運用ガイド

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6.6.8 IPv6 DHCPサーバ機能を確認する

本装置で,DHCPサーバ機能を設定した場合の確認内容には次のものがあります。

<この項の構成>
(1) コンフィグレーション設定時の確認
(2) 運用中の確認
(3) コンフィグレーション変更時の対応
(4) DUID(DHCP Unique Identifier)について
(5) DUIDの性質に伴う導入に際しての注意
(6) 本装置を同時に2台以上使用する場合の注意
(7) 本装置のDHCPサーバを使用した場合のプレフィックス配布能力に関する注意

(1) コンフィグレーション設定時の確認

(a) ネットワーク確認

本装置のDHCPサーバ機能は,IPv6 DHCPクライアント直結の構成とIPv6 DHCPリレーエージェントを経由する構成をサポートします。

(b) 設定した配布プレフィックス数の確認

本装置で配布・管理可能なプレフィックス数は8192です。show ipv6 dhcp server statistics コマンドを実行し,コンフィグレーションコマンドdhcp6-server host の prefix で設定した配布プレフィックス数を確認してください。

図6-60 設定配布プレフィックス数表示例(100個設定の場合)

> show ipv6 dhcp server statistics
   < DHCP Server use statistics >
     prefix pools           :100
     automatic bindings     :0
     manual    bindings     :0
(以下省略)
>

(2) 運用中の確認

(a) 配布済みプレフィックス数の確認

実際にクライアントへ配布したプレフィックス数については,show ipv6 dhcp server statistics コマンドを実行し,下線部の数を加算することで確認してください。

図6-61 配布済みプレフィックス数表示例

> show ipv6 dhcp server statistics
   < DHCP Server use statistics >
     prefix pools           :40
     automatic bindings     :50
     manual bindings        :10
(以下省略)
>

(b) 配布済みプレフィックスの確認

配布したプレフィックスは,show ipv6 dhcp binding コマンドにより確認できます。

図6-62 配布済みプレフィックスの表示例

> show ipv6 dhcp binding
<Prefix>             <Lease expiration>  <Type>
3ffe:1234:5678::/48      infinity            Automatic  
3ffe:aaaa:1234::/48      03/04/01 11:29:00   Automatic  
>

図6-63 配布済みプレフィックスの表示例(詳細)

> show ipv6 dhcp binding detail
<Prefix>             <Lease expiration>  <Type>
  <DUID>
3ffe:1234:5678::/48      infinity            Automatic  
  00:01:00:01:55:55:55:55:00:11:22:33:44:55
3ffe:aaaa:1234::/48      03/04/01 11:29:00   Automatic  
  00:01:00:01:aa:bb:cc:dd:ee:66:77:88:99:aa
>

(c) プレフィックスを配布したクライアントへの経路情報の確認

本装置DHCPサーバは,コンフィグレーションコマンドによって”dhcp6-server static-route-setting”を定義することで,プレフィックスを配布したクライアントへの経路をスタティック経路として自動的に設定します。

図6-64 クライアントへの経路情報の確認

> show ipv6 route -s
Total: 10routes
Destination             Next Hop      Interface        Metric  Protocol  Age
3ffe:1234:5678::/48     ::1           tokyo            0/0      Static   45m
        <Active Gateway Dhcp>
3ffe:aaaa:1234::/48     ::1           osaka            0/0      Static   23m
        <Active Gateway Dhcp>
:
>

プレフィックスを配布したクライアントへ経路情報を自動設定させる場合は,コンフィグレーションに”dhcp6-server static-route-setting”を設定してください(「コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.1 14. IPv6 DHCPサーバ情報」参照)。なお,本装置DHCPサーバで自動設定した経路情報は,下記の手順で削除してください。

(1)clear ipv6 dhcp bindingコマンドによって配布情報を削除する。

(2)コンフィグレーションから対象のプレフィックスの配布定義を削除する。

(3)コンフィグレーションからdhcp6-server static-route-settingを削除する。

(4)クライアントが配布をうけたプレフィックスを解放する。

(3) コンフィグレーション変更時の対応

本装置DHCPサーバでは,コンフィグレーションを変更した場合に送信するよう定義されているDHCPメッセージタイプ”Reconfigure”をサポートしていません。したがって本装置のコンフィグレーションを変更し適用するためには,接続されるクライアント装置のクライアント機能のリセット,またはクライアント装置の再起動が明示的に必要となります。ただし,これらを実施しなかった場合でも,初期設定(新たにプレフィックスを要求してくる)を試みます。これにより,コンフィグレーション変更内容がクライアントに反映されます。

