運用コマンドレファレンス Vol.2
[機能]
装置運用に関する項目(装置の一重化/二重化運用,電源の通常/冗長運用,装置起動時の優先MC,CSWモード)を設定します。なお,本コマンドで装置の一重化/二重化運用モードを設定していない場合は,auto_duplex(実装状態動作モード)になります。
[入力モード]
装置管理者モード
[入力形式]
set mode {auto_duplex | duplex | simplex} [node] set mode {auto | redundancy} power set mode [{active | standby | both}] {slot0 | slot1 | default} reload set mode [{active | standby | both}] {enable | disable} reloadselect set mode {single | double | double1 | double_fixed | double1_fixed} csw【AX7800S】
[パラメータ]
- auto_duplex
- 装置の運用モードを実装状態動作モードに設定します。本モードを設定した場合,BCUの実装枚数が1枚であれば一重化で動作し,実装枚数が2枚であれば系切替が可能な状態(待機系BCU,CPが起動完了)になったとき,’System mode changed from simplex to duplex.’のログを表示し,二重化で動作します。実装枚数が2枚でも待機系BCU,CPが起動完了していない場合,一重化で動作します。
- (AX5400Sの場合,系切替が可能な状態は,待機系BCU,CP,BSUが起動完了になります。)
- 二重化で動作している場合には,運用系と待機系のソフトウェアバージョンが不一致の状態,ソフトウェアライセンスキーが不一致の状態,およびコンフィグレーションが不一致の状態でも,系切替することができます。二重化のモードを設定していない場合には,本モードで動作します。
- duplex
- 装置の運用モードを二重化に設定します。本モードを設定した場合,運用系と待機系のソフトウェアバージョンが不一致の状態,ソフトウェアライセンスキーが不一致の状態,およびコンフィグレーションが不一致の状態であると,系切替を抑止します。
- simplex
- 装置の運用モードを一重化に設定します。
- auto
- このモードは電源機構の実装数に応じた運用を行います。このため,電源機構が冗長構成でなくなった場合(立ち上げ時に未実装の電源があった場合または運用中に電源を抜去した場合)でも’E8 POW 00000102 2200:000000000000 Power unit isn't redundantly mounted.(電源が冗長実装ではありません。)’のログを出力しません。
- (E8 POW 00000102…の'POW'の部分は,AX5400Sの場合'PS'になります。)
- (ただし,電源障害のログは出力します。)
- 電源の運用モードを設定していない場合は,本モードで動作します。
- redundancy
- このモードは電源機構が冗長構成で運用を続ける場合に使用します。電源機構が冗長構成でなくなった場合(立ち上げ時に未実装の電源があった場合または運用中に電源を抜去した場合),’E8 POW 00000102 2200:000000000000 Power unit isn't redundantly mounted.(電源が冗長実装ではありません。)’のログを出力します。
- (E8 POW 00000102…の'POW'の部分は,AX5400Sの場合'PS'になります。)
- (このログとは別に,電源障害のログも出力します。)
- active
- 運用系の装置起動時の優先MCを設定します。なお,優先MCを設定されたRMが系切替によって運用系から待機系に切り替わった場合でも,設定された優先MCの情報はそのまま保持されます。
- standby
- 待機系の装置起動時の優先MCを設定します。なお,優先MCを設定されたRMが系切替によって待機系から運用系に切り替わった場合でも,設定された優先MCの情報はそのまま保持されます。
- both
- 運用系および待機系の装置起動時の優先MCを設定します。
- slot0
- 装置起動時の優先MCをslot0に設定します。
- slot1
- 装置起動時の優先MCをslot1に設定します。
- default
- 装置起動を初期状態に戻します。デフォルトはslot0を優先します。
- enable
- 装置起動時のMCを選択できるように設定します。
- disable
- 装置起動時のMCを選択できないように設定します。
- node
- 装置の運用モードを指定します。
- power
- 電源の運用モードを指定します。
- reload
- 装置起動時の優先MCを指定します。なお,active,standby,bothのどれも指定しない場合は,現在の装置の運用状態に依存して設定します。
- reloadselect
- 装置を起動するMCの選択モードを指定します。なお,active,standby,bothのどれも指定しない場合は,現在の装置の運用状態に依存して設定します。選択モードは一定時間でタイムアウトします。タイムアウトした場合,優先MCで指定されたMCで装置を起動します。
- csw【AX7800S】
- CSWモードを指定します。
- single【AX7800S】
- [動作モード]
- 運用系のCSWを使用した転送モードに設定します。本モードがCSWモードのデフォルト値となります。
- [動作概要]
- 運用系のCSWを使用してパケット転送を行います。
- [系切替可能条件]
- 二重化で動作している場合に,系切替します。
- [系切替後の動作]
- 系切替後,新運用系のCSWを使用してパケット転送を行います。
