コンフィグレーションガイド Vol.2


19.1.10 帯域制御

階層化シェーパはシェーパユーザおよびポートの2階層で帯域を制御する機能ですが,各階層ではユーザ帯域制御およびポート帯域制御によって帯域を制御しています。

〈この項の構成〉

(1) ユーザ帯域制御

ユーザ帯域制御は,シェーパユーザ内のすべてのユーザ送信キューの送信帯域をシェーピングする機能です。ユーザ帯域制御の動作は,シェーパユーザの種類やNIFのシェーパモードによって異なります。

シェーパユーザごとのユーザ帯域制御の内容を次の表に示します。

表19‒16 シェーパユーザごとのユーザ帯域制御

シェーパユーザ種別

内容

LLRLQユーザ

最大帯域を制限できます。

通常ユーザ

最低帯域を保証しつつ,最大帯域を制限できます。

LLPQの場合,LLPQの最大帯域も制限できます。

デフォルトユーザ

最大帯域を制限できます。

シェーパモードごとのユーザ帯域制御の設定条件を次の表に示します。

表19‒17 シェーパモードごとのユーザ帯域制御の設定条件

シェーパモード

シェーパユーザ種別

帯域制御パラメータの設定条件

RGQ

LLRLQユーザ

最大帯域≦回線帯域※1

通常ユーザ

最大帯域≦回線帯域※1

最低帯域≦最大帯域※2

デフォルトユーザ

最大帯域≦回線帯域※1

LLPQ1,LLPQ4

LLRLQユーザ

最大帯域≦回線帯域※1

通常ユーザ

最大帯域≦回線帯域※1

LLPQ最大帯域≦最低帯域≦最大帯域※2※3

デフォルトユーザ

最大帯域≦回線帯域※1

注※1

回線速度とポート帯域のうち,小さい方を回線帯域とします。

例えば,ポート帯域を1Gbit/sで設定している場合,回線速度が10Gbit/sであれば回線帯域は1Gbit/sとなりますが,回線速度が100Mbit/sであれば回線帯域は100Mbit/sとなります。

注※2

最低帯域と最大帯域に異なる値を設定する場合は,次に示す条件をすべて満たすように設定してください。条件を満たさない場合,設定した最低帯域および最大帯域で送信しないことがあります。

・最低帯域は,最大帯域の1/2以下であること

・最低帯域と最大帯域の差を256kbit/s以上にすること

例えば,最大帯域が10Mbit/sの場合は,最低帯域を5Mbit/s以下にする必要があります。また,最大帯域が384kbit/sの場合は,最低帯域を128kbit/s以下にする必要があります。

注※3

LLPQ最大帯域と最低帯域に異なる値を設定する場合は,次に示す条件をすべて満たすように設定してください。条件を満たさない場合,設定したLLPQ最大帯域で送信しないことがあります。

・LLPQ最大帯域は,最低帯域の1/2以下であること

・LLPQ最大帯域と最低帯域の差を256kbit/s以上にすること

例えば,最低帯域が6Mbit/sの場合は,LLPQ最大帯域を3Mbit/s以下にする必要があります。また,最低帯域が384kbit/sの場合は,LLPQ最大帯域を128kbit/s以下にする必要があります。

帯域制御パラメータ(最大帯域,最低帯域,およびLLPQ最大帯域)の設定範囲を次の表に示します。

表19‒18 帯域制御パラメータの設定範囲

帯域制御パラメータ

設定単位

設定範囲

刻み値

最大帯域

最低帯域

LLPQ最大帯域

G単位

1G〜10Gbit/s

1Gbit/s

M単位

1M〜10000Mbit/s

1Mbit/s

k単位

8k〜10000000kbit/s

1kbit/s

注※ 帯域値が8kbit/s〜1.6Mbit/sの場合,8kbit/sの倍数での設定を推奨します。

ユーザ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,フレーム間ギャップからFCSまでです。ユーザ帯域制御の対象範囲を次の図に示します。

図19‒6 ユーザ帯域制御の対象範囲

[図データ]

(2) ポート帯域制御

ポート帯域制御は,ユーザ帯域制御を実施したあとに該当ポート内のすべてのシェーパユーザの合計帯域を,指定した送信帯域にシェーピングする機能です。この制御を使用して,広域イーサネットサービスなどへ接続できます。

例えば,ポート帯域が10Gbit/sでISPとの契約帯域が4Gbit/sの場合,ポート帯域制御を使用して合計帯域を4Gbit/s以下に抑えてフレームを送信できます。

ポート帯域制御の設定範囲を次の表に示します。

表19‒19 ポート帯域制御の設定範囲

設定単位

設定範囲

刻み値

G単位

1G〜10Gbit/s

1Gbit/s

M単位

1M〜10000Mbit/s

1Mbit/s

k単位

8k〜10000000kbit/s

1kbit/s

注※ 帯域値が8kbit/s〜1.6Mbit/sの場合,8kbit/sの倍数での設定を推奨します。

なお,ポート帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。

(3) 帯域制御のオプション動作

階層化シェーパの帯域制御では,コンフィグレーションコマンドshaper port rate-optionによって,帯域を制御するオプション動作を設定できます。帯域制御のオプション動作で設定できるパラメータと,その動作内容を次の表に示します。

表19‒20 帯域制御のオプション動作のパラメータおよび動作

パラメータ

動作

用途

exclude-4-byte

フレーム長から4バイトを差し引いた値を基に帯域を制御します。

エッジスイッチで,VLAN Tagが2段以上付いたフレームの1段目のVLAN Tag(4バイト)を差し引いて帯域を制御します。

注※ 運用コマンドで表示する統計情報(バイト数統計)は,実際のフレーム長で表示します。