コンフィグレーションガイド Vol.2


14.1.1 概要

ポリサーでは,フロー検出で検出したフレームのフレーム長(フレーム間ギャップからFCSまで)を基に帯域を監視します。指定した監視帯域内として中継するフレームを遵守フレーム,監視帯域以上としてペナルティを科すフレームを違反フレームと呼びます。

注※ フレーム間ギャップは,12byteとします。

フロー検出で検出したフレームが監視帯域を遵守しているか,または違反しているかの判定には,水の入った穴の開いたバケツをモデルとする,Leaky Bucketアルゴリズムを使用しています。

Leaky Bucketアルゴリズムのモデルを次の図に示します。

図14‒2 Leaky Bucketアルゴリズムのモデル

[図データ]

バケツからは監視帯域分の水が流れ,フレーム送受信時にはフレーム間ギャップからFCSまでのサイズの水が注ぎ込まれます。水が注ぎ込まれる際にバケツがあふれていなければ,遵守フレームとして中継されます(上図の左側の例)。水が注ぎ込まれる際にバケツがあふれている場合は,フロー検出で検出したフレームを違反フレームとしてペナルティを科します(上図の右側の例)。水が一時的に大量に注ぎこまれたときに許容できる量,すなわちバケツの深さがバーストサイズに対応します。

本機能は,最低帯域監視と最大帯域監視から成ります。最低帯域監視は,違反フレームに対してマーカーや優先度変更によって優先度やDSCPを書き換え,ペナルティを科します。最大帯域監視は違反フレームを廃棄します。最低帯域監視と最大帯域監視で使用できるペナルティの種類を次の表に示します。

表14‒1 最低帯域監視と最大帯域監視で使用できるペナルティの種類

違反フレームに対するペナルティ

帯域監視種別

最低帯域監視

最大帯域監視

廃棄

廃棄クラス変更

DSCP書き換え

ユーザ優先度書き換え

(凡例)○:使用できるペナルティ −:使用できないペナルティ

ポリサーで最低帯域監視と最大帯域監視を同時に使用した場合,監視帯域値やバーストサイズの組み合わせによって,2レート3カラーのポリシングおよびシングルレート3カラーのポリシングができます。

〈この項の構成〉

(1) 2レート3カラーのポリシング

2レート3カラーのポリシングでは,帯域使用量に応じてフレームを分類して,マーキングします。フレームの分類を次の表に示します。

表14‒2 フレームの分類(2レート3カラーのポリシング)

分類

カラー

内容

違反フレーム

レッド

最大帯域監視の監視帯域値を超過したフレーム

超過フレーム

イエロー

最低帯域監視の監視帯域値を超過したフレーム

遵守フレーム

グリーン

最低帯域監視の監視帯域値以下のフレーム

このうち,違反フレーム(レッド)は廃棄します。超過フレーム(イエロー)には,最低帯域監視の違反フレームに対するペナルティを科します。

2レート3カラーのポリシングをする場合は,最大帯域監視の監視帯域値に,最低帯域監視の監視帯域値より大きい値を設定してください。

(2) シングルレート3カラーのポリシング

シングルレート3カラーのポリシングでは,特定の帯域でバースト性に応じてフレームを分類して,マーキングします。フレームの分類を次の表に示します。

表14‒3 フレームの分類(シングルレート3カラーのポリシング)

分類

カラー

内容

違反フレーム

レッド

監視帯域値を超過かつ最大帯域監視のバーストサイズを超過したフレーム

超過フレーム

イエロー

監視帯域値を超過かつ最低帯域監視のバーストサイズを超過したフレーム

遵守フレーム

グリーン

監視帯域値以下のフレーム

このうち,違反フレーム(レッド)は廃棄します。超過フレーム(イエロー)には,最低帯域監視の違反フレームに対するペナルティを科します。

シングルレート3カラーのポリシングをする場合は,最大帯域監視の監視帯域値と最低帯域監視の監視帯域値に同じ値を設定して,最大帯域監視のバーストサイズに最低帯域監視のバーストサイズより大きい値を設定してください。