5.1.2 DHCP/BOOTPリレーエージェントでIPアドレスが割り当てられない
DHCP/BOOTPリレーエージェントの通信トラブルが発生する要因として,次の4種類が考えられます。
-
DHCP/BOOTPリレーエージェントのコンフィグレーション設定
-
DHCP/BOOTPサーバ(以降,サーバ)のコンフィグレーション設定
-
DHCP/BOOTPクライアント(以降,クライアント)のコンフィグレーション設定
-
IPv4ネットワークの通信障害
ここでは,次に示すネットワーク構成を例として,障害部位および原因の切り分け手順を説明します。
|
確認ポイント (図中の記号) |
パケット内の値 |
|||
---|---|---|---|---|
宛先IPアドレス |
送信元IPアドレス |
宛先UDPポート番号 |
送信元UDPポート番号 |
|
1a |
255.255.255.255 |
0.0.0.0 |
67 |
任意 |
1b |
192.0.2.41 |
192.0.2.42 |
67 |
68 |
1c |
192.0.2.21 |
192.0.2.41 |
67 |
任意 |
1d |
割り当てDHCPアドレス |
192.0.2.21 |
68 |
67 |
|
確認ポイント (図中の記号) |
パケット内の値 |
|||
---|---|---|---|---|
宛先IPアドレス |
送信元IPアドレス |
宛先UDPポート番号 |
送信元UDPポート番号 |
|
2a |
255.255.255.255 |
0.0.0.0 |
67 |
任意 |
2b |
192.0.2.41 |
192.0.2.42 |
67 |
68 |
2c |
192.0.2.61 |
192.0.2.62 |
67 |
68 |
2d |
192.0.2.21 |
192.0.2.61 |
67 |
任意 |
2e |
割り当てDHCPアドレス |
192.0.2.21 |
68 |
67 |
なお,図中の1aおよび1d,または2aおよび2eを確認する場合,あらかじめクライアントに対して,割り当てDHCPアドレスの代わりに一時的に固定IPアドレスを設定してください。
- 〈この項の構成〉
(1) DHCP/BOOTPリレーエージェントの状態および統計情報の確認
DHCP/BOOTPリレーエージェントの状態および統計情報を確認して,次の表に示す障害解析方法に従って原因を切り分けてください。
項番 |
確認内容・コマンド |
対応 |
---|---|---|
1 |
クライアント側インタフェースで,クライアントから受信したパケット数(DHCP/BOOTP Request Packets CountのReceive Packets)がカウントされているか確認してください。
|
カウントされている場合は,項番2へ。 |
カウントされていない場合は,次の内容を確認してください。
|
||
2 |
ホップ数が最大数以上のため廃棄されたパケット数(DHCP/BOOTP Error Packets CountのHops Over)がカウントされているか確認してください。
|
カウントされている場合は,「(2) DHCP/BOOTPリレーエージェント設定の確認」を参照して,DHCP/BOOTPパケットの最大ホップ数を確認してください。 |
カウントされていない場合は,項番3へ。 |
||
3 |
クライアント側インタフェースの転送先で,サーバ(転送先)宛てへの送信に成功したパケット数(DHCP/BOOTP Request Packets CountのSend Packets)がカウントされているか確認してください。
|
カウントされている場合は,項番4へ。 |
カウントされていない場合は,次の内容を確認してください。
|
||
4 |
サーバから受信したパケット数(DHCP/BOOTP Reply Packets CountのReceive Packets)がカウントされているか確認してください。
|
カウントされている場合は,項番5へ。 |
カウントされていない場合は,次の内容を確認してください。
|
||
5 |
クライアント宛てへの送信に成功したパケット数(DHCP/BOOTP Reply Packets CountのSend Packets)がカウントされているか確認してください。
|
カウントされている場合は,次の内容を確認してください。
|
カウントされていない場合は,次の内容を確認してください。
|
(2) DHCP/BOOTPリレーエージェント設定の確認
DHCP/BOOTPリレーエージェントのコンフィグレーション設定ミスによって,クライアントにIPアドレスが割り当てられないという原因が考えられます。DHCP/BOOTPリレーエージェントのコンフィグレーションを確認する手順を次に示します。
-
クライアント側のIPインタフェースに,DHCP/BOOTPパケットの転送先が設定(コンフィグレーションコマンドip helper-address)されていることを確認してください。
-
DHCP/BOOTPパケットの最大ホップ数が,本装置とクライアント間のDHCP/BOOTPリレーエージェントの数よりも大きな値に設定(コンフィグレーションコマンドip dhcp relay maximum-hop-count)されていることを確認してください。
-
マルチホーム構成の場合,DHCP/BOOTPリレーエージェントIPアドレス(giaddr)に,クライアントのネットワークセグメントと一致するIPアドレスが設定(コンフィグレーションコマンドip dhcp relay gateway)されていることを確認してください。
なお,show ip dhcp relay interfaceコマンドで表示されるDHCP/BOOTPリレーエージェントのインタフェース情報でも,コンフィグレーションの設定を確認できます。
(3) DHCP/BOOTPリレーエージェントとVRRPを同一IPインタフェースで運用している場合の確認
DHCP/BOOTPリレーエージェントとVRRPを同一IPインタフェースに設定する場合,VRRPによって別装置に切り替わってもクライアントからサーバへのゲートウェイが同じになることを確認してください。例えば,サーバでは,仮想ルータアドレスをデフォルトルータ(ルータオプション)としてクライアントに割り当てられるように設定しているか確認してください。