解説書 Vol.1
VPNサイト内の一つの宛先ネットワークに対し,本装置とVPNサイト内のルータ間で複数経路(マルチパス)を設定して,VPNトラフィックの負荷分散を実現します。VPNのマルチパス設定条件を次の表に示します。
表18-4 VPNのマルチパス設定条件
項目 内容 コンフィグレーションパラメータ ルーティング
プロトコルスタティック VPNサイトごとのstatic,ospf,bgp定義 OSPF BGP 設定単位 VPNサイトごと※1 vpnmapコマンドのmultipathパラメータ ルーティングプロトコルごと 各ルーティングプロトコル定義のmultipathパラメータ 最大パス数※2 最大16 optionsコマンドのmax-pathsパラメータ 注※1 VPNサイトに対しマルチパスを設定した場合,該当サイトに定義された全ルーティング・プロトコルに対し,マルチパスを設定した場合と同等になります。
注※2 最大パス数は装置ごとに設定するパラメータです。
- <この節の構成>
- (1) スタティック
- (2) OSPF
- (3) BGP4
(1) スタティック
VPNサイトのスタティック経路のマルチパス化についてはグローバル・ネットワークのマルチパス化と同様です。グローバル・ネットワークのマルチパス化については「8.3.1 スタティックルーティング」を参照してください。
(2) OSPF
VPNサイトのOSPF経路のマルチパス化についてはグローバル・ネットワークのマルチパス化と同様です。グローバル・ネットワークのマルチパス化については「8.5.2 経路選択アルゴリズム (2) イコールコストマルチパス」を参照してください。
(3) BGP4
VPNサイトのBGP4経路のマルチパス化については次の点を除き,グローバル・ネットワークのマルチパス化と同様です。
VPNサイトのIGP経路のマルチパス化によってVPNサイトのBGP4経路をマルチパス化する場合,BGP4ピアアドレスの自側アドレスに使用する自装置アドレスはvpnmapコマンドのlocal-addressパラメータによってVPNサイトごとに定義します。
なお,グローバル・ネットワークのマルチパス化については「9.3.7 BGP4マルチパス」を参照してください。
VPNサイトごとの自装置アドレスを使用したBGP4マルチパス化を次の図に示します。
図18-16 VPNサイトごとの自装置アドレスを使用したBGP4マルチパス化
この図で,本装置のサイト1用の自装置アドレス(L1)とサイト1のルータ1の装置アドレス(A)でピアリングしている場合,サイト1のルータ1から本装置に通知されたBGP4経路(宛先:ネットワークW,Nexthop A)は,ネクストホップ解決時にNexthop A宛てのIGP経路のゲートウェイが「a」および「b」となっていることによって,BGP4経路(宛先:ネットワークW)のゲートウェイも「a」および「b」となります。同様に本装置のサイト2用の自装置アドレス(L2)とサイト2の装置アドレス(B)でピアリングされたサイト2のルータ2から本装置に通知されたBGP4経路(宛先:ネットワークX,Nexthop B)はネクストホップ解決時にNexthop B宛てのIGP経路のゲートウェイが「c」および「d」となっていることによって,BGP4経路(宛先:ネットワークX)のゲートウェイも「c」および「d」となります。
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