- double | double1【AX7800S】
- [動作モード]
- 待機系CSWを使ったパケット転送が準備でき次第,両系CSWを使用したパケット転送を行います。障害発生時,または系切替時には一時的に片系のCSWを使ったパケット転送を行います。
- [動作概要]
- BCUの実装枚数により以下の運用を行います。
- BCU実装一枚で運用の場合および待機系が障害中の場合は,運用系CSWを使用したパケット転送を行います。
- BCU実装二枚で運用の場合,両系のCSWで動作し,系切替もできます。
- [系切替可能条件]
- 二重化で動作している場合に,系切替します。
- [系切替後の動作]
- 系切替が発生すると,新運用系のCSWに片寄せしてパケット転送を行います。その後,新待機系の起動が完了すると,両系のCSWを使用してパケット転送を行います。
- double_fixed | double1_fixed【AX7800S】
- [動作モード]
- 両系のCSWを使用してパケット転送を行いますが,40Gbpsの転送速度を維持するため,障害発生時であっても片系CSWだけのパケット転送は行いません。
- [動作概要]
- BCU実装二枚で運用の場合だけ動作します。また,本モードでは系切替ができないため,運用系で障害等によりBCU再起動が発生した場合は待機系BCUも再起動し,再起動完了まで全通信が停止します。また,待機系で障害等によりBCU再起動が発生した場合は,運用系のCP配下を再起動し,再起動完了まで全通信が停止します。
- [系切替可能条件]
- 系切替はできません。
- [系切替後の動作]
- −
装置の電源構成と運用モードの対応関係を次の表に示します。
表9-5 電源構成と運用モード対応関係
装置モデル 冗長運用の動作 AX7804S-AC 【PSU内蔵型高密度ポートNIFを搭載していない場合】
電源機構は基本1個,冗長1個または2個が必要です※。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。【PSU内蔵型高密度ポートNIFを搭載している場合】
電源機構は基本2個,冗長1個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。AX7804S-DC 電源機構は基本1個,冗長1個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。 AX7808S-AC 【PSU内蔵型高密度ポートNIFを搭載していない場合】
電源機構は基本2個,冗長2個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。【PSU内蔵型高密度ポートNIFを搭載している場合】
電源機構は基本3個,冗長1個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。AX7808S-DC 電源機構は基本1個,冗長1個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。 AX7816S 電源機構は基本2個,冗長2個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。 AX5402S 電源機構は基本1個,冗長1個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。 AX5404S 電源機構は基本2個,冗長2個が必要です。運用モードを「redundancy」に設定することで,電源機構が冗長構成でなくなった場合に運用ログを出力します。 注※ 電源機構の搭載位置については,「ハードウェア取扱説明書 1. 機器の概要」を参照してください。
[実行例]
- 装置の運用モードを二重化に設定します。
> set mode duplex node[Enter]キー押下- 装置の運用モードを一重化に設定します。
運用モードを指定して実行すると,運用系および待機系の予備MCスロットに現在動作中のものと同一バージョンのソフトウェアがインストールされたMCが実装されている場合,運用モードの設定を予備MCにも反映するかどうかの確認メッセージが表示されます。
> set mode simplex node[Enter]キー押下
ここで’y’を入力すると,予備MCに運用モードの設定が反映されます。
> set mode duplex node[Enter]キー押下 Synchronize modeset to secondary MC? (y/n): …運用系予備MCへの反映確認メッセージ Synchronize modeset to standby's secondary MC? (y/n): …待機系予備MCへの反映確認メッセージ
ここで’n’を入力すると,予備MCへの運用モードの反映はしません。
[ユーザ通信への影響]
CSWモードを変更すると,モードが反映されるまでの間,一時的に通信が停止する場合があります。
[応答メッセージ]
表9-6 set modeコマンドのメッセージ一覧
