コンフィグレーションガイド Vol.2


7.4.1 リング正常時の動作

共有リンクありのマルチリング構成でのリング正常時の状態について次の図に示します。

図7‒12 リング正常時の状態

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) 共有リンク非監視リング

共有リンク非監視リングは,マスタノード1台とトランジットノード数台で構成します。しかし,共有リンクの障害を監視しないため,補助的な役割として,共有リンクの両端に位置する共有リンク非監視リングの最終端ノード(共有ノード)から,ヘルスチェックフレームをマスタノードに向けて送信します。このヘルスチェックフレームは,二つのリングポートのうち,共有リンクではない方のリングポートから送信します。これによって,共有リンク非監視リングのマスタノードは,共有リンクで障害が発生した場合に,自身が送信したヘルスチェックフレームが受信できなくなっても,共有リンク非監視リングの最終端ノード(共有ノード)からのヘルスチェックフレームが受信できている間は障害を検出しないようにできます。

図7‒13 共有リンク非監視リングでの正常時の動作

[図データ]

(a) マスタノード動作

片方向リンク障害による障害誤検出を防止するために,二つのリングポートからヘルスチェックフレーム(HC(M))を送信します。あらかじめ設定した時間内に,両方向のHC(M)を受信するか監視します。マスタノードが送信したHC(M)とは別に,共有リンクの両端に位置する共有リンク非監視リングの最終端ノード(共有ノード)から送信したヘルスチェックフレーム(HC(S))についても合わせて受信を監視します。データフレームの転送は,プライマリポートで行います。セカンダリポートはブロッキング状態になっているため,データフレームの転送およびMACアドレス学習は行いません。

(b) トランジットノード動作

トランジットノードの動作は,シングルリング時と同様です。トランジットノードは,HC(M)およびHC(S)を監視しません。HC(M)やHC(S)を受信すると,リング内の次ノードに転送します。データフレームの転送は,両リングポートで行います。

(c) 共有リンク非監視リングの最終端ノード動作

共有リンク非監視リングの最終端ノード(共有ノード)は,共有リンク非監視リングのマスタノードに向けてHC(S)の送信を行います。HC(S)の送信は,二つのリングポートのうち,共有リンクではない方のリングポートから送信します。マスタノードが送信するHC(M)や,データフレームの転送については,トランジットノードの場合と同様となります。

(2) 共有リンク監視リング

共有リンク監視リングは,シングルリング時と同様に,マスタノード1台と,そのほか数台のトランジットノードとの構成となります。共有リンクの両端に位置するノードは,シングルリング時と同様にマスタノードまたはトランジットノードとして動作します。

図7‒14 共有リンク監視リングでの正常時の動作

[図データ]

(a) マスタノード動作

片方向リンク障害による障害誤検出を防止するために,二つのリングポートからヘルスチェックフレーム(HC(M))を送信します。あらかじめ設定された時間内に,両方向のHC(M)を受信するかを監視します。データフレームの転送は,プライマリポートで行います。セカンダリポートはブロッキング状態になっているため,データフレームの転送およびMACアドレス学習は行いません。

(b) トランジットノード動作

トランジットノードの動作は,シングルリング時と同様です。トランジットノードは,マスタノードが送信したHC(M)を監視しません。HC(M)を受信すると,リング内の次ノードに転送します。データフレームの転送は,両リングポートで行います。