コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.1

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ip(tunnelモード)

tunnelモードで,IPv4情報,IPv6情報に関する設定を行います。

IPv4 over IPv6トンネルインタフェースではIPv4情報だけを設定できます。IPv6 over IPv4トンネルインタフェース,6to4トンネルインタフェースではIPv6情報だけを設定できます。

マルチホームで二つ目以降のIPアドレスを設定する場合は,ip-addressコマンドを使用してください。

[入力モード]

tunnelモード

[入力形式]

情報の設定

IPv4 over IPv6トンネル:
ip <IP Address_own> {mask <Subnet Mask> | masklen <Subnet Mask Bit Length> | /<SubnetMask Bit Length>} destination_ip_address <IP Address>

IPv6 over IPv4トンネル:
ip {<IPv6 Address_own> | <IPv6 Prefix>} [{prefixlen <Prefixlen> | /<Prefixlen>}] destination_ip_address <IPv6 Address>
ip linklocal

6to4トンネル:
ip {<IPv6 Address_own> | <IPv6 Prefix>} [{prefixlen <Prefixlen> | /<Prefixlen>}]

情報の変更

IPv4 over IPv6トンネル:
ip <IP Address_own> [{mask <Subnet Mask> | masklen <Subnet Mask Bit Length> | /<SubnetMask Bit Length>}] destination_ip_address <IP Address>

IPv6 over IPv4トンネル:
ip {<IPv6 Address_own> | <IPv6 Prefix>} [{prefixlen <Prefixlen> | /<Prefixlen>}] destination_ip_address <IPv6 Address>
ip linklocal

6to4トンネル:
ip {<IPv6 Address_own> | <IPv6 Prefix>} [{prefixlen <Prefixlen> | /<Prefixlen>}]

情報の削除
情報の削除方法は,IPv4 over IPv6トンネル,IPv6 over IPv4トンネル,6to4トンネルで共通です。
delete ip [{<IP Address_own> | {<IPv6 Address_own> | <IPv6 Prefix> | linklocal}}]
delete -r ip

情報の表示
情報の表示方法は,IPv4 over IPv6トンネル,IPv6 over IPv4トンネル,6to4トンネルで共通です。
show [-r] ip

[サブコマンド入力形式]

なし

[モード階層]

なし

[パラメータ]

<IP Address_own>
IPv4 over IPv6トンネルインタフェースの自IPv4アドレスを指定します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    なし(省略不可)
  2. 値の設定範囲
    IPv4アドレスをドット記法で指定します。

{mask <Subnet Mask> | masklen <Subnet Mask Bit Length> | /<Subnet Mask Bit Length>}
IPv4 over IPv6トンネルインタフェースで自IPv4アドレスのサブネットマスクを指定します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    なし(省略不可)
  2. 値の設定範囲
    <Subnet Mask>に128.0.0.0〜255.255.255.255を指定します。
    <Subnet Mask Bit Length>に1〜32を指定します。
  3. 本パラメータに関する注意事項
    IPv4 over IPv6トンネルインタフェースの場合,対向装置とのダイレクト経路は,本パラメータの設定値にかかわらずサブネットマスク長32のホスト経路として生成されます。ただし,ルーティングプロトコルの経路情報では本パラメータで設定した値が使用されます。ダイレクト経路の経路情報については,「解説書 Vol.1 8.2.2 直結経路の取り扱い」を参照してください。