メッセージ 内容 modeset : Can't execute this command in standby BCU. このコマンドは待機系BCU上では実行できません。 modeset : This system is duplex mode. すでに運用モードが二重化に設定されています。 modeset : This system is simplex mode. すでに運用モードが一重化に設定されています。 modeset : Disconnected standby BCU. 待機系BCUが実装されていません。待機系BCUを実装したあと,再度コマンドを投入してください。 modeset:Standby BCU is on fault. 待機系BCUは障害中です。待機系BCUに発生した障害が回復したあと再度コマンドを投入してください。 modeset:Standby BCU is on close. 待機系BCUは閉塞状態です。待機系BCUを運用状態にしたあと再度コマンドを投入してください。 modeset:Modeset ok. But, configuration file mismatch between active and standby. 本コマンドは受け付けました。しかし,運用系と待機系の間でコンフィグレーションが不一致となりました。copy startup-configコマンド(「運用コマンドレファレンス Vol.1 copy startup-config」参照)を用いてコンフィグレーションを合わせてください。 modeset:selected mode is not support this system. 指定した運用モードは,本システムではサポートされていません。 modeset:Can't set same CSW mode. 同一のCSWモードは設定できません。 modeset:Can't set CSW mode by this composition. 指定CSWモードは本構成では設定できません。 modeset:Since configuration file is opening, this command cannot be executed. コンフィグレーションが編集中のため,コマンドを実行できませんでした。コンフィグレーションの編集を終了したあと,再度コマンドを投入してください。 modeset:Since configuration file is not saved, this command cannot be executed. コンフィグレーションが編集後に保存されていないため,コマンドを実行できませんでした。コンフィグレーションを保存したあと,再度コマンドを投入してください。 modeset:Since configuration is being edited by SNMP agent, this command cannot be executed. SNMP agentのMIB情報の設定によるコンフィグレーション編集中のため,このコマンドは実行できません。しばらくしてから実行してください。
SNMP agentによるコンフィグレーション編集にかかる時間は,編集するコンフィグレーションによって異なります。概算として,一つのMIB情報を設定するのに30秒程度かかります。modeset : Can't execute. コマンドを実行できません。
[注意事項]
- 本コマンドは運用系BCUからだけ実行可能です。
- 待機系BCUが実装されていない状態(一重化構成)で運用モードを二重化に設定しようとした場合(パラメータに「duplex」を指定)は,本コマンドはエラーとなります。待機系BCUを実装したあと,二重化運用に設定してください。
- 運用モードが「duplex」と設定済みの状態で再度「duplex」を指定した場合,または「simplex」と設定済みの状態で「simplex」を指定した場合は,コマンドエラーとなります。
- 運用モードの設定はMCに書込まれるため,いったん設定したあとは電源オフ/オン後も定義に従い運用します。MCに書込まれた定義を削除するには,clear modeコマンド(「clear mode」参照)を実行してください。
- 運用系および待機系の予備MCスロットにMCが実装されていない場合,または実装されているMCに現在動作中のものと同一バージョンのソフトウェアがインストールされていない場合,運用モード反映の確認メッセージは表示されません。
- 装置起動時の優先MC設定はBCUボードに優先MC情報を保存します。BCUボードを交換すると二重化間で優先MC情報が不一致になり,実装されているMCによってソフトウェアバージョン不一致,ソフトウェアライセンスキー不一致,およびコンフィグレーション不一致によって二重化されたBCUの系切替が抑止され期待どおり動作しない場合があります。この場合は両系の優先MC情報を再度設定し直してください。
- 運用系と待機系のソフトウェアバージョンが不一致のとき,本コマンドを実行するとコマンドエラーとなる場合があります。
- 待機系BCUのソフトウェアバージョンが,拡張二重化モードオプションをサポートしていない場合,運用系から本オプションは使用できません。
- set mode enable reloadselectコマンドは装置起動時にMCを選択するためにコンソールを接続してから設定してください。
- 「double1 mode」および「double1_fixed mode」はベンダ評価用モードです。
- CSWモードが「double_fixed mode」または「double1_fixed mode」に設定されている場合は系切替が抑止されます。また,close standbyコマンド,reload standbyコマンドは投入できません。【AX7800S】
- すでに設定されているCSWモードと同一のCSWモードを設定するとコマンドエラーとなります。【AX7800S】
- CSWモードを「double mode」「double1 mode」または「double_fixed mode」「double1_fixed mode」に設定後,待機系CSWを使用した転送を行いますが,NIFが本来持つ転送性能以上の性能は出せません。【AX7800S】
- CSWモードを変更すると,モードが反映されるまでの間,一時的に通信が停止する場合があります。
- コンフィグレーションの編集中,またはコンフィグレーションが編集後に保存されていない状態で運用モードを変更しようとした場合,本コマンドはエラーとなります。コンフィグレーションを保存し,コンフィグレーションの編集を終了してから再度コマンドを投入してください。
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