENメッセージを受信したとき,ローカルシステムはOpenConfirm状態にあるすべてのコネクションを検査する必要があります。また,プロトコル以外の手段によってピアのBGP識別子を確認できれば,OpenSent状態のコネクションも検査します。  | 
                     
                         OPENメッセージを受信したとき,OpenSent状態またはConnect状態にあるすべてのコネクションを検査します。  | 
                  |
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                         BGP FSM:IDLE状態  | 
                     
                         エラーのためにIdle状態へ遷移したピアについて,続くStartまでの間の時間は(Startイベントが自動的に生成されるなら),指数的に増大するべきです。その最初のタイマ値は60秒です。時間はリトライごとに2倍にされるべきです。  | 
                     
                         本装置ではIdle状態からstartまでの間の最初のタイマは16〜36秒になります。  | 
                  |
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                         BGP FSM:Active状態  | 
                     
                         トランスポート・プロトコル・コネクションが成功した場合,ローカルシステムはConnect Retryタイマをクリアし,初期設定を完了し,そのピアへOPENメッセージを送信し,そのHoldタイマをセットし,状態をOpen Sentへ変えます。Holdタイマの値は4分が提案されています。  | 
                     
                         本装置ではHoldタイマはデフォルトで180秒(3分),コンフィグレーションで指定されている場合はコンフィグレーションの値を使用します。  | 
                  |
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                         経路広告の頻度  | 
                     
                         Min Route Advertisement Intervalは,単一のBGPスピーカからの特定の宛先への経路広告の間隔の最小時間を決めます。このレート制限処理は,宛先ごとにされます。しかし,Min Route Advertisement Intervalの値は,BGPピアごとに設定されます。  | 
                     
                         本装置ではMin Route Advertisement Intervalはサポートしていません。  | 
                  |
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                         Min AS Origination Intervalは,広告するBGPスピーカ自身のAS中の変化を報告するための連続したUPDATEメッセージ広告の間に経過しなければならない最小時間を決めます  | 
                     
                         本装置ではMin AS Origination Intervalはサポートしていません。  | 
                  ||
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                         ジッタ  | 
                     
                         あるBGPスピーカによるBGPメッセージの配布がピークを含む可能性を最小にするために,Min AS Origination Interval,Keep Alive,Min Route Advertisement Intervalに関係したタイマにジッタを適用すべきです。  | 
                     
                         本装置ではジッタを適用していません。  | 
                  |
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                         経路集約  | 
                     
                         異なるMULTI_EXIT_DISC属性を持つ経路は,集約してはなりません。  | 
                     
                         異なるMULTI_EXIT_DISC属性を持つ経路を集約します。  | 
                  |
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                         異なるNEXT_HOPを持つ経路を集約するときは,集約経路のNEXT_HOP属性は,集約を実行するBGPスピーカ上のインタフェースを識別しなければなりません。  | 
                     
                         集約経路にはNEXT_HOP属性を設定しません。  | 
                  ||
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                         BGPタイマ  | 
                     
                         Connect Retryタイマの提案されている値は120秒です。  | 
                     
                         本装置ではConnect Retry回数によって変化する可変値(16〜148秒)になります。  | 
                  |
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                         Hold Timeの提案されている値は90秒です。  | 
                     
                         デフォルトのHold Timeは180秒です。コンフィグレーションにHold Timeが設定されている場合は,その値を使用します。  | 
                  ||
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                         Keep Aliveタイマの提案されている値は30秒です。  | 
                     
                         デフォルトのKeep AliveタイマはHold Timeの1/3になります。コンフィグレーションにKeep Aliveタイマ設定されている場合は,その値を使用します  | 
                  ||
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                         BGPによって,二つのオプションタイマ(DelayOpenTimer,IdleHoldTimer)をサポートすることができます。  | 
                     
                         DelayOpenTimer,IdleHoldTimerはサポートしていません。  | 
                  ||
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                         RFC2545  | 
                     
                         通知するネクストホップと通知先のピアとが同じネットワーク上にある場合に限り,リンクローカルネクストホップも通知します。  | 
                     
                         本装置では外部ピアが直結ネットワークで接続されている場合だけRFCと同じ処理を行います。  | 
                  |
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                         トランスポート・プロトコル  | 
                     
                         BGP4+セッションに使用するTCPコネクションはIPv4またはIPv6です。  | 
                     
                         本装置ではIPv6 TCPによるIPv6経路情報通知だけサポートします。  | 
                  |
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                         ピアリングアドレス種別  | 
                     
                         BGP4+ピアリングにIPv4またはIPv6アドレスを使用します。  | 
                     
                         本装置ではIPv6アドレスだけサポートします。内部ピアではIPv6リンクローカルアドレスでのBGP4+接続はサポートしていません。  | 
                  |
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                         RFC5065  | 
                     
                         コンフェデレーションのメンバーとして参加しているすべてのBGPスピーカは,AS_CONFED_SETとAS_CONFED_SEQUENCEのパスタイプを認識できなければなりません。  | 
                     
                         本装置はAS_CONFED_SETをサポートしません。AS_CONFED_SETを含む経路を受信した場合,該当パスタイプを無視します。  | 
                  |
(2) 直接接続されたインタフェース上でピアリングする場合の注意事項
BGP4+では,直接接続されたインタフェース上のBGPスピーカ間で本装置が外部ピアまたはメンバーAS間ピアを使用して,かつ同一インタフェース上で本装置がOSPFv3仮想リンクの通過エリアとなる構成の場合,ピアとのコネクションが確立しません。この場合,コンフィグレーションコマンドneighbor ebgp-multihopを設定するとコネクションが確立します。