14.1.4 系切替
本装置はBCUを二重化構成で運用している場合,運用コマンドredundancy force-switchoverの実行や運用系BCUの障害などによって運用系BCUが切り替わります。
コマンドで系切替をすると,コマンドを実行した系は系切替後に待機系BCUとして動作します。系切替の準備ができていない場合などは,コマンドによる系切替が抑止されます。
二重化構成の状態は,「表14‒1 運用中に同期するユーザの設定情報および利用情報」の同期状態確認コマンドで確認できます。起動が完了しない,または系切替の準備ができていない場合は,次の方法で対応してください。
-
運用コマンドshow loggingを使用して,システムメッセージに従って対応する
-
「トラブルシューティングガイド」に従って対応する
なお,系切替をすると,リモート接続しているユーザはすべてログアウトします。このとき,リモート接続しているユーザが実行中のコマンドは終了するため,切り替え後にログインして再実行してください。
(1) 通信無停止対応機能一覧
通信無停止機能をサポートする機能を次の表に示します。通信無停止機能をサポートしている機能は,系切替時でも各機能が停止しないで動作するため,系切替後も通信を維持できます。運用管理,ネットワーク監視,およびネットワーク管理の機能の一部では,系切替時にプロトコル状態が初期状態に戻っても,通信を維持できます。通信無停止機能を未サポートの機能は系切替後再学習をするため,ネットワーク情報が再構築されるまでの間通信が中断します。
通信無停止機能の対応状況を次の表に示します。
分類 |
機能 |
通信無停止可否 |
|
---|---|---|---|
運用管理 |
マネージメントポート |
× |
|
telnet,ssh,ftp |
× |
||
NTP/SNTP |
○※2 |
||
RADIUS/TACACS+ |
× |
||
SNMP |
○ |
||
ネットワークインタフェース |
全NIF共通 |
○ |
|
リンクアグリゲーション |
スタティック |
○ |
|
LACP |
○ |
||
スタンバイリンク リンクダウンモード |
○ |
||
スタンバイリンク 非リンクダウンモード |
○ |
||
異速度混在モード |
○ |
||
切り戻し抑止 |
○※3 |
||
MACアドレス学習・VLAN |
MACアドレス学習 |
○ |
|
ポートVLAN |
○ |
||
VLANトンネリング |
○ |
||
Tag変換 |
○ |
||
アイソレートVLAN |
○ |
||
VLAN debounce |
○ |
||
QinQ網向け機能 |
2段のVLAN TagでのMACアドレス学習 |
○ |
|
MACアドレス学習の移動監視 |
○ |
||
BPDUの透過機能 |
○ |
||
スパニングツリー |
PVST+ |
× |
|
シングルスパニングツリー |
× |
||
マルチプルスパニングツリー |
× |
||
Ring Protocol |
Ring Protocol |
○ |
|
IGMP/MLD snooping |
IGMP/MLD snooping |
○ |
|
フィルタ・QoS |
フィルタ・QoS |
○ |
|
アクセスリストロギング |
○ |
||
ネットワーク監視機能 |
L2ループ検知 |
×※4 |
|
ストームコントロール |
○ |
||
トラッキング機能 |
○ |
||
ネットワークの管理 |
ポートミラーリング |
○ |
|
ポリシーベースミラーリング |
○ |
||
sFlow統計(フロー統計) |
○ |
||
IEEE802.3ah OAM |
UDLD |
○※2 |
|
ループ検出 |
○※2 |
||
LLDP |
○※2 |
||
IPパケット中継 |
IPv4,ARP |
○ |
|
IPv6,NDP |
○ |
||
ポリシーベースルーティング |
○※5 |
||
RA |
○ |
||
DHCP/BOOTPリレーエージェント |
○ |
||
DHCPv6リレーエージェント |
○ |
||
VRRP |
× |
||
ユニキャストルーティングプロトコル |
スタティックルーティング |
○ |
|
RIP,RIP2,RIPng |
× |
||
OSPF,OSPFv3 |
○※6 |
||
BGP4,BGP4+ |
○※6 |
||
IPv4マルチキャストルーティングプロトコル |
PIM-SM |
○※7 |
|
PIM-SSM |
○※7 |
||
IPv6マルチキャストルーティングプロトコル |
PIM-SM |
× |
|
PIM-SSM |
○※7 |
||
ネットワーク経路監視機能 |
BFD |
○ |
(2) コンフィグレーション不一致時の動作
BCUの増設や交換時など,運用系BCUと待機系BCUでコンフィグレーションに差分が発生する場合があります。この状態で系が切り替わると,運用中のハードウェア設定と新運用系BCUのコンフィグレーションが異なり動作が矛盾するおそれがあります。
このため,本装置では運用系BCUと待機系BCU間のコンフィグレーションで不一致を検出すると,システムメッセージを出力します。また,起動時のコンフィグレーションに差分がある場合も同様に,システムメッセージを出力します。コンフィグレーションの同期によって不一致が解消すると,一致した旨のシステムメッセージを出力します。なお,コンフィグレーションの同期処理中は,一時的にコンフィグレーションの編集が抑止されます。
(3) Pythonスクリプトファイル不一致時の動作
BCUの増設や交換時など,運用系BCUと待機系BCUでインストールされているPythonスクリプトファイルに不一致が発生する場合があります。この状態で系が切り替わると,旧運用系BCUで起動していたPythonスクリプトファイルが新運用系BCUに存在しない場合,起動できません。
このため,本装置では運用系BCUと待機系BCU間でインストールされているPythonスクリプトファイルの不一致を検出すると,システムメッセージを出力します。また,常駐スクリプトおよびイベント起動スクリプトについて,起動試行時にファイルが存在しない場合も,起動不可を示すシステムメッセージを出力します。
「表14‒1 運用中に同期するユーザの設定情報および利用情報」の同期する契機を確認して,Pythonスクリプトファイルを一致させてください。