運用ガイド
- <この項の構成>
- (1) MPLS網内の障害個所(装置)の切り分け
- (2) 非VPN MPLS通信の障害切り分け手順
- (3) MPLS網内IPv4ユニキャストルーティング情報を確認する
- (4) ラベルを確認する
- (5) LSPの確認
- (6) Basic LDPセッションの状態を確認する
- (7) static LSPコンフィグレーションを確認する
- (8) static LSPの状態を確認する
- (9) LDPセッションのDOWN要因を確認する
- (10) ポリシールーティングの状態を確認する
(1) MPLS網内の障害個所(装置)の切り分け
MPLS網を構成している複数のLSRの中から,障害が発生しているLSRを切り分けます。ping mpls,traceroute mplsコマンドを使ってエッジLSRからの疎通を確認します。一方向のLSPの疎通だけでなく,両方向のLSPについて両端のエッジLSRから疎通を確認してください。詳細な確認方法については,「6.1.1 イーサネット回線の動作状態を確認する」を参照してください。
(2) 非VPN MPLS通信の障害切り分け手順
非VPN MPLS通信において障害が発生した場合,次の手順に従って,障害切り分けを行ってください。
図8-9 非VPN MPLS通信の障害切り分け手順
(3) MPLS網内IPv4ユニキャストルーティング情報を確認する
「6.9.1 非VPN MPLS通信を確認する (3) MPLS網内IPv4ユニキャストルーティング情報の確認」に従って,通信できないサイト間のMPLS網内のIPv4ユニキャストルーティング情報を確認してください。
- IPv4ユニキャストルーティング情報がある,またはstatic LSPを使っている場合
「(4) ラベルを確認する」に進んでください。
- IPv4ユニキャストルーティング情報がない場合
「8.6 IPv4ユニキャストルーティングの通信障害」に進んでください。
(4) ラベルを確認する
「6.9.1 非VPN MPLS通信を確認する (4) MPLSラベルを確認する」に従って,リモートサイトに対する出力ラベルを確認してください。
- 出力ラベルがある場合
「(5) LSPの確認」に進んでください。
- 出力ラベルがない場合
- LDPを使ってLSPを設定している場合
「(6) Basic LDPセッションの状態を確認する」に進んでください。
- Static LSPを使ってLSPを設定している場合
「(7) static LSPコンフィグレーションを確認する」に進んでください。
(5) LSPの確認
tracerouteコマンド(mplsオプションなし)で,MPLS網内のルートを表示します。最後に応答したルータまたはその次のルータで障害が発生している可能性があります。該当するルータを確認してください。
- [注意事項]
- ダイレクト経路への送信
VPNでないIPパケットを送信するとき,宛先IPアドレスへのIPv4ユニキャストルーティング情報が,本装置のダイレクト経路または隣接LSRのダイレクト経路であった場合,MPLSパケットとしてではなく,通常のIPパケットとして送信します。例えば本装置から,Coreルータを1台だけ経由する出口エッジルータにpingコマンド(mplsオプションなし)やtracerouteコマンド(mplsオプションなし)を実行する際,出口エッジルータのCoreルータとのインタフェースのIPアドレスを指定すると,本装置が送信するパケットはMPLSパケットとなりません。
- 非VPN通信の出口エッジルータでの受信
非VPN通信では,PHPにより出口エッジルータ直前のLSRからはラベルが省略され,通常のIPv4パケットになります。
- 網内マルチパス経路での非VPN通信
網内経路がマルチパス経路の場合,そのマルチパス内の一つの経路を選択してのMPLS通信となります。
- tracerouteコマンド(mplsオプションなし)のラベル表示
本装置でMPLS通信するLSRまたはリモートサイトに対してtracerouteコマンド(mplsオプションなし)を実行すると,応答するルータが応答にラベル値を埋め込んだ場合にそのラベル値が表示されます。応答するルータによっては,応答にラベル値を埋め込まないため,MPLS通信をしていてもtracerouteコマンド(mplsオプションなし)でラベル値が表示されないことがあります。
(6) Basic LDPセッションの状態を確認する
MPLS通信には,IPv4ユニキャストルーティング情報の出力インタフェースでBasic LDPセッションの状態がUPとなっている必要があります。「6.9.1 非VPN MPLS通信を確認する (5) Basic LDPセッションの状態を確認する」に従って,Basic LDPセッションの状態を確認します。
- 状態がUP以外の場合
Basic LDPを使ってLSPを設定している場合,「(9) LDPセッションのDOWN要因を確認する」に進んでください。
- 状態がUPの場合
隣接するLSRからラベルが配布されていません。隣接LSRを調査してください。
(7) static LSPコンフィグレーションを確認する
static LSPを使ってLSPを設定している場合,コンフィグレーションを確認してください。コンフィグモードに入り,show mpls static-lspコマンドで確認できます。
static LSPコンフィグレーションは正しいが通信ができない場合は,「(8) static LSPの状態を確認する」へ進んでください。
(8) static LSPの状態を確認する
static LSPを使ってLSPを設定している場合,show mpls static-lsp statusコマンドによって,static LSPのステータス情報を確認します。「6.9.1 非VPN MPLS通信を確認する (7) static LSPの状態を確認する」に従って,static LSPのステータス状態を確認してください。
- staticLSPの状態がUPだがpolicy-baseのstatic LSPを使っている場合
policy-baseのstatic LSPを使っている場合で,static LSPのステータスがUP状態にも関わらず通信ができないときは,ポリシールーティングの状態を確認する必要があります。「(10) ポリシールーティングの状態を確認する」へ進んでください。
- static LSPの状態がDownの場合
インタフェースの状態を確認してください。
(9) LDPセッションのDOWN要因を確認する
LDPセッションで指定したIPアドレスのインタフェースの状態を確認してください。
- インタフェースの状態がUPでない場合
「8.4 ネットワークインタフェースの通信障害」に従って,インタフェースの障害を取り除いてください。
- インタフェースの状態がUPになっている場合
インタフェースの状態がUPになっているにも関わらず,LDPセッションがDOWNしている場合は,show mpls ldpコマンドでdetailオプションを指定し,Basic LDPセッションが確立しない原因を調査してください。詳細な確認方法については「6.9.1 非VPN MPLS通信を確認する (6) Basic LDPセッションダウンの要因を確認する」を参照してください。
(10) ポリシールーティングの状態を確認する
policy-baseのstatic LSPを使用している場合,対象とする通信フレームに正しくポリシールーティングが適用されているかを確認してください。show filter-flowコマンドによって該当するポリシールーティング条件にヒットしていることを確認してください。詳細な確認方法については,「6.9.1 非VPN MPLS通信を確認する (8) ポリシールーティングの状態を確認する」を参照してください。
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