コンフィグレーションガイド Vol.3


22.1.2 コミュニティ

本装置のBGP4およびBGP4+は経路情報に付いたCOMMUNITIES属性を使用して,経路情報の広告範囲を制限できます。

〈この項の構成〉

(1) コミュニティの種類

本装置で取り扱うコミュニティの値は,次の2種類に分けられます。

また,学習経路フィルタおよび広告経路フィルタによって,本装置が通知する経路情報に任意のコミュニティを付けられます。

RFC1997で定義され,本装置で使用できるコミュニティを次の表に示します。

表22‒1 本装置で使用できるコミュニティ

コミュニティ

内容

no-export

この経路情報をAS外に広告しません。

no-advertise

この経路情報をほかのピアに広告しません。

local-AS

この経路情報を他ASを含めてメンバーAS外に広告しません。

注 通常構成ではコミュニティのno-exportとlocal-ASは同じ意味を持ちます。

また,コミュニティを持つ経路情報の広告範囲を次の図に示します。

図22‒1 COMMUNITIES属性を持つ経路情報の広告範囲

[図データ]

(2) 学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例

学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例を次の図に示します。

図22‒2 学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例

[図データ]

この図で,一つの外部ASに2台のルータ(本装置Aと本装置B)が接続されているものとします。AS外へのトラフィックの負荷分散を考慮して,本装置Cからのトラフィックは本装置Aを経由してAS外に,本装置Dからのトラフィックは本装置Bを経由してAS外に優先して中継するものとします。この場合,各ルータに次のような設定をすると,負荷分散できるようになります。

  1. 本装置Aから内部ピアに通知する経路情報に,コミュニティaを付けます(広告経路フィルタで指定できます)。

  2. 本装置Bから内部ピアに通知する経路情報に,コミュニティbを付けます(広告経路フィルタで指定できます)。

  3. 本装置Cでは,受信した経路情報がコミュニティaを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をx(x>y)に設定して,受信した経路情報がコミュニティbを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をy(x>y)に設定します。つまり,本装置Aから通知されたLOCAL_PREF値が大きい経路情報を優先します(学習経路フィルタで指定できます)。

  4. 本装置Dでは,受信した経路情報がコミュニティaを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をy(x>y)に設定して,受信した経路情報がコミュニティbを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をx(x>y)に設定します。つまり,本装置Bから通知されたLOCAL_PREF値が大きい経路情報を優先します(学習経路フィルタで指定できます)。