{<IPv6 Address_own> | <IPv6 Prefix>}
IPv6 over IPv4トンネルインタフェースまたは6to4トンネルインタフェースの自IPv6アドレスを指定します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    なし(省略不可)
  2. 値の設定範囲
    <IPv6 Address_own>:
    ・IPv6 over IPv4トンネルインタフェースの場合
    IPv6グローバルアドレスまたはIPv6リンクローカルアドレスをコロン記法で指定します。
    ・6to4トンネルインタフェースの場合
    6to4トンネル専用のプレフィックスである2002:xxxx:xxxx:から始まるIPv6グローバルアドレスをコロン記法で指定します。
    xxxx:xxxxには,実際にIPv4ネットワークと通信を行うインタフェースのIPv4アドレスを16進数に変換した数値を埋め込みます。例えば,実際に通信を行うインタフェースのIPv4アドレスが16.1.2.3なら,6to4トンネルインタフェースのIPv6アドレスは2002:1001:203:〜となります。
    <IPv6 Prefix>:
    ・IPv6 over IPv4トンネルインタフェースの場合
    IPv6グローバルアドレスのインタフェース-ID部(下位64ビット)がすべて0のIPv6プレフィックス形式をコロン記法で指定します。
    ・6to4トンネルインタフェースの場合
    2002:xxxx:xxxx:から始まるIPv6グローバルアドレスのインタフェース-ID部(下位64ビット)がすべて0のIPv6プレフィックス形式をコロン記法で指定します。xxxx:xxxxに埋め込む数値は,<IPv6 Address_own>パラメータの場合と同様にして求めます。
  3. 本パラメータに関する注意事項
    ・6to4トンネルインタフェースにIPv6アドレスを設定する場合は,先にxxxx:xxxx部分へ埋め込むIPv4グローバルアドレスを設定した通信インタフェースを定義してください。
    ・インタフェースの自IPv6アドレスを自動生成する場合は<IPv6 Prefix>パラメータを指定してください。なお,指定したプレフィックス+自動生成されたインタフェース-IDが当該インタフェースのIPv6アドレスとなります。
    ・自動生成された自IPv6アドレスは,運用コマンドのshow ipv6 interfaceまたはshow ip-dual interfaceで確認できます。

{prefixlen <Prefixlen> | /<Prefixlen>}
IPv6 over IPv4トンネルインタフェースまたは6to4トンネルインタフェースで,自IPv6アドレスのプレフィックス長を指定します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    64
  2. 値の設定範囲
    <prefixlen>に1〜128を指定します。
  3. 本パラメータに関する注意事項
    ・IPv6 over IPv4トンネルインタフェースの場合,対向装置とのダイレクト経路は,本パラメータの設定値にかかわらずプレフィックス長128のホスト経路として生成されます。ただし,ルーティングプロトコルの経路情報では本パラメータで設定した値が使用されます。ダイレクト経路の経路情報については,「解説書 Vol.1 8.2.2 直結経路の取り扱い」を参照してください。
    ・<IPv6 Address_own>パラメータでIPv6リンクローカルアドレスを指定した場合や,<IPv6 Prefix>パラメータでIPv6プレフィックス形式を指定した場合は,本パラメータの値に64以外を指定できません。

linklocal
IPv6 over IPv4トンネルインタフェースにIPv6リンクローカルアドレスだけを設定する場合で,かつそのIPv6リンクローカルアドレスを自動生成する場合に指定します。
  1. 本パラメータに関する注意事項
    ・本パラメータを指定すると,IPv6リンクローカルスコープのプレフィックス,プレフィックス長64を指定したことと等価となります。
    ・自動生成されたIPv6リンクローカルアドレスは,運用コマンドのshow ipv6 interfaceまたはshow ip-dual interfaceで確認できます。

destination_ip_address {<IP Address> | <IPv6 Address>}
IPv4 over IPv6トンネルインタフェースの接続先IPv4アドレス,またはIPv6 over IPv4トンネルインタフェースの接続先IPv6アドレスを指定します。
  1. 本パラメータ省略時の初期値
    <IP Address>:
    なし(省略不可)
    <IPv6 Address>:
    なし(省略不可)
  2. 値の設定範囲
    <IP Address>:
    IPv4アドレスをドット記法で指定します。
    <IPv6 Address>:
    IPv6グローバルアドレスまたはIPv6リンクローカルアドレスをコロン記法で指定します。
  3. 本パラメータに関する注意事項
    IPv6 over IPv4トンネルインタフェースの場合,一つの自IPv6アドレスに対して必ず一つの接続先IPv6アドレスが必要です。例えば,一つのインタフェースにマルチホーム設定を行って三つのIPv6アドレスを割り当てた場合,同数の接続先IPv6アドレスが必要になります。

