解説書 Vol.1
BGP4+はAS間のルーティングプロトコルであり,扱う経路情報は,宛先ネットワークへのASパス情報(パケットが宛先のネットワークに到達するまでに通過するASの列)で構成されます。BGP4+が動作するルータをBGP4+スピーカといいます。このBGP4+スピーカはほかのBGP4+スピーカと経路情報を交換するためにピアを形成します。
- <この項の構成>
- (1) ピアの種類
- (2) 装置アドレス
本装置で使用されるピアには外部ピアおよび内部ピアの2種類があります。内部ピアはインターナルピアおよびルーティングピアがあります。ネットワーク構成に合わせてピアを使用してください。内部ピアと外部ピアの例を次の図に示します。
- 外部ピア(エキスターナルピア)
異なるASに属するBGP4+スピーカ間に形成するピアです。ピアリングに使用するIPv6アドレスは直接接続されたインタフェースのリンクローカルまたはグローバルインタフェースアドレスを使用します。
「図15-3 内部ピアと外部ピアの例」のルータ1−ルータ6間,ルータ2−ルータ7間,ルータ3−ルータ8間に形成されるピアです。
- 内部ピア
同じASに属するBGP4+スピーカ間に形成するピアです。BGP4+はピア間のコネクションを確立するためにTCP(ポート179)を使用します。内部ピアはAS内の各BGP4+スピーカ間でフルメッシュに形成されなければなりません。これは,内部ピアで受信した経路情報はほかの内部ピアに通知されないためです。
- インターナルピア
同じAS内に属し,物理的に直接接続されたBGP4+スピーカ間に形成するピアです。ピアリングに使用する自側IPv6アドレスには直接接続されたインタフェースのリンクローカル以外のインタフェースアドレスを使用します。装置アドレスを使用する場合はルーティングピアとなります。
「図15-3 内部ピアと外部ピアの例」のルータ1−ルータ2間に形成されるピアです。
- ルーティングピア
同じAS内に属し,物理的に直接接続されないBGP4+スピーカ間に形成するピアです。ピアリングに使用する自側IPv6アドレスはそのルータの装置アドレス,またはルータ内のインタフェースのリンクローカル以外のインタフェースアドレスのどちらかになります。
「図15-3 内部ピアと外部ピアの例」のルータ1−ルータ3間,ルータ2−ルータ3間に形成されるピアです。
- 注意
- コンフィデレーション構成時は,これら三つのピア種別に加え,メンバーAS間ピア(サブAS間ピア)が追加されます。メンバーAS間ピアの説明は「15.3.6 コンフィデレーション」を参照してください。
本装置では装置に対してIPv6アドレスを割り当てることができます。これを装置アドレスと呼びます。この装置アドレスを内部ピアのIPv6アドレスとして使用すると,特定の物理インタフェースの状態に依存した内部ピア(TCPコネクション)への影響を排除できます。
例えば,「図15-3 内部ピアと外部ピアの例」でルータ1−ルータ2間の内部ピアにインタフェースのIPv6アドレスを使用すると,ルータ1−ルータ2間に障害が発生してインタフェースが使用できない場合には,ルータ1−ルータ2間の内部ピアは確立できません。しかし,内部ピアのIPv6アドレスとして装置アドレスを使用すると,ルータ1−ルータ2間のインタフェースが使用できない場合でもルータ4,ルータ5経由で内部ピアを確立できます。
- 装置アドレス使用上の注意事項
- 装置アドレスを使用する場合,そのアドレスへの経路情報をスタティックまたはIGP(RIPng,OSPFv3)でお互いに学習していなければなりません。なお,本装置は,装置アドレスを直結経路情報として扱います。
- ルーティングピアで非BGP4+スピーカを経由する場合の注意事項
- ルーティングピアで非BGP4+スピーカを経由して経路情報を通知する(例えば,ルータ2からルータ3に通知する)場合,非BGP4+スピーカではIGP経由でその経路情報を学習していなければなりません。これは該当する経路情報の通知によって通知先BGP4+スピーカから入ってくる該当する宛先へのIPv6パケットが,該当する経路を学習していない非BGP4+スピーカのルータで廃棄されるのを防ぐためです。例えば,ルータ3からルータ5に入ってくるIPv6パケットがルータ5で廃棄されるのを防ぐためです。
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