コンフィグレーションガイド Vol.3
- <この項の構成>
- (1) IPv6マルチキャストVRF
- (2) IPv6マルチキャストエクストラネット
- (3) IPv6マルチキャストエクストラネット使用時の注意事項
(1) IPv6マルチキャストVRF
本装置を複数のVPNに接続して,それぞれのVPN上でマルチキャストを使用できます。VPNごとにVRFを設定して,それぞれのVRFでマルチキャストを動作させます。VRF上のマルチキャストでは,ランデブーポイント,ブートストラップルータ,各種タイマ,PIM-SSMで使用するアドレス範囲などにそれぞれ異なる設定ができます。
本装置を四つのVPNに接続した場合の構成例および本装置での設定情報を次に示します。
図26-20 VRFでのマルチキャスト
表26-16 本装置での設定情報
VPN 運用
プロトコルループバックインタフェースに設定したアドレス ランデブーポイント
()内はランデブーポイントアドレスPIM-SSMで使用するアドレス範囲 1 PIM-SM 2001:db8::1 本装置(2001:db8::1) 未使用 2 PIM-SM/
PIM-SSM2001:db8::2 本装置(2001:db8::2) ff30::/12 3 PIM-SSM 2001:db8::2 なし ff35:100::/32 4 PIM-SM 2001:db8::3 ルータ4(2001:db8::1) 未使用
(2) IPv6マルチキャストエクストラネット
マルチキャストエクストラネットを使用すると,VRF間でマルチキャスト中継ができます。また,マルチキャスト経路フィルタリングを使用すると,エクストラネットで使用するグループアドレスの範囲と,下流からの中継要求を許可するVRFを限定できます。マルチキャストエクストラネットはPIM-SSMだけでサポートしています。
なお,ラストホップルータから最短パスを確立するため,ユニキャストエクストラネットによる送信者へのユニキャスト経路が存在する必要があります。
エクストラネットの動作概要を次の図に示します。
図26-21 マルチキャストエクストラネットの動作概要
(3) IPv6マルチキャストエクストラネット使用時の注意事項
(a) 装置内での2段以上のVRF中継
マルチキャストエクストラネットでは装置内で2段以上のVRF中継を禁止しています。
あるVRFのマルチキャスト経路情報で,上流インタフェースと下流インタフェースの一部にほかのVRFを設定できません。上流インタフェースが異なるVRFのマルチキャスト経路情報は,VRFからの中継要求を無視します。また,下流インタフェースにVRFを持つマルチキャスト経路情報の上流インタフェースが異なるVRFに切り替わった場合,該当マルチキャスト経路情報からVRFの下流インタフェースを切り離します。
次の図に示すようにVPN 3からVPN 1へのユニキャスト経路がVPN 2を経由して形成されていた場合,VPN 1上の送信者1が送信するマルチキャストパケットをVPN 2上の受信者1は受信できますが,VPN 3の受信者2は受信できません。
図26-22 マルチキャストエクストラネット使用時に装置内でVRF中継を禁止している例
(b) 下流インタフェースを追加または削除した場合のシステムメッセージ出力
IPv6マルチキャスト中継エントリの下流インタフェースがマルチキャストエクストラネットの場合,コンフィグレーションコマンドipv6 multicast join-prune-event logging enableを設定していても,メッセージ種別MULTI-INFOのシステムメッセージを出力しません。
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