(4) DUID(DHCP Unique Identifier)について

本装置DHCPサーバは,初回導入時に自装置のDUIDを自動生成します。DUIDは装置で静的に保持しなければならないため,本装置は生成したDUIDをMC内に保存します。

(a) DUID保存場所

本装置DHCPサーバは,生成したDUIDをPrimaryMC上の”/primaryMC/usr/var/dhcp6/dhcp6s_duid”に保存します。

(b) DUID確認方法

本装置DHCPサーバの自装置のDUIDは,show ipv6 dhcp server statisticsコマンドで確認できます。

図6-65 自装置DUIDの確認

> show ipv6 dhcp server statistics
   < Server Duid >
     00:01:00:01:3e:00:2e:5e:11:22:33:44:55:66
>

(5) DUIDの性質に伴う導入に際しての注意

(a) 初期導入時

DHCPではDUIDを装置ごとにユニークな値に設定しなければならない点に注意してください。本装置DHCPサーバは初期導入時にだけ,インタフェースのMACアドレスと時刻(時,分,秒)を使用してDUIDを自動生成します。そのため本装置間または他社製品間で同一になることはほとんどありません。ただし,同一ネットワークで併用する他装置でDUIDが本装置のDUIDと同じ値になった場合は,どちらかのDUIDを変更してください。

(b) copy mcコマンドによる運用

DUIDの保存ファイルは,copy mcコマンドによってバックアップMCへコピーされます。この場合,作成されたバックアップMCを使って,現在サービス中の本装置と同一ネットワーク上に,別の本装置をIPv6 DHCPサーバとして設置する場合は,DUID保存ファイルを削除してから実施してください。削除はerase ipv6-dhcp server duidコマンドを使用します。

図6-66 DUID保存ファイルの削除(”erase ipv6-dhcp server duid”使用時)

> erase ipv6-dhcp server duid
>

(c) 他社製品とのリプレース

本装置DHCPサーバは他社製品とのリプレースを行う場合に,DUIDを他社製品で使用していた値に再設定することはできません。リプレースによるネットワーク構築の際は,必ずクライアント装置またはクライアント機能を再起動してください。

(6) 本装置を同時に2台以上使用する場合の注意

本装置を2台以上使用する場合,それぞれに同じプレフィックスの配布設定をすると,配布先のインタフェースに接続した,2台以上の異なるクライアントに対して,装置ごとに同じプレフィックスを配布することがあります。これはコンフィグレーションにおいて,dhcp6-server interfaceに対し,preferenceサブコマンドに優先度を設定することで,回避可能です。ただし,コンフィグレーションコマンドでdhcp6-server interface rapid-commitを定義した場合,またはクライアントの実装が以下のどれかに該当する場合は,本値を無視することがあります。

  1. クライアントによる最初のSOLICITメッセージ送信後のサーバ応答メッセージ監視時間が,本装置がクライアントを探すために実施するNDPの応答時間よりも短く設定されている。
  2. preferenceを無視する実装である。

現象の発生を確認した場合や,上記条件に一致する場合は,2台以上の装置を同時に運用する構成を止めるか,または,それぞれに異なるプレフィックスの配布設定をしてください。

(7) 本装置のDHCPサーバを使用した場合のプレフィックス配布能力に関する注意

本装置のDHCPサーバを使用した場合のプレフィックス配布能力を下の表に示します。

各クライアントはリース時間の約半分でリース更新を行うため,本装置でのリース時間設定は最低でも表に示した時間の2倍以上,長い値で設定することを推奨します。

表6-1 プレフィックス配布時間(すべてのプレフィックスを配布するのに要する時間)

RM CPU使用率 クライアント数
1000 4000 8000
100% 15秒 45秒 90秒
50% 15秒 45秒 90秒
25% 15秒 45秒 120秒

注 RM CPU使用率はDHCPサーバが占有している使用率です。使用条件やコンフィグレーション内容により配布時間が異なる可能性があります。また,実際に全クライアントから配布要求を行った場合,一度に処理しきれずにクライアントで再送を行い,結果として配布時間が上記より延びます。

測定条件:
static-route-settingあり
host定義数 8192/8192プレフィックス(DUID自動割り当て)
rapid-commit指定なし

使用装置:
AX7808R-AC

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