コンフィグレーションガイド Vol.3


24.4.6 マルチキャストロードバランス

IPv4マルチキャストでは,上流経路が複数のイコールコストマルチパスのネットワーク構成で,上流のマルチキャスト経路をイコールコストマルチパス内で分散させることによって,マルチキャスト中継の負荷を軽減させるマルチキャストロードバランスをサポートしています。マルチキャストロードバランスの概要を次の図に示します。

図24‒19 マルチキャストロードバランスの概要

[図データ]

上流経路が複数のイコールコストマルチパスのネットワーク構成で本機能を使用すると,該当するエントリのPIM Joinメッセージを,これらの上流経路へイコールコストマルチパス内に分散して送信します。その結果,該当する上流経路から中継されるマルチキャストパケットを分散できます。

本機能では,上流経路を選択するアルゴリズムが複数あります。コンフィグレーションコマンドip multicast multipathのalgorithmパラメータで,ネットワーク構成に適したアルゴリズムを選択してください。

〈この項の構成〉

(1) 上流経路分散方式

本機能には,上流経路を自動で分散する方式と,手動で分散する方式があります。

自動分散方式

自動分散方式の設定直後,およびイコールコストマルチパスのユニキャスト経路変更時に,上流経路を自動で分散します。

手動分散方式

手動分散方式の設定直後,およびイコールコストマルチパスのユニキャスト経路変更時には,上流経路を分散しません。運用コマンドrebalance ip mrouteを実行すると,上流経路を分散します。ただし,手動分散方式を設定したあとで学習したエントリ,および障害などで上流経路がなくなったエントリは,上流経路を自動で分散します。

コンフィグレーションコマンドip multicast multipathのrebalanceパラメータで,これらの方式を選択してください。なお,手動分散方式で上流経路を分散していない場合は,運用コマンドshow ip mrouteのrebalanceパラメータで分散対象エントリおよび分散先経路を確認できます。

(2) 注意事項

手動分散方式で運用中に,現在の上流経路と分散後の上流経路が異なるエントリが存在する状態で系切替した場合,該当するエントリは系切替後の再学習で現在の上流経路から分散後の上流経路に切り替えます。このとき,無停止マルチキャスト中継機能を使用していても,上流経路の切り替え時にパケットロスが発生します。