コンフィグレーションガイド

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15.2.3　エンタープライズ向けギャランティ型イーサネットワーク

＜この項の構成＞
(1)　設定内容の概要
(2)　構成図と設定条件
(3)　コンフィグレーション例

(1)　設定内容の概要

広域イーサネット網を利用した企業ネットワークにおいて，本社と拠点間の地域を固定的に確保して，仮想的な専用線を構築する設定例を示します（仮想専用線）。

さらに，階層化シェーパ機能を利用してVLAN回線で接続した本社と支店間をアプリケーションごとに帯域制御を行い，音声通信を優先的に出力します。

(2)　構成図と設定条件

［構成図］

図15-7　構成図

[図データ]

［設定条件］
  1. 階層化シェーパ機能を備えるNIFを本装置に装備します。
  2. 本社と各拠点間の通信経路はスタティックとします。
  3. 広域イーサネット網と，本社は固定帯域900Mbit/s，拠点は固定帯域4Mbit/sの契約とします。
  4. 上りのトラフィックは，帯域監視機能を使用して4Mbit/sで監視します。契約帯域を超えたトラフィックは，廃棄します。
  5. 下りのトラフィックは，階層化シェーパ機能を使用して拠点ごとに4Mbit/sまで送信できるように帯域制御を行います。同時に各ユーザ内でプレシデンス値に応じて優先制御および帯域制御を行います。
  6. 本例ではスケジューリングとして，2LLQ+2WFQを使用します。VoIPは遅延に敏感であるため，PQのキューへキューイングします。映像は遅延に敏感，かつ余剰があれば帯域を使用できるように，VLLQのキューへキューイングします。VoIPおよび映像以外はデータ系のアプリケーションであるため，WFQのキューへキューイングします。
  7. プレシデンス値は，本社および拠点にあるルータによって，アプリケーション種別ごとに付与されることとします。本例では，次の表に示すようにアプリケーション種別とプレシデンス値を対応付けます。また，本装置は，次の表に示すようにプレシデンス値に基づき帯域制御を行います。
    アプリケーション種別 プレシデンス値 キュー番号 帯域または重み
    VoIP 6 4
    （PQ）    		 -
    映像 5 3
    （VLLQ）    		 90%
    WWWデータ他 0
    （デフォルト）    		 2
    （WFQ）    		 9%
    レイヤ2パケット - 1
    （WFQ）    		 1%

(3)　コンフィグレーション例

［コマンドによる設定］
 1    (config)# flow qos Tokyo10 in
      [flow qos Tokyo10 in]
 2    (config)# list 60000 mac any any action max_rate 4M 
      …
      [flow qos Tokyo11 in]
 3    (config)# exit
 4    (config)# flow qos Tokyo10 out
      [flow qos Tokyo10 out]
 5    (config)# list 40110 ip any any precedence 6 action 
                aggregated_queue 1 priority 4 
      [flow qos Tokyo10 out]
 6    (config)# list 40120 ip any any precedence 5 action 
                aggregated_queue 1 priority 3 
      [flow qos Tokyo10 out]
 7    (config)# list 40130 ip any any action aggregated_queue 1 priority 2 
      [flow qos Tokyo10 out]
 8    (config)# list 40160 mac any any action aggregated_queue 1 
                priority 1 
      [flow qos Tokyo10 out]
 9    (config)# exit 
10    (config)# flow qos Tokyo11 out 
      [flow qos Tokyo11 out] 
11    (config)# list 40210 ip any any precedence 6 action 
                aggregated_queue 2 priority 4 
      [flow qos Tokyo11 out]
12    (config)# list 40220 ip any any precedence 5 action 
                aggregated_queue 2 priority 3 
      [flow qos Tokyo11 out]
13    (config)# list 40230 ip any any action aggregated_queue 2 
                priority 2 
      [flow qos Tokyo11 out]
14    (config)# list 40260 mac any any action aggregated_queue 2 
                priority 1 
      [flow qos Tokyo11 out]
      …
15    (config)# exit
16    (config)# flow yes
17    (config)# shaper port 0/1 default peak_rate 4M min_rarte 500
18    (config)# shaper rate_limited_queueing
      [shaper rate_limited_queueing]
19    (config)# 0/1 1-224 peak_rate 4M 2llq+2wfq 1% 9% 90% priority_queue
      [shaper rate_limited_queueing]
20    (config)# exit

表15-13　本装置のコンフィグレーション解説

解説番号 解説
1 Tag-VLAN連携回線名Tokyo，VLAN ID 10のinbound（受信側）にQoSフロー情報を設定します。
flow qosモードに移行します。
2 VLAN ID 10，11のTag-VLAN（拠点）ごとに受信パケットを最大4Mbit/sで監視します。本帯域を超えたパケットは廃棄します。
3 flow qos inモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
4 Tag-VLAN連携回線名Tokyo10のoutbound（送信側）にQoSフロー情報を設定します。
flow qosモードに移行します。
5 プレシデンス値が6であるパケットをアグリゲートキュー1のキュー4へキューイングします。
6 プレシデンス値が5であるパケットをアグリゲートキュー1のキュー3へキューイングします。
7 プレシデンス値が5，6以外のIPパケット（IP以外のパケットは除く）をアグリゲートキュー1のキュー2へキューイングします。
8 解説番号5〜7以外のパケットをアグリゲートキュー1のキュー1へキューイングします。
9 flow qos outモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
10 Tag-VLAN連携回線名Tokyo11のoutbound（送信側）にQoSフロー情報を設定します。
flow qos outモードに移行します。
11 プレシデンス値が6であるパケットをアグリゲートキュー2のキュー4へキューイングします。
12 プレシデンス値が5であるパケットをアグリゲートキュー2のキュー3へキューイングします。
13 プレシデンス値が5，6以外のIPパケット（IP以外のパケットは除く）をアグリゲートキュー2のキュー2へキューイングします。
14 解説番号11〜13以外のパケットをアグリゲートキュー1のキュー2へキューイングします。
15 flow qos outモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
16 フロー制御機能を使用する設定にします。
17 NIF番号0，Line番号1におけるデフォルトのアグリゲートキューへ最大帯域4Mbit/s，最低帯域500kbit/sを割り当てます。
18 shaper rate_limited_queueingモードへ移行します。
19，20 NIF番号0，Line番号1におけるアグリゲートキュー1〜224に最大帯域4Mbit/sを割り当て，2LLQ+2WFQを使用してキュー1からキュー3の重みを1％，9％，90％とします。キュー4は完全優先キューです。

［コンフィグレーションの表示］
flow yes
flow qos Tokyo10 out
  list 40110 ip any any precedence 6 action aggregated_queue 1 priority 4 
  list 40120 ip any any precedence 5 action aggregated_queue 1 priority 3 
  list 40130 ip any any action aggregated_queue 1 priority 2 
  list 40160 mac any any action aggregated_queue 1 priority 1 
flow qos Tokyo10 out 
  list 40210 ip any any precedence 6 action aggregated_queue 2 priority 4 
  list 40220 ip any any precedence 5 action aggregated_queue 2 priority 3 
  list 40230 ip any any action aggregated_queue 2 priority 2 
  list 40260 mac any any action aggregated_queue 2 priority 1 
…
flow qos Tokyo10 in
  list 20000 mac any any vlan 10-11 action max_rate 4M
…
!
shaper port 0/1 default peak_rate 4M min_rate 500
shaper rate_limited_queueing
  0/1 1-224 peak_rate 4M 2llq+2wfq 1% 9% 90% priority_queue

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