解説書 Vol.1

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16.4.8 IPv6 PIM-SSM

PIM-SSMはPIM-SMの拡張機能です。PIM-SMとPIM-SSMは同時動作できます。PIM-SSMが使用するマルチキャストアドレスはIANAで割り当てられています。本装置では,コンフィグレーションでPIM-SSMが動作するマルチキャストアドレス(グループアドレス)のアドレス範囲を指定できます。指定したアドレス以外ではPIM-SMが動作します。

PIM-SMはマルチキャストエントリ作成にマルチキャスト中継パケットが必要なのに対し,PIM-SSMはマルチキャスト経路情報(PIM-Join)の交換でIPv6マルチキャスト中継エントリを作成し,該当エントリでマルチキャストパケットを中継します。また,PIM-SSMではランデブーポイントおよびブートストラップルータは必要ありません。したがって,マルチキャストパケットを中継するときのパケットのカプセル化およびカプセル化の解除がなくなり,効率の良いマルチキャスト中継が実現できます。PIM-SSMはMLDv2(INCLUDEモード)のホストと接続している場合に動作します。また,本装置ではMLDv1またはMLDv2(EXCLUDEモード)のホストからPIM-SSMを利用できるようにする手段を提供します。

<この項の構成>
(1) IPv6 PIM-SSMメッセージサポート仕様
(2) IPv6 PIM-SSMを動作させる前提条件
(3) IPv6 PIM-SSM動作(ホストがMLDv2(INCLUDEモード)の場合)
(4) IPv6 PIM-SSM動作(ホストがMLDv1またはMLDv2(EXCLUDEモード)の場合)
(5) 近隣検出
(6) Forwarderの決定
(7) DRの決定および動作
(8) 冗長経路時の注意事項

(1) IPv6 PIM-SSMメッセージサポート仕様

PIM-SMメッセージと同じです。

(2) IPv6 PIM-SSMを動作させる前提条件

本装置ではコンフィグレーションで次の設定が必要です。

(3) IPv6 PIM-SSM動作(ホストがMLDv2(INCLUDEモード)の場合)

マルチキャストパケット配信サーバ(送信元アドレス:S1)がグループ1(グループアドレス:G1)にマルチキャストパケットを配信する場合の動作を次に示します。

  1. ホストからマルチキャストグループに参加するための要求(MLDv2(INCLUDEモード))を受信します。
  2. 参加要求(MLDv2(INCLUDEモード))を受信した装置は通知されたグループアドレス(G1)と送信元アドレス(S1)から送信元アドレス(S1)の方向(ユニキャストのルーティング情報で決定)にPIM-Joinを送信します。この場合,PIM-Joinには,送信元アドレス(S1)とグループアドレス(G1)の情報が入ります。PIM-Joinを受信した各装置は送信元アドレス(S1)の方向にホップバイホップでPIM-Joinを送信します。PIM-Joinを受信した装置は送信元アドレス(S1)とグループアドレス(G1)のIPv6マルチキャスト経路情報を学習します。
  3. マルチキャストパケット配信サーバ(S1)がグループ1(G1)宛てにマルチキャストパケットを送信します。マルチキャストパケットを受信した装置は学習したIPv6マルチキャスト経路情報から生成したIPv6マルチキャスト中継エントリに従いパケットを中継します。

IPv6 PIM-SSMの動作概要を次の図に示します。

図16-17 IPv6 PIM-SSMの動作概要

[図データ]

(4) IPv6 PIM-SSM動作(ホストがMLDv1またはMLDv2(EXCLUDEモード)の場合)

マルチキャストパケット配信サーバ(送信元アドレス:S1)がグループ1(グループアドレス:G1)にマルチキャストパケットを配信する場合の動作を次に示します。

  1. ホストからマルチキャストグループに参加するための要求(MLDv1またはMLDv2(EXCLUDEモード))を受信します。
  2. 参加要求(MLDv1またはMLDv2(EXCLUDEモード))を受信した装置は通知されたグループアドレス(G1)とコンフィグレーションで定義したグループアドレスを比較します。グループアドレスが一致した場合,コンフィグレーションで定義した送信元アドレス(S1)の方向(ユニキャストのルーティング情報で決定)にPIM-Joinを送信します。この場合,PIM-Joinには,送信元アドレス(S1)とグループアドレス(G1)の情報が入ります。PIM-Joinを受信した各装置は送信元アドレス(S1)の方向にホップバイホップでPIM-Joinを送信します。PIM-Joinを受信した装置は送信元アドレス(S1)とグループアドレス(G1)のIPv6マルチキャスト経路情報を学習します。
  3. マルチキャストパケット配信サーバ(S1)がグループ1(G1)宛てにマルチキャストパケットを送信します。マルチキャストパケットを受信した装置は学習したIPv6マルチキャスト経路情報から生成したIPv6マルチキャスト中継エントリに従いパケットを中継します。

IPv6 PIM-SSMの動作概要については,「図16-17 IPv6 PIM-SSMの動作概要」を参照してください。

(5) 近隣検出

PIM-SM(「16.4.2 近隣検出」)と同じです。

(6) Forwarderの決定

PIM-SM(「16.4.3 Forwarderの決定」)と同じです。

(7) DRの決定および動作

PIM-SM(「16.4.4 DRの決定および動作」)と同じです。

(8) 冗長経路時の注意事項

PIM-SM(「16.4.5 冗長経路時の注意事項」)と同じです。

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