コンフィグレーションガイド Vol.3
本装置のBGP4およびBGP4+は経路情報に付いたCOMMUNITIES属性を使用して,経路情報の広告範囲を制限できます。
- <この項の構成>
- (1) コミュニティの種類
- (2) 学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例
(1) コミュニティの種類
本装置で取り扱うコミュニティの値は,次の2種類に分けられます。
- RFC1997であらかじめ定義された値(コード)
通知された経路情報にRFC1997であらかじめ定義された値のコミュニティが付いている場合,その値に従って経路情報を広告します。RFC1997で定義され,本装置で使用できるコミュニティについては,「表22-1 本装置で使用できるコミュニティ」を参照してください。
- コンフィグレーションの学習経路フィルタまたは広告経路フィルタで指定された任意の値
通知された経路情報に,コンフィグレーションの学習経路フィルタまたは広告経路フィルタで指定された任意の値のコミュニティが付いている場合,コンフィグレーションに従ってその経路情報を取り込むかどうか(学習経路フィルタ時),または広告するかどうか(広告経路フィルタ時)を制御します。
また,学習経路フィルタおよび広告経路フィルタによって,本装置が通知する経路情報に任意のコミュニティを付けられます。
RFC1997で定義され,本装置で使用できるコミュニティを次の表に示します。
表22-1 本装置で使用できるコミュニティ
コミュニティ 内容 no-export この経路情報をAS外に広告しません。 no-advertise この経路情報をほかのピアに広告しません。 local-AS この経路情報を他ASを含めてメンバーAS外に広告しません。 注 通常構成ではコミュニティのno-exportとlocal-ASは同じ意味を持ちます。
また,コミュニティを持つ経路情報の広告範囲を次の図に示します。
図22-1 COMMUNITIES属性を持つ経路情報の広告範囲
(2) 学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例
学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例を次の図に示します。
図22-2 学習経路フィルタリングとCOMMUNITIES属性の使用例
この図で,一つの外部ASに2台のルータ(本装置Aと本装置B)が接続されているものとします。AS外へのトラフィックの負荷分散を考慮して,本装置Cからのトラフィックは本装置Aを経由してAS外に,本装置Dからのトラフィックは本装置Bを経由してAS外に優先して中継するものとします。この場合,各ルータに次のような設定をすると,負荷分散できるようになります。
- 本装置Aから内部ピアに通知する経路情報に,コミュニティaを付けます(広告経路フィルタで指定できます)。
- 本装置Bから内部ピアに通知する経路情報に,コミュニティbを付けます(広告経路フィルタで指定できます)。
- 本装置Cでは,受信した経路情報がコミュニティaを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をx(x>y)に設定して,受信した経路情報がコミュニティbを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をy(x>y)に設定します。つまり,本装置Aから通知されたLOCAL_PREF値が大きい経路情報を優先します(学習経路フィルタで指定できます)。
- 本装置Dでは,受信した経路情報がコミュニティaを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をy(x>y)に設定して,受信した経路情報がコミュニティbを持つ場合,該当する経路情報のLOCAL_PREF値をx(x>y)に設定します。つまり,本装置Bから通知されたLOCAL_PREF値が大きい経路情報を優先します(学習経路フィルタで指定できます)。
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