13.10.1 概要
ユニキャストルーティング高可用機能は,系切替によって運用系BCUが交替したときや,運用コマンドなどによってユニキャストルーティングプログラムが再起動したときに,ネットワークから経路が消えることによる通信の停止を防ぐための機能です。
(1) ユニキャストルーティング高可用機能を使用しない場合の問題
本装置では,系切替によって運用系BCUが交替したときや,運用コマンドなどによってユニキャストルーティングプログラムが再起動したときでも,本装置がパケット転送を中断することはありません。これは,本装置ではルーティングプログラムが交替しても以前のルーティングプログラムの経路を保留して動作し続けているためです。
しかし,ルーティングプロトコルを使用している場合は隣接ルータが本装置へパケットを転送しなくなるため,ネットワーク全体では通信が一時的に停止することがあります。これは次の理由によります。
-
新たに動作を始めたルーティングプログラムが隣接ルータと通信を開始すると,隣接ルータは新たな接続要求を受け取ります。これによって,隣接ルータでは以前の接続が切断したものと認識して,該当装置を経由する経路を削除します。
-
本装置が一部の経路を広告しません。これは,新しく動作を開始したルーティングプログラムが経路広告を開始した時点では,まだ経路情報の学習が完了していないためです。隣接ルータでは,本装置が広告しなかった経路を削除します。
(2) サポート範囲
本装置は,ユニキャストルーティング高可用機能としてノンストップルーティングとグレースフル・リスタートをサポートしています。ユニキャストルーティング高可用機能のサポート範囲を次の表に示します。
項目 |
ノンストップルーティング |
グレースフル・リスタート |
|
---|---|---|---|
対象イベント |
装置再起動 |
× |
× |
系切替 |
○※1 |
○※2 |
|
ユニキャストルーティングプログラム再起動 |
○ |
○※2 |
|
TCP高可用プログラム再起動 |
○ |
− |
|
対象ルーティングプロトコル |
OSPF |
○ |
○ |
OSPFv3 |
○ |
○ |
|
BGP4 |
○ |
○ |
|
BGP4+ |
○ |
○ |
(凡例) ○:取り扱う ×:取り扱わない −:該当しない
- 注※1
-
系切替が連続した場合は,一部または全部の経路を引き継げないで,本装置を経由する通信が一時的に停止することがあります。
- 注※2
-
グレースフル・リスタート中に再度イベントが発生した場合は,グレースフル・リスタートの実行を中止します。または,グレースフル・リスタートが失敗します。