-r
指定されたインタフェース名に関するすべてのコンフィグレーションに適用されます。

[サブコマンド]

なし

[入力例]

  1. 情報の設定
    自装置に定義済みのIPv4インタフェース(IPv4アドレス192.168.1.1)を使用してIPv6 over IPv4トンネルインタフェースTokyoOsakaTを定義します。その後,インタフェース名TokyoOsakaTの自IPv6アドレスにfe80::1,プレフィックス長64,接続先IPv6アドレスfe80::2を設定します。
     
    (config)# show
    !
    line Department1 ethernet 0/1
      ip 3ffe:501:1::1/64
    !
    line TokyoOsaka ethernet 0/5
      ip 192.168.1.1/24
    !
    line TokyoNagoya ethernet 0/6
      ip 201.80.4.172/24
    !
    (config)# tunnel TokyoOsakaT 192.168.1.1 remote 133.108.143.1
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)# ip fe80::1/64 destination_ip_address fe80::2
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)#
     
    次に6to4トンネルインタフェースTokyoNagoyaTを定義し,インタフェース名TokyoNagoyaTの自IPv6アドレスに2002:c950:4ac:1::1,プレフィックス長16を設定します。
    インタフェース名TokyoNagoyaTの自IPv6アドレスは,実際に通信を行うインタフェースTokyoNagoyaに設定されたIPv4アドレス201.80.4.172(16進数にすると,c9.50.4.ac)から決定します。
     
    (config)# tunnel TokyoNagoyaT 6to4
    [tunnel TokyoNagoyaT]
    (config)# ip 2002:c950:4ac:1::1/16
    [tunnel TokyoNagoyaT]
    (config)#
     
  2. 情報の変更
    インタフェース名TokyoOsakaTの自IPv6アドレスと接続先IPv6アドレスを,それぞれ10:1:1::1と10:1:1::2へと変更します。また,自IPv6アドレスのプレフィックス長には64を指定します。
     
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)# ip 10:1:1::1/64 destination_ip_address 10:1:1::2
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)#
     
    次にインタフェースTokyoNagoya2を追加してIPv4アドレス212.51.0.9/24を設定し,TokyoNagoya2を6to4トンネルインタフェースの新しい通信インタフェースとして使用します。
    6to4トンネルのIPv6アドレスを設定したときと同様に,インタフェース名TokyoNagoya2のIPv4アドレスから6to4トンネル用のアドレスを求め,インタフェース名TokyoNagoyaTの自IPv6アドレスを2002:c950:4ac:1::1から2002:d433:9:1::1へと変更します。
     
    (config)# line TokyoNagoya2 ethernet 0/8
    [line TokyoNagoya2]
    (config)# ip 212.51.0.9/24
    [line TokyoNagoya2]
    (config)# exit
    (config)# tunnel TokyoNagoyaT
    [tunnel TokyoNagoyaT]
    (config)# ip 2002:d433:9:1::1/16
    [tunnel TokyoNagoyaT]
    (config)#
     
  3. 設定情報の表示
    インタフェース名TokyoOsakaTに設定されたIP情報をすべて表示します。
     
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)# show ip
    ip fe80::1/64 destination_ip_address fe80::2
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)#
     
  4. 情報の削除
    インタフェース名TokyoOsakaTに設定されたIP情報をすべて削除します。
     
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)# delete ip
    Are you sure? (y/n): y
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)# show ip
    no such ip
    [tunnel TokyoOsakaT]
    (config)#
     

[関連コマンド]

ip-address(IP情報),line(Line情報),ppp(PPP情報)

[注意事項]

  1. IPルーティングプロトコル情報,IPマルチキャストプロトコル情報,MPLS情報の変更を行い,applyコマンドを実行していない場合,本コマンドを入力するとコマンドの実行前にapplyコマンドを自動で実行し,変更したIPルーティングプロトコル情報,IPマルチキャストプロトコル情報,MPLS情報が運用に反映されます。
  2. トンネルインタフェースのIP MTU長を設定する場合は,トンネル情報のmtuサブコマンドを使用してください。

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